アメリカのベストセラー・ランキング

1月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. LESSONS IN CHEMISTRY    Stay

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 2. THE BOYS FROM BILOXI    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

  1. 3. FAIRY TALE    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。

 

  1. 4. DEMON COPPERHEAD    Up

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 5. DREAMLAND    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

かつて音楽の道を諦め、ノースカロライナ州で家業の農家を継いだコルビーは、旅先のフロリダ州で才能あるミュージシャン志望の女性モーガンと出会い、たちまち恋に落ちる。一方、6歳の息子を連れてDV夫のもとから逃げだしたベヴァリーは、夫の影に怯えながら苦しい生活を強いられている。そんな3人の運命が思いがけない形で交錯し――

 

  1. 6. TRIPLE CROSS    Up

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第30作。ワシントンDCで警備システムをかいくぐり、家族全員を殺害して、証拠も残さないシリアルキラー〝ファミリーマン〟。アレックスは捜査陣に加わるが、ベストセラー作家が被害者同士の共通点を見つけたと言う。

 

  1. 7. MAD HONEY    Up

Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン

元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。

 

  1. 8. A WORLD OF CURIOSITIES    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ第18作。スリー・パインズ村にようやく春が来たが、かつて担当した殺人事件の遺族との再会をまえに、ガマシュは不安を募らせていた。事件当時幼かった、被害女性の子どもたちが大人になって会いにきたのだ。おなじころ、村で発見された160年前の石工の手紙により存在が明らかになった、閉ざされた屋根裏部屋の封印が解かれ――

 

  1. 9. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Up

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 10. TOM CLANCY:RED WINTER   Down

Marc Cameron マーク・キャメロン

トム・クランシー没後、他作家によって書き継がれているジャック・ライアン・シリーズの第22作。1985年、最新鋭のステルス機F‐117がネヴァダ州の砂漠に墜落した。ソ連は、その機の詳細を何としても手に入れようとする。一方、自身の亡命と引き換えに重要な情報を提供するといってCIAに接触してきた人物の調査のため、ジャック・ライアンは東ドイツに潜入する。

 

 

【まとめ】

今年最後の週にあらたなトップテン入りはなく、先週とほとんど変化がありませんでした。ボニー・ガーマスの”LESSONS IN CHEMISTRY”は4月に発売以来つねに9位前後を守ってきたロングセラーですが、今月にはいって急上昇、先週に引きつづきグリシャムとキングを抜いて堂々の1位となっています。アカデミー賞受賞者のブリー・ラーソン主演・製作総指揮でApple TV+でドラマ化される予定です。ロングセラーといえば、しばらくトップテン入りをお休みしていたマット・ヘイグの”THE MIDNIGHT LIBRARY”(邦訳『ミッドナイト・ライブラリー』浅倉卓弥訳)が、圏外ですが15位に再浮上、ベストセラーのリスト入り95週となりました。

 

 

唐木田みゆき(からきだみゆき)

翻翻訳者です。訳書にアリッサ・コールの『ブルックリンの死』、サマンサ・ダウニングの『殺人記念日』、『とむらい家族旅行』など。いずれも早川書房より。