アメリカのベストセラー・ランキング

1月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. LESSONS IN CHEMISTRY    Stay

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 2. BABEL    Up

R.F. Kuang R.F.クァン

20世紀のはじめ、見知らぬ教授によってイギリスへ連れてこられた広東の孤児ロビンは、多くの言語を学びながらオックスフォードの王立翻訳学院〈バベル〉への入学を夢見ていた。しかし、そこはあらゆる国を植民地化するために魔術が駆使される機関でもあった。銀とアヘンをめぐる戦争がはじまり、ロビンは知の探訪と祖国への愛にはさまれて揺れ動く。

 

  1. 3. FAIRY TALE    Down

Stephen King スティーヴン・キング

高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。

 

  1. 4. MAD HONEY    Up

Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン

元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。

 

  1. 5. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Up

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 6. DEMON COPPERHEAD    Down

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 7. THE BOYS FROM BILOXI    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

  1. 8. VERITY    Up

Colleen Hoover コリーン・フーヴァー

無名の作家ローウェンは、有名作家ヴェリティ・クロフォードの夫ジェイミーから、事故でほぼ寝たきりのヴェリティの共著者として人気シリーズのつづきを書いてもらいたいと依頼される。住み込みで執筆をはじめたローウェンは、ヴェリティの自叙伝らしきものを発見するが、そこには驚きの事実が書かれていた。邦訳は2019年12月刊行の『秘めた情事が終わるとき』(相山夏奏訳、二見文庫)。

 

  1. 9. DREAMLAND    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

かつて音楽の道を諦め、ノースカロライナ州で家業の農家を継いだコルビーは、旅先のフロリダ州で才能あるミュージシャン志望の女性モーガンと出会い、たちまち恋に落ちる。一方、6歳の息子を連れてDV夫のもとから逃げだしたベヴァリーは、夫の影に怯えながら苦しい生活を強いられている。そんな3人の運命が思いがけない形で交錯し――

 

  1. 10. A WORLD OF CURIOSITIES    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ第18作。スリー・パインズ村にようやく春が来たが、かつて担当した殺人事件の遺族との再会をまえに、ガマシュは不安を募らせていた。事件当時幼かった、被害女性の子どもたちが大人になって会いにきたのだ。おなじころ、村で発見された160年前の石工の手紙により存在が明らかになった、閉ざされた屋根裏部屋の封印が解かれ――

 

 

【まとめ】

 年末から年始にかけては例年どおりあまり動きがなく、今週も“LESSONS IN CHEMISTRY”が1位を守っています。ただ、トップテン圏外から今週2位に“Babel”が、8位に“VERITY”が返り咲いています。

 また、マット・ヘイグの“THE MIDNIGHT LIBRARY”は11位で、97週の長期にわたってランクインをつづけています。

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書に、アビゲイル・ディーン『レックスが囚われた過去に』、ケイトリン・マレン『塩の湿地に消えゆく前に』など。