アメリカのベストセラー・ランキング

1月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. LESSONS IN CHEMISTRY    Stay

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 2. THE HOUSE IN THE PINES    New!

Ana Reyes アナ・レイズ

マヤが高校生のとき、目の前で親友が謎の転落死を遂げた。その場には当時マヤが付き合っていたフランクという男もいた。8年後、ユーチューブを観ていたマヤは、ダイナーにいた女が突然倒れて死ぬ動画を見つけた。女の向かいにすわっていたのは、あのフランクだった。

 

  1. 3. WITHOUT A TRACE    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

海沿いの道に車を走らせていたチャールズは、居眠りして車ごと海に落ちてしまう。九死に一生を得て、オードという心優しい女性の看護を受けて回復するが、そこで気づく。自分は事故死したと見なされるだろうから、愛のない結婚生活に戻る必要はない。姿をくらまし、このままオードとともに生きていく未来がある、と。

 

  1. 4. THE BOYS FROM BILOXI    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

  1. 5. DEMON COPPERHEAD    Up

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 6. FAIRY TALE    Down

Stephen King スティーヴン・キング

高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。

 

  1. 7. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 8. MAD HONEY    Down

Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン

元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。

 

  1. 9. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。邦訳『ミッドナイト・ライブラリー』(浅倉卓弥訳)がハーパーコリンズ・ジャパンより刊行されている。

 

  1. 10. BABEL    Down

R.F. Kuang R.F.クァン

20世紀のはじめ、見知らぬ教授によってイギリスへ連れてこられた広東の孤児ロビンは、多くの言語を学びながらオックスフォードの王立翻訳学院〈バベル〉への入学を夢見ていた。しかし、そこはあらゆる国を植民地化するために魔術が駆使される機関でもあった。銀とアヘンをめぐる戦争がはじまり、ロビンは知の探訪と祖国への愛にはさまれて揺れ動く。

 

 

【まとめ】

そろそろ動きが出はじめました。新作が2作ランクインしています。2位のレイズはこれがデビュー作で、3位は常連のスティール。トップテン外では、インドのマフィアの血なまぐさい世界を描いたディープティ・カプーアのデビュー作“AGE OF VICE”が11位に、レイチェル・ホーキンズのゴシック・サスペンス“THE VILLA”が13位にはいりました。

 

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、A・チョウドゥリー『謎解きはビリヤニとともに』、L・チャイルド『奪還』、D・ワッツ『偶然の科学』など。