アメリカのベストセラー・ランキング

2月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 2. THE CABINET OF DR. LENG    New!

Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

FBI捜査官ペンダーガスト・シリーズ第21作。ペンダーガストの庇護を受け補佐役を務めてきた女性コンスタンスは、自分が生まれ育った時代へと時間をさかのぼり、きょうだいのメアリーとジョーを救うため過去を変えようとする。そこは1880年のニューヨーク。立ちはだかる敵は連続殺人鬼レン――ペンダーガストにつながりのある人物だった。

 

  1. 3. THE HOUSE OF WOLVES    Down

James Patterson and Mike Lupica ジェイムズ・パタースン、マイク・ルピカ

サンフランシスコでプロフットボール・チーム〈ウルヴズ〉と新聞社などを経営する企業家ジョー・ウルフが死亡、遺言によって後継者に指名されたのは娘のジェニーだった。後継に選ばれなかった兄たちの反感や妨害とも戦いながら慣れない経営に奮闘する彼女は、やがてクルーザーから転落して溺死したとされる父の最期にも不審を抱きはじめる。

 

  1. 4. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Stay

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 5. HOW TO SELL A HAUNTED HOUSE    New!

Grady Hendrix グレイディ・ヘンドリクス

シングルマザーのルイーズは、コロナ禍の終わりに両親を交通事故で失った。経済的問題を解決すべく、反りの合わない弟マークとともに、家族で暮らした家を一刻も早く売り払おうと躍起になるが、そこには不気味な人形のコレクションが並んでいた。

 

  1. 6. THE HOUSE IN THE PINES    Down

Ana Reyes アナ・レイズ

マヤが高校生のとき、目の前で親友が謎の転落死を遂げた。その場には当時マヤが付き合っていたフランクという男もいた。8年後、ユーチューブを観ていたマヤは、ダイナーにいた女が突然倒れて死ぬ動画を見つけた。女の向かいにすわっていたのは、あのフランクだった。

 

  1. 7. HELL BENT    Down

Leigh Bardugo リー・バーデュゴ

ゴーストが見える能力を買われ、名門イェール大学に奨学生として迎えられたアレックスは2年生に進級した。イェール大の8つの秘密結社の魔術を監督する9番目の秘密結社リーシー・ハウスのメンバーである彼女は、地獄へ落ちてしまった先輩ダーリントンを救うべく、地獄への門を開く魔術をおこなおうとするが……2019年刊行のファンタジー“NINTH HOUSE”の続編。

 

  1. 8. THE BOYS FROM BILOXI    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

  1. 9. DEMON COPPERHEAD    Down

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 10. FAIRY TALE    Down

Stephen King スティーヴン・キング

高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。

 

 

【まとめ】

今週は2作品が新たにランクインしました。2位のペンダーガスト・シリーズはタイムトラベルなどSF要素が盛りこまれたスリラーで、日本では第3作『殺人者の陳列棚』(二見書房)のみ刊行されています。5位のグレイディ・ヘンドリクスはホラー作家・脚本家。昨年『吸血鬼ハンターたちの読書会』(早川書房)と『ファイナルガール・サポート・グループ』(竹書房)の2作品が邦訳刊行されました。またベストテン外では、12位にブレット・イーストン・エリスの新作“THE SHARDS”がはいっています。

 

佐藤桂(さとう けい)

神奈川県在住の翻訳者です