アメリカのベストセラー・ランキング
2月12日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. LESSONS IN CHEMISTRY Stay
Bonnie Garmus ボニー・ガーマス
1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……
- 2. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW Stay
Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン
サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。
- 3. THE HOUSE IN THE PINES Stay
Ana Reyes アナ・レイズ
マヤが高校生のとき、目の前で親友が謎の転落死を遂げた。その場には当時マヤが付き合っていたフランクという男もいた。8年後、ユーチューブを観ていたマヤは、ダイナーにいた女が突然倒れて死ぬ動画を見つけた。女の向かいにすわっていたのは、あのフランクだった。
- 4. DEMON COPPERHEAD Up
Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー
アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。
5.MAAME New!
Jessica George ジェシカ・ジョージ
ロンドンに暮らすマディの生活は割に合わないものだった。家では、ガーナで過ごすことの多い威圧的な母親に代わって病気の父親の世話をし、職場では、悪夢のような上司や、会議のたびにメンバーで黒人は自分だけだということにうんざりしていた。母親がガーナから帰国すると、この機会にマディは家を出て、自分の人生を生きはじめる。
- 6. THE BOYS FROM BILOXI Up
John Grisham ジョン・グリシャム
幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。
- 7. THE HOUSE OF WOLVES Down
James Patterson and Mike Lupica ジェイムズ・パタースン、マイク・ルピカ
サンフランシスコでプロフットボール・チーム〈ウルヴズ〉と新聞社などを経営する企業家ジョー・ウルフが死亡、遺言によって後継者に指名されたのは娘のジェニーだった。後継に選ばれなかった兄たちの反感や妨害とも戦いながら慣れない経営に奮闘する彼女は、やがてクルーザーから転落して溺死したとされる父の最期にも不審を抱きはじめる。
- 8. EXILES New!
Jane Harper ジェイン・ハーパー
連邦警察官のフォークは、古くからの友人の子どもの洗礼式に出席するため、南オーストラリアの小さな町を訪れる。そのちょうど1年まえには、赤ん坊を乳母車に残したまま、キム・ガレスピーという女性が姿を消していた。キムの上の娘に請われてフォークが事件を調べはじめると、キムと友人たちとの間の、遠いむかしの真実が姿を見せはじめる。
- 9. FAIRY TALE Down
Stephen King スティーヴン・キング
高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。
- 10. MAD HONEY Up
Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン
元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。
【まとめ】
今週は5位と8位に新作が初登場しました。5位の “MAAME” は、モーニングショー〈トゥデイ〉のブックコーナーでも取り上げられ、話題となりました。 今週1位のボニー・ガーマスも、この作品に賛辞を寄せています。8位は、オーストラリアを舞台に連邦警察官のアーロン・フォークが活躍するシリーズの3作目です。英国推理作家協会賞を受賞した1作目の『渇きと偽り』、2作目の『潤みと翳り』(いずれも青木創訳)はハヤカワ・ミステリ文庫から出ています。15位には、『サスペンス作家が人をうまく殺すには』(エル・コシマノ/辻早苗訳/東京創元推理文庫)の3作目がランクインしました。
吉野山早苗(よしのやま さなえ) |
---|
翻訳者です。訳書は『あなたの知らない心臓の話』(ビル・シャット/原書房)など。 北上次郎さんとは、師匠である田口俊樹先生の読書会で何度かごいっしょしたことがあります。わたしにも気さくに話してくださり、愉しい思い出しかありません。ありがとうございました。
|