アメリカのベストセラー・ランキング

3月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. STORM WATCH    New!

C.J. Box C.J.ボックス

ジョー・ピケット・シリーズ第23作。ワイオミング州猟区管理官のジョーは、激しい吹雪と戦いながらヘラジカを追跡していたときに、切り刻まれ、凍りついた無惨な死体を発見した。被害者は行方不明になっていた大学教授だと判明するが、どういうわけか連邦捜査官が現れてジョーの調査を妨害する。

 

  1. 2. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 3. A DAY OF FALLEN NIGHT    New!

Samantha Shannon サマンサ・シャノン

2019年に出版されて好評を博した“THE PRIORY OF THE ORANGE TREE”の前日譚。四人の女の物語を軸に、ドラゴンを恐れる西部と、ドラゴンをあがめる東部とに分かれた世界の成り立ちを描くファンタジー。

 

  1. 4. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 5. I HAVE SOME QUESTIONS FOR YOU    Down

Rebecca Makkai レベッカ・マカーイ

2018年、ジャーナリストでポッドキャスターでもあるボディは、ニューハンプシャーにある寄宿制の母校で短期講座を受け持つことになる。だが、学生時代によい思い出はなく、1995年在学当時、殺人事件があってルームメイトが亡くなり、アスレティックトレーナーが逮捕されていた。母校に戻ったボディは、犯人は別にいるのかもしれないと考えるようになる。

 

  1. 6. SOMEONE ELSE’S SHOES    Down

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

富豪の夫から突然離婚を言い渡された妻ニシャ。生活に追われて冴えない日々を送る主婦サム。ジムでジムバッグを取りちがえ、中にはいっていた他人の靴に足をいれることで、それぞれの人生に思わぬ変化が生まれる。ウィットとあたたか味に富むコメディ。

 

  1. 7. DEMON COPPERHEAD    Down

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 8. THE ADVENTURES OF AMINA AL-SIRAFI    New!

Shannon Chakraborty シャノン・チャクラバーティ

インド洋で悪名をとどろかせた海賊のアミナは、幾度となく危機を乗り越えたすえに引退して穏やかな生活を送っていたが、娘をかどわかされた母親から救出を頼まれ、最後の冒険に繰り出す。

 

  1. 9. MAD HONEY    Up

Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン

元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。

 

  1. 10. THE BOYS FROM BILOXI    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

【まとめ】

新作が3作ランクインしました。1位のC.J.ボックスによるジョー・ピケット・シリーズは、第15作『嵐の地平』(野口百合子訳、東京創元社)まで邦訳が刊行されています。3位のシャノンは超能力者が登場するディストピア小説“THE BONE SEASON”で2013年にデビューした人気作家です。8位のチャクラバーティは中東を舞台にしたヒストリカル・フィクション3部作の“THE DAEVABAD TRILOGY”で知られています。なお、本コーナーがお休みだった先週に初登場で3位となったマカーイが今週は5位にはいりました。邦訳に『戦時の音楽』(藤井光訳、新潮社)があります。

 

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、A・チョウドゥリー『謎解きはビリヤニとともに』、L・チャイルド『奪還』、D・ワッツ『偶然の科学』など。