アメリカのベストセラー・ランキング

4月30日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. DARK ANGEL    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

「獲物」シリーズのルーカス・ダヴンポートの養女、レッティを主人公とした新シリーズの第2作目。前回の事件での活躍を買われ、レッティは国家安全保障局からハッカー集団の捜査の依頼を受ける。しかし事件を解明してくうちに、捜査関係者に内通する者が存在するのではないかという疑惑が浮上する。

 

  1. 2. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 3. THE ONLY SURVIVORS    New!

Megan Miranda ミーガン・ミランダ

今から10年前、ハイスクールのバスが渓谷に転落して教師や生徒に死傷者が出るという悲劇が起きた。そして翌年、事故と同日に生存者のひとりが自殺してしまう。以来、生存者たちは互いの心身の安全を守るために、毎年集まりを開くことになる。しかし、10年目に新たな死者が出てしまい……

 

  1. 4. HELLO BEAUTIFUL    Up

Ann Napolitano アン・ナポリターノ

不幸な家庭で愛情を得られずに育ったウィリアムは、バスケットボール選手として遠方へ進学し家を離れた。大学で出会ったイタリア系のジュリアは、4姉妹と両親の深い絆で結ばれた家族のなかにウィリアムを招きいれるが、やがてそれぞれの思いはすれ違っていく。オルコットの『若草物語』へのオマージュをこめて描かれた家族の物語。

 

  1. 5. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Stay

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 6. HANG THE MOON    Down

Jeannette Walls ジャネット・ウォールズ

サリーの父は小さな町の有力者で、母は、父と口論しているときに亡くなっていた。サリーが8歳のときに父は再婚し、弟が誕生する。才覚のあるサリーは、気弱な弟に父のようになってほしいと無謀なことを教えるが、それが事故につながり、彼女は家を追い出されてしまう。9年後に故郷にもどったサリーは、酒の密造者として本領を発揮する。

 

  1. 7. LASSITER    New!

J.R. Ward J・R・ウォード

〈黒き剣兄弟団〉に属するヴァンパイア戦士たちの生きざまを描くパラノーマル・ロマンス、ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズの第21作。堕天使のラシターは、どこからともなく現れた謎の女と対峙することを余儀なくされる。

 

  1. 8. ROMANTIC COMEDY    Down

Curtis Sittenfeld カーティス・シッテンフェルド

コメディー番組のシナリオを書いているサリーは、華やかな業界にいてもすてきな出会いにめぐまれず、恋愛をなかばあきらめていた。とはいえ、並みの才能と平凡な容姿しか持たない同業の男たちが一流女優やモデルと関係を持てることに納得できない。そんな折、サリーは番組の仕事を通して超有名な男性シンガーと意気投合し、一瞬心をときめかせるのだが……

 

  1. 9. THINGS I WISH I TOLD MY MOTHER    New!

Susan Patterson and Susan DiLallo with James Patterson スーザン・パタースン、スーザン・ディラーロ、ジェイムズ・パタースン

ローリーは産婦人科医の母親が病に倒れたのちに回復すると、二人で旅に出ることを決める。行先はパリと、母親の故郷であるノルウェー。道中で、母と娘はそれまで知らなかった互いの真実と向きあうことになる。

 

  1. 10. HOMECOMING    Down

Kate Morton ケイト・モートン

失業したジャーナリストのジェスは、最愛の祖母が倒れたと知ってロンドンから故郷のシドニーへもどり、そのとき祖母の家の屋根裏で遠い昔の不可解な殺人事件の実録本をたまたま見つけた。当時の被害者一家と自分の家族とのつながりを知って衝撃を受けたジェスは、事件について調べはじめる。

 

【まとめ】

今週は1、3、7、9位に新作がランクインしました。1位のジョン・サンドフォードの作品は、「獲物」シリーズの10作目『餌食』(北沢あかね訳、講談社)まで邦訳刊行されています。3位のミーガン・ミランダについては『ミッシング・ガール』が邦訳刊行済み(出雲さち訳、二見書房)。7位のJ・R・ウォードのシリーズは6作目の『漆黒に包まれる恋人』(安原和見訳、二見書房)まで刊行されており、本名のジェシカ・バード名義でロマンス小説も発表しています。9位の共著者スーザン・ディラーロは作詞やコラム執筆、脚本執筆など幅広い活動をする作家です。

10位圏外に目立った動きはありませんでした。

 

 

関 麻衣子(せき まいこ)

翻埼玉在住の翻訳者。3月刊行の訳書『その輝きを僕は知らない』ブランドン・テイラー著(早川書房)は、マイノリティの若者のリアルを描いた文芸作品です。その他の訳書に『ボーイズクラブの掟』エリカ・カッツ、『弁護士ダニエル・ローリンズ』ヴィクター・メソス(いずれも早川書房)など。