アメリカのベストセラー・ランキング

5月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. HAPPY PLACE    New!

Emily Henry エミリー・ヘンリー

ハリエットとウィンは理想のカップルだったが、5カ月前に別れてしまい、そのことを友人たちに言えずにいた。ふたりは夏に友人たちとメイン州のコテージで1週間の休暇を楽しむのが毎年の恒例行事になっていたが、まわりに気を使わせないため、今年はまだ付き合っているふりをして参加することを決める。

 

  1. 2. SIMPLY LIES    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

元刑事でシングルマザーのミッキーは、同僚からの依頼で訪れた先で死体を発見し、殺人事件の第一容疑者になってしまう。死んだのはマフィアにかかわりがあるという男で、証人保護を受けていた。

 

  1. 3. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 4. IN THE LIVES OF PUPPETS    New!

T.J. Klune T・J・クルーン

森の中に造られた小さな家で、3台のロボットとひとりの人間が平和に暮らしていた。だが、ロボットの1台であるジョヴァンニには人間狩りをしていた過去があり、そのことが発覚したために当局に連行されてしまう。人間のヴィクターは家族を取りもどすためにほかのロボットを連れて危険な旅に赴く。

 

  1. 5. SMALL MERCIES    New!

Dennis Lehane デニス・ルヘイン

1974年、公立学校の人種差別撤廃政策をめぐって、住民の対立が激しくなっていたボストン。アイルランド系白人の娘が行方不明になった夜、地下鉄にはねられた若い黒人の死体が発見される。ふたつの事件につながりはないと思われたが……

 

  1. 6. HELLO BEAUTIFUL    Down

Ann Napolitano アン・ナポリターノ

不幸な家庭で愛情を得られずに育ったウィリアムは、バスケットボール選手として遠方へ進学し家を離れた。大学で出会ったイタリア系のジュリアは、4姉妹と両親の深い絆で結ばれた家族のなかにウィリアムを招きいれるが、やがてそれぞれの思いはすれ違っていく。オルコットの『若草物語』へのオマージュをこめて描かれた家族の物語。

 

  1. 7. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 8. HANG THE MOON    Down

Jeannette Walls ジャネット・ウォールズ

サリーの父は小さな町の有力者で、母は、父と口論しているときに亡くなっていた。サリーが8歳のときに父は再婚し、弟が誕生する。才覚のあるサリーは、気弱な弟に父のようになってほしいと無謀なことを教えるが、それが事故につながり、彼女は家を追い出されてしまう。9年後に故郷にもどったサリーは、酒の密造者として本領を発揮する。

 

  1. 9. THE WAY OF THE BEAR    New!

Anne Hillerman アン・ヒラーマン

故トニー・ヒラーマンのリープホーン&チー・シリーズを娘のアニーが引き継いだシリーズの第8作。ナバホ族の居留地で、野外生活に慣れた古生物学者が凍死する不自然な事件が起こり、ナバホ族警察のチーとマヌエリートは捜査に乗り出す。

 

  1. 10. IT ENDS WITH US    Down

Colleen Hoover コリーン・フーヴァー

『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』という邦題で2023年3月に新装改訂版が二見書房より刊行されている。“2022年全米で最も売れた恋愛小説”。

 

 

【まとめ】

新作が4作ランクインしました。1位のヘンリーはデビュー当初はヤングアダルト小説を書いていましたが、2020年に大人向けのロマンス小説“BEACH READ”を発表し、これが大ヒットしました。その後はこのジャンルの作品に専念している模様です。4位のクルーンはLGBTQ作品を対象としたラムダ文学賞を受賞しています。5位はルヘインの6年ぶりの新作。前作“SINCE WE FELL”は『あなたを愛してから』の邦題で早川書房より邦訳が刊行されています。9位はナバホ族警察シリーズの新作です。なお、本コーナーがお休みだった先週に初登場で1位となったバルダッチが今週は2位にはいりました。先週8位、今週10位のフーヴァーは、ブレイク・ライヴリー主演で映画化されると報じられています。

 

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、L・チャイルド『奪還』、D・ワッツ『偶然の科学』など。