アメリカのベストセラー・ランキング

5月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. HAPPY PLACE    Down

Emily Henry エミリー・ヘンリー

ハリエットとウィンは理想のカップルだったが、5カ月前に別れてしまい、そのことを友人たちに言えずにいた。ふたりは夏に友人たちとメイン州のコテージで1週間の休暇を楽しむのが毎年の恒例行事になっていたが、まわりに気を使わせないため、今年はまだ付き合っているふりをして参加することを決める。

 

  1. 2. FOURTH WING    New!

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

  1. 3. THE 23RD MIDNIGHT    New!

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

サンフランシスコ市警の刑事リンジーが逮捕したシリアルキラーのエヴァン・バーク。記者のシンディが書いたこのバーク事件のノンフィクションがベストセラーになると、バークの手口をまねた模倣犯があらわれ、シンディの身にも危険が迫る。4人の女性が活躍する女性殺人捜査クラブ・シリーズ第23作。

 

  1. 4. THE COVENANT OF WATER    New!

Abraham Verghese エイブラハム・ヴァルギーズ

20世紀の南インドのケララ州を舞台に、ある一家の3世代にわたる物語をつづった大河小説。1900年、12歳の少女アマキは2歳の息子ジョジョを持つ40歳の男やもめのもとへ嫁ぐ。アマキは16歳で娘を出産するが、継子のジョジョは10歳のとき用水路で溺死してしまう。アマキの一家はその後も疫病や飢饉や政治動乱など多くの苦難に見舞われる。

 

  1. 5. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 6. THE WEDDING PLANNER    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

ニューヨーク1の人気ウェディング・プランナーのフェイス。自身は二度の婚約破棄を経てもう結婚に夢を抱いてはいない彼女だが、顧客である3組のカップルのウェディングに加えて母親の再婚とかわいがっている部下の結婚でさまざまなトラブルを目の当たりにするなか、幸せへの道はひとつではないと気づかされる。

 

  1. 7. SIMPLY LIES    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

元刑事でシングルマザーのミッキーは、同僚からの依頼で訪れた先で死体を発見し、殺人事件の第一容疑者になってしまう。死んだのはマフィアにかかわりがあるという男で、証人保護を受けていた。

 

  1. 8. THE SECRET BOOK OF FLORA LEA    New!

Patti Callahan Henry パティ・キャラハン・ヘンリー

1960年、ロンドンの書店で働く25歳のヘーゼルは、アメリカから届いた絵本を見て驚く。そこに描かれていたのは、20年前の第二次大戦中、幼い妹と疎開していたヘーゼルが、妹フローラのために考えだしたおとぎの国の物語だったのだ。疎開先で行方不明となったきりのフローラと自分しか知らないはずのお話がなぜ本になっているのか……

 

  1. 9. HELLO BEAUTIFUL    Down

Ann Napolitano アン・ナポリターノ

不幸な家庭で愛情を得られずに育ったウィリアムは、バスケットボール選手として遠方へ進学し家を離れた。大学で出会ったイタリア系のジュリアは、4姉妹と両親の深い絆で結ばれた家族のなかにウィリアムを招きいれるが、やがてそれぞれの思いはすれ違っていく。オルコットの『若草物語』へのオマージュをこめて描かれた家族の物語。

 

  1. 10. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

【まとめ】

今週は初登場の新作が5作ランクインしました。2位はロマンス作家として知られるレベッカ・ヤロスの新ファンタジー・シリーズの第1弾です。3位は女性殺人捜査クラブ・シリーズの最新作。『1番目に死がありき』と『チャンスは2度めぐる』が邦訳されています。4位は医師でスタンフォード大学医学部教授でもあるエイブラハム・ヴァルギーズが、ケララ州出身の自身の母の話をもとにつづった小説第2作で、執筆に10年をかけたそうです。8位のパティ・キャラハン・ヘンリーは、邦訳はないもののヒストリカルなど20作近い著作のある人気作家です。またベストテン外の12位には、ドラマ化された『パッセージ』の原作で知られるジャスティン・クローニンの“THE FERRYMAN”が、14位にはテレビ司会者として活躍するサニー・ホスティンの2作目の小説“SUMMER ON SAG HARBOR”が入っています。

 

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書は『噤(つぐ)みの家』、『完璧な家族』(ともにリサ・ガードナー/小学館文庫)、『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。