アメリカのベストセラー・ランキング
8月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. FOURTH WING Stay
Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス
ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。
- 2. THE COLLECTOR New!
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第23作。世界で最も価値のある絵画が消えた。ガブリエルはその行方を追うため、華麗なテクニックを持つ窃盗グループに加わる。しかし、ロシアと西側諸国との間の思いもよらない衝突を防ぐために、死に物狂いで奔走することになる。
- 3. LESSONS IN CHEMISTRY Stay
Bonnie Garmus ボニー・ガーマス
1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……
- 4. HAPPY PLACE Down
Emily Henry エミリー・ヘンリー
ハリエットとウィンは理想のカップルだったが、5カ月前に別れてしまい、そのことを友人たちに言えずにいた。ふたりは夏に友人たちとメイン州のコテージで1週間の休暇を楽しむのが毎年の恒例行事になっていたが、まわりに気を使わせないため、今年はまだ付き合っているふりをして参加することを決める。
- 5. THE COVENANT OF WATER Up
Abraham Verghese エイブラハム・ヴァルギーズ
20世紀の南インドのケララ州を舞台に、ある一家の3世代にわたる物語をつづった大河小説。1900年、12歳の少女アマキは2歳の息子ジョジョを持つ40歳の男やもめのもとへ嫁ぐ。アマキは16歳で娘を出産するが、継子のジョジョは10歳のとき用水路で溺死してしまう。アマキの一家はその後も疫病や飢饉や政治動乱など多くの苦難に見舞われる。
- 6. CROOK MANIFESTO New!
Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド
1970年代のハーレム。家具販売店のオーナーとなったレイ・カーニーは、娘のためにジャクソン5のコンサートのチケットを手に入れようと、旧知の警察官で、並外れたフィクサーでもあるマンソンに接触する。彼のほうでも、カーニーに依頼したいことがあった。そしてカーニーは、ひどく面倒なトラブルに巻きこまれていく。
- 7. THE FIVE-STAR WEEKEND Down
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド
人気料理ブロガーのホリスは、心臓外科医の夫を交通事故で失う。ホリスは人生のさまざまな局面で会った人たち――子供のころの友達、大学時代のルームメイト、子育て時代のママ友、ブログのファン――をナンタケット島に集め、週末を過ごすことになる。
- 8. A SOUL OF ASH AND BLOOD New!
Jennifer L. Armentrout ジェニファー・L・アーメントラウト
ブラッド・アンド・アッシュ・シリーズの5作目。〈肉と炎の女王〉が台頭し、真の〈生と死の根源〉になる。キャスティールとポピー、そしてふたりの仲間たちはずっと戦ってきたが、その戦いは始まりにすぎなかったのだ。そして、ポピーが“ステイシス(人工睡眠状態)”に陥る。ポピーにふたたび目を開けさせるため、キャスティールは彼女に語りつづける。
- 9. DEMON COPPERHEAD Down
Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー
アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。
- 10. OBSESSED Down
James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン
ニューヨーク市警の刑事マイケル・ベネットを主人公とするシリーズの第15作。ハドソン川で遺体となって見つかった若い女性は、行方不明となっていたベネットの長女の友達と特徴が似ていた。十人の子をもつ親として穏やかでない気持ちを抱えながら、ベネットは遺体の身元捜査と関連の疑われる殺人事件の調査に乗りだす。
【まとめ】
今週は2、6、8位に新作がランクインしました。6位の “CROOK MANIFESTO” は、前作 “HARLEM SHUFFLE” の続編です。8位の “A SOUL OF ASH AND BLOOD” で主人公のひとり、ポピーが陥る人工睡眠状態の“ステイシス”とはSF界では知られた設定で、もともとは時間の流れが停滞する状態を指すそうです。10位圏外では、みんな大好き、ミズダコのマーセラスが活躍する “REMARKABLY BRIGHT CREATURES” が15位にはいっています。この作品は、発売以来10位以内にランクインしたことこそ一度だけですが、最近もずっと15位前後を行き来しており、息の長いヒット作になっています。
吉野山早苗(よしのやま さなえ) |
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翻訳者です。訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ(ロビン・スティーヴンス/コージーブックス)など。
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