アメリカのベストセラー・ランキング

8月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. FOURTH WING    Stay

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

  1. 2. TOM LAKE    Stay

Ann Patchett アン・パチェット

2020年春、ラーラの娘三人が帰省してくる。ラーラは若い頃、劇団トム・レイクで有名な俳優と恋に落ちたのだが、娘たちがその当時の話を聞きたがるので語ることにした。ラーラの過去を聞いた三人の娘たちは、それぞれの人生や母親との関係、世間との対峙の仕方について、あらためて考え直すことになる。

 

  1. 3. THE HEAVEN & EARTH GROCERY STORE    New!

James McBride ジェイムズ・マクブライド

1972年ペンシルヴェニア州のポッツタウンで、古い井戸の底から骸骨が発見された。それをきっかけに、1930年代にこの地に移ってきたユダヤ人とアフリカ系アメリカ人が住む町の秘密が明らかになる。

 

  1. 4. NONE OF THIS IS TRUE    New!

Lisa Jewell リサ・ジュエル

パブで45歳の誕生日を祝っていた人気ポッドキャスターのアリックスは、そのパブで年齢も誕生日も同じ女性ジョシーと出会う。アリックスがポッドキャストでジョシーについて取りあげるうちに、その紆余曲折のある人生に魅了され、気づいたときには、一見完璧なアリックスの生活に、暗い秘密を抱えたジョシーがはいりこんでいた。

 

  1. 5. HAPPINESS    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

有名なミステリー作家であるサブリナは、バークシャー州で2匹の犬とともに静かな生活を送っていたが、一通の手紙が到着し、すべてが一変する。最近亡くなったおじの唯一の親類として、ロンドン郊外にある土地と爵位を相続することになったのだ。

 

  1. 6. LESSONS IN CHEMISTRY    Down

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 7. DEMON COPPERHEAD    Down

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

  1. 8. THE COVENANT OF WATER    Down

Abraham Verghese エイブラハム・ヴァルギーズ

20世紀の南インドのケララ州を舞台に、ある一家の3世代にわたる物語をつづった大河小説。1900年、12歳の少女アマキは2歳の息子ジョジョを持つ40歳の男やもめのもとへ嫁ぐ。アマキは16歳で娘を出産するが、継子のジョジョは10歳のとき用水路で溺死してしまう。アマキの一家はその後も疫病や飢饉や政治動乱など多くの苦難に見舞われる。

 

  1. 9. HAPPY PLACE    Down

Emily Henry エミリー・ヘンリー

ハリエットとウィンは理想のカップルだったが、5カ月前に別れてしまい、そのことを友人たちに言えずにいた。ふたりは夏に友人たちとメイン州のコテージで1週間の休暇を楽しむのが毎年の恒例行事になっていたが、まわりに気を使わせないため、今年はまだ付き合っているふりをして参加することを決める。

 

  1. 10. THE FIVE-STAR WEEKEND    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

人気料理ブロガーのホリスは、心臓外科医の夫を交通事故で失う。ホリスは人生のさまざまな局面で会った人たち――子供のころの友達、大学時代のルームメイト、子育て時代のママ友、ブログのファン――をナンタケット島に集め、週末を過ごすことになる。

 

【まとめ】

新作が3つはいりました。3位のジェイムズ・マクブライドは数々の賞を受賞した作家であり、ミュージシャンで脚本家でもあります。2年にわたってNYTのベストセラーリストにはいりつづけた“The Color of Water”(1996年)が、『母の色は水の色――12人の子を育てた母の秘密』という邦題で出ています。4位のリサ・ジュエルについて、日本で紹介されているのは、『そして彼女は消えた』、『姉の歌声を探して』の2作です。5位は、ロマンス小説で有名なダニエル・スティールで、多くの邦訳が出ています。

10位圏外に目立った動きはありませんでした。

 

 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書に、ヴァージニア・ハートマン『アオサギの娘』、アビゲイル・ディーン『レックスが囚われた過去に』、ケイトリン・マレン『塩の湿地に消えゆく前に』など。