アメリカのベストセラー・ランキング

10月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. HOLLY    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

『ミスター・メルセデス』以降、スティーヴン・キング作品にたびたび登場する女性探偵ホリー・ギブニーを主人公とする新作長編。行方不明となった図書館勤務の女性の母親から依頼を受け、ファインダーズ・キーパーズ探偵社のホリー・ギブニーは、女性の失踪への関与が疑われる老齢の大学教授夫妻の調査に乗りだす。

 

 

  1. 2. FOURTH WING    Stay

Rebecca Yarros レベッカ・ヤロス

ナヴァレ王国に暮らす20歳のヴァイオレットは父と兄の死をきっかけに、将軍である母の命でドラゴンライダー養成所に入ることに。エリート戦士であるドラゴンライダーになるべくしのぎを削るライバルたちのなかで、人より小柄で体の弱いヴァイオレットははたして過酷な選考を生き残れるのか――ファンタジーの新シリーズ第1作。

 

 

  1. 3. VINCE FLYNN: CODE RED    New!

Kyle Mills カイル・ミルズ

原作者ヴィンス・フリンの他界後、カイル・ミルズが第14作から書き継いでいる、ミッチ・ラップを主人公にしたシリーズの第22作。シリア政府が、ひじょうに中毒性の高い麻薬を新たに製造し、ヨーロッパ中にばらまこうと計画しているらしい。そんなことをされては困るダミアン・ロサは、計画を阻止できる人物として、ラップに白羽の矢を立てる。

 

 

  1. 4. TOM LAKE    Stay

Ann Patchett アン・パチェット

2020年春、ラーラの娘三人が帰省してくる。ラーラは若い頃、劇団トム・レイクで有名な俳優と恋に落ちたのだが、娘たちがその当時の話を聞きたがるので語ることにした。ラーラの過去を聞いた三人の娘たちは、それぞれの人生や母親との関係、世間との対峙の仕方について、あらためて考え直すことになる。

 

 

  1. 5. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

 

  1. 6. FALL OF RUIN AND WRATH    New!

Jennifer L. Armentrout ジェニファー・L・アーメントラウト

神々に破壊された世界はいま、9つの都市だけが残され、それぞれ死の快楽を餌にする王族に支配されている。外れることのない直感を持って生まれたキャリスタは、共に生活する男爵への情報提供と引き換えに、彼の庇護を受けていた。キャリスタはトラブルに巻きこまれた王子を助けるが、いまは幸せを与えてくれるその王子はいつか破滅をもたらすと、彼女の直感が告げる。

 

 

  1. 7. DEMON COPPERHEAD    Stay

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

アパラチアの山岳地帯のトレーラーハウスで産み落とされたデーモン・コッパーヘッドは銅色の髪を持つ少年で、貧困と薬物中毒に苦しみながらもさまざまな人々と出会い、自身の才覚で生き延びていく。チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を現代アメリカの過疎地帯に置き換えた作品。

 

 

  1. 8. THE VASTER WILDS    New!

Lauren Groff ローレン・グロフ

荒野の入植地から、ひとりの奴隷の少女が逃げ出した。持ち物はわずかしかないが、ウィットと神への燃えるような思いをその内に秘めていた。未知の土地で少女は、想像をはるかに超えるものを目にし、これまで自分たちの文明から学んできたあらゆるものへの考えを変えることになる。

 

 

  1. 9. THE COVENANT OF WATER    Up

Abraham Verghese エイブラハム・ヴァルギーズ

20世紀の南インドのケララ州を舞台に、ある一家の3世代にわたる物語をつづった大河小説。1900年、12歳の少女アマキは2歳の息子ジョジョを持つ40歳の男やもめのもとへ嫁ぐ。アマキは16歳で娘を出産するが、継子のジョジョは10歳のとき用水路で溺死してしまう。アマキの一家はその後も疫病や飢饉や政治動乱など多くの苦難に見舞われる。

 

 

  1. 10. THE HEAVEN & EARTH GROCERY STORE    Down

James McBride ジェイムズ・マクブライド

1972年ペンシルヴェニア州のポッツタウンで、古い井戸の底から骸骨が発見された。それをきっかけに、1930年代にこの地に移ってきたユダヤ人とアフリカ系アメリカ人が住む町の秘密が明らかになる。

 

 

 

【まとめ】

今週は3、6、8位に新作がランクインしました。8位のグロフには、『運命と復讐』(光野多惠子訳/新潮社)と『丸い地球のどこかの曲がり角で』(光野多惠子訳/河出書房新社)の邦訳があります。10位圏外では、ドラマ・シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』などで知られる役者、ミリー・ボビー・ブラウンの初の著書『NINETEEN STEPS』が13位に初登場しています。彼女の祖母が、第二次世界大戦中のロンドンで体験したことにインスパイアされた物語だということです。本作については、じっさいに書いたとされるキャスリーン・マクガールの名前が表紙に記載されていないことで、物議を醸しているようです。

 

 

吉野山 早苗(よしのやま さなえ)

翻訳者です。訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ(ロビン・スティーヴンス/コージーブックス)など。

先日、『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』を観てきました。いろいろな意見があるようですが、わたしはたいへんおもしろく観ました。