アメリカのベストセラー・ランキング
8月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE LATE SHOW New!
Michael Connelly マイクル・コナリー
ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。
- 2. CAMINO ISLAND Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。
- 3. HOUSE OF SPIES Down
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第17作。テロ首謀者であるISISの黒幕サラディンを追うアロンは、ISISの資金源となっている麻薬密売への関与が疑われる南仏サントロペ在住の富豪夫妻への接近をはかる。
- 4. INTO THE WATER Stay
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。
- 5. MURDER GAMES Down
James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン
犯罪心理学の権威であるラインハートは、ニューヨーク市警の要請を受け、連続殺人事件の捜査に協力する。現場にはトランプのカードが残されており、ラインハートはそれが犯人の署名的行動ではなく、つぎの犠牲者を示す手がかりになっていると推理する。
- 6. THE IDENTICALS Stay
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド
恋も仕事も長つづきしない気まぐれなハーパー。完璧主義でやかまし屋のタビサ。両親の離婚後、長年のあいだナンタケット島とマーサズ・ヴィニヤード島に別れて暮らしてきた双子の姉妹は、行きづまった人生を立て直そうと、互いの家を交換することに決める。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。
- 7. A GENTLEMAN IN MOSCOW Up
Amor Towles エイモア・タウルズ
1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。
- 8. USE OF FORCE Down
Brad Thor ブラッド・ソー
アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第16作。地中海が激しい嵐に襲われてから数日後、大物テロリストの死体が岸に打ちあげられる。その男が大規模なテロ攻撃をおこなうために移動中だったと考えたCIAは、ハーヴァスに調査を依頼する。
- 9. THE DUCHESS Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
19世紀イングランド。公爵の娘アンジェリクは父にかわいがられて育ったが、18歳のときにその父が亡くなると、異母兄に疎まれて放逐されてしまう。パリに渡ったアンジェリクは、父の遺産を元手に上流階級向けのクラブを開く。
- 10. THE BREAKDOWN New!
- B. A. Paris B・A・パリス
土砂降りの夜、森で立ち往生した車に乗っていた女性。手を差し伸べていればその人は殺されずに済んだかもしれない。でも約束に背いて近道したのを夫に知られたら……。忘れえぬ罪悪感と対照的に、キャスの記憶の消失がはじまった。早期発症型認知症の影におびえる彼女を、無言電話が追い詰めていく。『完璧な家』の作者による心理スリラー第2弾。
【まとめ】
先週と同じく1位と10位に新作が入りました。1位をさらったのは大御所マイクル・コナリー、サーフィンと犬を愛する女性刑事を主人公にした新シリーズの登場です。ボッシュ・シリーズでも魅力的な女性を数多く描いてきたコナリーが、新たなヒロインにどのような人物造形を与えるのかが興味深いところ。非常に多作なことでも知られる著者の通算30作目にあたり、邦訳は5月に刊行されたボッシュ・シリーズ『ブラックボックス』(上下巻/講談社)が現時点での最新(25作目)となります。10位は3月に邦訳が刊行された『完璧な家』(ハーパーコリンズ・ ジャパン)のB・A・パリスによる2作目のサイコ・サスペンス。全英ベストセラーとなったデビュー作は映画化の話も進んでいるようです。ベストテン外では、12位にリサ・ウィンゲイト“BEFORE WE WERE YOURS”、13位にジャネル・ブラウン“WATCH ME DISAPPEAR”、14位にエドガー・カンテロ“MEDDLING KIDS”と、趣の異なる3作がランクインしています。
飯干京子(いいぼし きょうこ) |
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大阪在住。訳書にグレッグ・ルッカ『回帰者』など。 |