アメリカのベストセラー・ランキング

8月13日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. THE LATE SHOW    Stay

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。

 

  1. 2. CAMINO ISLAND    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

 

  1. 3. THE LYING GAME    New!

Ruth Ware ルース・ウェア

〈嘘つきゲーム〉が行きすぎて二流の寄宿学校を放校処分になったイサベル、ファティマ、テア、ケイトの元仲良し4人組は、ある秘密を抱えたまま離れ離れになっていた。15年が過ぎたある朝、ケイトからロンドン周辺に住むほかの3人に突然メールが届き、寄宿学校のあるイギリス南部の海沿いの町ソルトンに呼び戻される。

 

  1. 4. PARADISE VALLEY    New!
  2. C. J. Box C・J・ボックス

 

ノースダコタ州バッケン郡。ハイウェイを狩場に娼婦や家出人を狙う連続殺人犯リザード・キングを追って3年、郡保安官事務所の捜査官キャシー・デウェルは、犯人逮捕を確信して罠を仕掛けるが失敗し、責任を問われて失職する。同じころ、知り合いの少年が突然姿を消した。少年の祖母にたのまれて捜索を引き受けたキャシーは、一方でリザード・キングの追跡を独力で続けるが……。

 

  1. 5. HOUSE OF SPIES    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第17作。テロ首謀者であるISISの黒幕サラディンを追うアロンは、ISISの資金源となっている麻薬密売への関与が疑われる南仏サントロペ在住の富豪夫妻への接近をはかる。

 

  1. 6. INTO THE WATER    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。

 

  1. 7. THE PAINTED QUEEN    New!

Elizabeth Peters and Joan Hess エリザベス・ピーターズ、ジョーン・ヘス

1912年エジプト。ネフェルティティの胸像を求めて、発掘シーズンのカイロにやってきたアメリアと考古学者の夫ラドクリフにふたたび危険が迫る。2013年に亡くなったエリザベス・ピーターズが遺した未完の原稿を、〈マゴディ町ローカル事件簿〉シリーズのジョーン・ヘスが書き継いだ、アメリア・ピーバディー・シリーズ20作目にして最後の冒険。

 

  1. 8. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Down

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

 

  1. 9. MURDER GAMES    Down

James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン

犯罪心理学の権威であるラインハートは、ニューヨーク市警の要請を受け、連続殺人事件の捜査に協力する。現場にはトランプのカードが残されており、ラインハートはそれが犯人の署名的行動ではなく、つぎの犠牲者を示す手がかりになっていると推理する。

 

  1. 10. THE IDENTICALS    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

恋も仕事も長つづきしない気まぐれなハーパー。完璧主義でやかまし屋のタビサ。両親の離婚後、長年のあいだナンタケット島とマーサズ・ヴィニヤード島に別れて暮らしてきた双子の姉妹は、行きづまった人生を立て直そうと、互いの家を交換することに決める。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

【まとめ】
1位と2位は先週と変わらず、3、4位と7位に新作が入りました。3位には昨年本リストでも長くトップ10内を維持した“THE WOMAN IN CABIN 10”のルース・ウェアの新作スリラーがランクインしました。邦訳は、デビュー作『暗い暗い森の中で』(宇佐川晶子訳)がハヤカワ文庫NVより6月に刊行されています。4位のC・J・ボックスは、ノースダコタの女性捜査官キャシー・デウェルを主人公にした“BADLANDS”に続くシリーズ第2作であり、その前に発表された“BACK OF BEYOND”、“THE HIGHWAY”と合わせて〈ハイウェイ4部作〉とも呼ばれています。7位は、2013年に亡くなったエリザベス・ピーターズが遺した未完の原稿を、30年来の作家仲間であるジョーン・ヘスが書き継ぎ完成させたものとのこと。アメリア・ピーバディー・シリーズは1作目の『砂洲にひそむワニ』(青柳伸子訳)が原書房より翻訳刊行されています。

その他、トップ10外では、リンダ・フェアスタインのアレックス・クーパー・シリーズ第19作“DEADFALL”が12位に登場しています。こちらは第10作の『焦熱』(飯干京子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)まで翻訳刊行されています。

 

吉井智津(よしい ちづ)

翻訳者。最新訳書はノンフィクション『小さなモネ-アイリス・グレース-自閉症の少女と子猫の奇跡』辰巳出版より6月に刊行されました。