アメリカのベストセラー・ランキング

9月10日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. Y IS FOR YESTERDAY    New!

Sue Grafton スー・グラフトン

私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズの第25作。1979年、エリート校にかよう4人の少年が14歳のクラスメートに性的暴行を加え、その様子を撮影するという事件が起こる。4人のうち3人は逮捕されたが、主犯格のひとりは行方をくらましていた。10年後、釈放された犯人のひとりのもとへ、何者かから脅迫状が届く。

 

  1. 2. THE STORE    Stay

James Patterson and Richard DiLallo ジェイムズ・パタースン、リチャード・ディラロ

“ザ・ストア”がユーザーの需要を予測し、自宅まで商品をドローンで配達する近未来。人々は便利な生活を享受しているが、ニューヨークに住むライターの夫妻はその裏側を探ろうとする。“ザ・ストア”の真の目的に気づき、それを本にまとめようとしたふたりを、どこまでも監視の目が追う。

 

  1. 3. SEEING RED    Down

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

倒壊するホテルから5歳の少女を救出する男の写真――1992年、ダラスのホテルで大規模な爆破事件が起こり、写真の男トラッパーは一躍英雄になった。25年後、女性テレビジャーナリストのケーラの取材を受けた直後、トラッパーは何者かに襲われる。ケーラはトラッパーの息子で私立探偵のジョンの助けを借り、さらに調査を進めていく。

 

  1. 4. CAMINO ISLAND    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

 

  1. 5. THE LATE SHOW    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。

 

  1. 6. ANY DREAM WILL DO    Down

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

借金まみれの弟を救うために横領の罪を犯し、すべてを失った姉のシェイ。妻を亡くし、子供たちの世話に追われる牧師のドリュー。偶然出会ったふたりは心を通わせ、互いに支えあうが、その友情が恋に変わりかけた矢先、シェイの弟が町に舞い戻ってきて……シーダー・コーヴ・シリーズで知られる人気作家による単発長篇。

 

  1. 7. THE LYING GAME    Stay

Ruth Ware ルース・ウェア

〈嘘つきゲーム〉が行きすぎて二流の寄宿学校を放校処分になったイサベル、ファティマ、テア、ケイトの元仲良し4人組は、ある秘密を抱えたまま離れ離れになっていた。15年が過ぎたある朝、ケイトからロンドン周辺に住むほかの3人に突然メールが届き、寄宿学校のあるイギリス南部の海沿いの町ソルトンに呼び戻される。

 

  1. 8. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Up

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

 

  1. 9. SULFUR SPRINGS    New!

William Kent Krueger ウィリアム・ケント・クルーガー

元保安官コーク・オコナー・シリーズの第16作。コークと結婚したレイニーには息子がいたが、ピーターという名のその息子がアリゾナで行方不明になったことがわかる。ピーターを捜すため、コークたちは現地に出向くが、メキシコとの国境に近いその町はカルテルが牛耳っていた。

 

  1. 10. EXPOSED    Down

Lisa Scottoline リザ・スコットライン

《女性だけの弁護士事務所ロザート・アンド・アソシエイツ》シリーズ第16作。弁護士のメアリーは不当解雇された旧友サイモンの窮状を見かねて力になろうとする。ところが、同じ事務所のロザートがその会社の親会社の代理を長年つとめていて、利益相反になることがわかる。さらにサイモンの元上司が死体で見つかって、事態はますます複雑になる。

【まとめ】1位と9位に新作が登場しました。1位のスー・グラフトンのシリーズはこのところ2年おきの刊行がつづいており、あとはZを残すのみとなりました。前作は“X”という1文字だけのタイトルでしたが、今作は頭文字から単語につなげる従来のパターンにもどっています。邦訳は第18作の『ロマンスのR』まで刊行されています。9位のウィリアム・K・クルーガーのシリーズは第7作の『血の咆哮』まで邦訳刊行ずみ。ノンシリーズではエドガー賞やバリー賞を受賞した『ありふれた祈り』が2014年に刊行されています。トップテン外では、ロマンス作家スーザン・ウィッグスの“MAP OF THE HEART”が15位にはいりました。

青木創(あおき はじめ)

神奈川県在住。翻訳者。訳書に、J・ハーパー『渇きと偽り』、E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』、D・ワッツ『偶然の科学』、D・ウィンズロウ『報復』(共訳)など。