アメリカのベストセラー・ランキング

9月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. GLASS HOUSES    New!

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズの第13作。モントリオールの裁判所の証言台に立ち、スリー・パインズ村で昨秋発生した殺人事件について証言するガマシュ元警部。ことの発端は、村のビストロで開かれたハロウィン・パーティに仮面をかぶった黒ずくめの不審人物があらわれたことだった――

 

  1. 2. Y IS FOR YESTERDAY    Down

Sue Grafton スー・グラフトン

私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズの第25作。1979年、エリート校にかよう4人の少年が14歳のクラスメートに性的暴行を加え、その様子を撮影するという事件が起こる。4人のうち3人は逮捕されたが、主犯格のひとりは行方をくらましていた。10年後、釈放された犯人のひとりのもとへ、何者かから脅迫状が届く。

 

  1. 3. THE RIGHT TIME   New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

7歳で母に捨てられ、14歳で父を亡くしたのち、ミステリー小説だけを心の慰めに育ったアレクサンドラ。「男は男の書いたミステリーしか読まない」という亡き父の言葉を胸に、アレクサンダー・グリーンの名で男性作家を装ってデビューを果たすも、成功とともに二重生活の負担に苦しむようになる。

 

  1. 4. THE STORE    Down

James Patterson and Richard DiLallo ジェイムズ・パタースン、リチャード・ディラロ

“ザ・ストア”がユーザーの需要を予測し、自宅まで商品をドローンで配達する近未来。人々は便利な生活を享受しているが、ニューヨークに住むライターの夫妻はその裏側を探ろうとする。“ザ・ストア”の真の目的に気づき、それを本にまとめようとしたふたりを、どこまでも監視の目が追う。

 

  1. 5. CAMINO ISLAND    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

 

  1. 6. MY ABSOLUTE DARLING    New!

Gabriel Tallent ゲイブリエル・タレント

北カリフォルニアの海辺に暮らす14歳の少女タートル。幼いころに母親を亡くし、来るべき世界の終末を信じる父親により、狩猟や自然の中でのサバイバル術を教えこまれる一方、外部の人間から遠ざけられて育ったため友達もいない。だが、ある少年との出会いをきっかけに外の世界に目を開かされ、父親の影響下から逃れようと決意する。

 

  1. 7. SEEING RED    Down

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

倒壊するホテルから5歳の少女を救出する男の写真――1992年、ダラスのホテルで大規模な爆破事件が起こり、写真の男トラッパーは一躍英雄になった。25年後、女性テレビジャーナリストのケーラの取材を受けた直後、トラッパーは何者かに襲われる。ケーラはトラッパーの息子で私立探偵のジョンの助けを借り、さらに調査を進めていく。

 

  1. 8. THE LATE SHOW    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。

 

  1. 9. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Down

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

 

  1. 10. STAR WARS: PHASMA    New!

Delilah S. Dawson デリラ・S・ドーソン

映画《スター・ウォーズ/フォースの覚醒》で初登場したキャラクター、キャプテン・ファズマを主人公に据えたスピンオフ小説。ストームトルーパー部隊を率いるファースト・オーダー軍の女指揮官ファズマの秘められた過去が明かされる。

 

【まとめ】

4作が初登場しました。1位に輝いたのはスリー・パインズ村のガマシュ警部シリーズの最新作。毎年この時期に新作が発表されるとかならずランクインを果たしている人気シリーズで、第4作『スリー・パインズ村と警部の苦い夏』まで邦訳が出ています。6位の“MY ABSOLUTE DARLING”は30歳の新人作家のデビュー作。スティーヴン・キングが「『アラバマ物語』や『キャッチ=22』と並ぶ傑作」と評し、今年最大の話題作との呼び声も高い本書は、著者自身が育ったカリフォルニア州メンドシーノ郡の雄大な自然の描写も読みどころだとか。10位は今年12月に公開を控えたスター・ウォーズ新作映画、エピソード8《最後のジェダイ》の関連作品として発表されたオフィシャル外伝です。またベストテン外の15位には、『ニューヨーク・チルドレン』の邦訳があるクレア・メスードの“THE BURNING GIRL”が入っています。

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。