アメリカのベストセラー・ランキング

  1. 10月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

    1. 1. A COLUMN OF FIRE    New!

    Ken Follet ケン・フォレット

  2. 『大聖堂』、『大聖堂―果てしなき世界』に続く歴史大河シリーズ第3作。16世紀イギリス。故郷である大聖堂の町キングスブリッジに戻ったネッドは、国を引き裂く宗教の対立が、恋人マージェリーとの仲をも引き裂こうとしていることを知る。やがてエリザベス1世の治世となり、新設された情報組織のスパイたちとともに、ネッドとマージェリーらもまた激動の半世紀へと足を踏みいれていく。

     

    1. 2. THE GIRL WHO TAKES AN EYE FOR AN EYE    New!

    David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

  3. 故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作の後を引き継ぐ、『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女』の作者によるシリーズ続編。手段を選ばず少年を助けたことで女子刑務所に収監されたリスベットは、ミカエルの手を借り、自らの幼少期の秘密を探っていく。

     

    1. 3. ENEMY OF THE STATE    Stay

    Kyle Mills カイル・ミルズ

  4. サウジアラビア王の甥がISISに資金援助しているとわかり、ミッチ・ラップはサウジとアメリカとの同盟関係を脅かさないよう、CIAを離れて任務に当たる。だが、アメリカ同時多発テロ後に結ばれた両国間の密約を知り、アメリカ政府からも追われる身となる。原作者ヴィンス・フリンの他界後、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいるミッチ・ラップ・シリーズの第16作。

     

    1. 4. THE ROMANOV RANSOM    New!

    Clive Cussler and Robin Burcell クライブ・カッスラー、ロビン・バーセル

  5. トレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第9作。南米でナチスの逃走ルートの調査にあたっていたドキュメンタリー映画の監督らが行方不明になった。資金面でかかわっていたファーゴ夫妻は捜索に協力するうち、失われたロマノフ王朝の財宝への手がかりと、暗躍する危険な組織の存在を知る。

     

    1. 5. A LEGACY OF SPIES    Down

    John le Carré ジョン・ル・カレ

  6.  “サーカス”ことイギリス諜報部を引退して農場で暮らしていたピーター・ギラムは、冷戦時代にジョージ・スマイリーらとともに携わった諜報活動に関する調査のため、ロンドンへ呼びもどされる。伝説のスパイ、スマイリーが26年ぶりに登場するという最新作。本年11月に早川書房より邦訳刊行予定。

     

    1. 6. SECRETS IN DEATH    Down

    J.D. Robb  J・D・ロブ

  7. マンハッタンのシックなバーで、社交界でプロのゴシップ屋と呼ばれる女が殺害された。被害者は人々のプライバシーを売るだけでなく、つかんだ情報で相手を脅迫していたことがわかった。近未来SFサスペンスのイヴ&ローク・シリーズ第45作。

     

    1. 7. LITTLE FIRES EVERYWHERE    New!

    Celeste Ng セレスト・イン

  8. 90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。

     

    1. 8. ENIGMA    New!

    Catherine Coulter キャサリン・コールター

  9. ロマンチック・スリラー、FBIシリーズの第21作。サビッチが救出した人質事件の被害者カーラは、運ばれた病院で出産するが、生まれたばかりの息子アレックスを何者かに連れ去られてしまう。一方、意識を失ったままの身元不明の犯人の血液中から不審な薬物が検出され、ある科学者の存在が浮かびあがる。サビッチとシャーロックは、特別捜査官カム、元特殊部隊のジャックの協力を得て、ふたつの事件の解決に挑む。

     

    1. 9. Y IS FOR YESTERDAY    Down

    Sue Grafton スー・グラフトン

  10. 私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズの第25作。1979年、エリート校にかよう4人の少年が14歳のクラスメートに性的暴行を加え、その様子を撮影するという事件が起こる。4人のうち3人は逮捕されたが、主犯格のひとりは行方をくらましていた。10年後、釈放された犯人のひとりのもとへ、何者かから脅迫状が届く。

     

    1. 10. CAMINO ISLAND    Down

    John Grisham ジョン・グリシャム

  11. プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

     

    【まとめ】

    世界的ベストセラーシリーズの新作が1位、2位に登場し、先週に続いてトップ10リストの半分が入れ替わる、変動の多い週となりました。

    1位のケン・フォレットは、ともにドラマ化された『大聖堂』、『大聖堂―果てしなき世界』(ともにソフトバンク文庫)に続く10年ぶりの続編。2位は、10月に文庫化される前作『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女』(早川書房)が好評を博したダヴィド・ラーゲルクランツによるさらなる続編。〈ミレニアム〉期待の第5部です。4位は、冒険小説の巨匠クライブ・カッスラーの新作。トレジャーハンターのファーゴ夫妻が歴史の謎に挑むシリーズで、邦訳は第6作『トルテカ神の聖宝を発見せよ!』(扶桑社)まで刊行ずみ。7位初登場のセレスト・インは、ピッツバーグ生まれの中国系アメリカ人作家。前作“EVERYTHING I NEVER TOLD YOU”は、アンソニー・ドーア『すべての見えない光』(新潮社)、アンディ・ウィアー『火星の人』(早川書房)らとともに2015年度のアレックス賞に選ばれています。8位のキャサリン・コールターのFBIシリーズは、第17作(邦訳では第14作)の『錯綜』(二見書房)まで邦訳が刊行されています。

 

  1. 吉井智津(よしい ちづ)

    翻訳者。訳書に『小さなモネ―アイリス・グレース―自閉症の少女と子猫の奇跡』など。