アメリカのベストセラー・ランキング
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10月8日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
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1. THE CUBAN AFFAIR New!
Nelson DeMille ネルソン・デミル -
アメリカ陸軍を退役したダニエル・グレアム・マコーミック(通称マック)は、現在、マイアミ州キー・ウェストで釣り客相手のチャーター船の船長をしている。ある日、反カストロ・グループとの関わりが深い弁護士のカルロスに、キューバ系アメリカ人のサラを紹介される。彼女の祖父はキューバ革命のときにアメリカに亡命したが、その際、キューバに6千万米ドルを隠してきたらしい。アメリカとキューバが国境正常化に向けて動き出したいま、第3者に発見されるまえに祖父のお金を見つけたいというサラの依頼で、マックは危険な船旅に出発することになる。
2. TO BE WHERE YOU ARE New!
Jan Karon ジャン・カロン -
ノース・カロライナの架空の田舎町ミットフォードを舞台に、住民たちの悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ・シリーズ第14作。主人公の牧師夫妻の養子ドゥーリーは前作でソウルメイトのレイスと結婚したが、さっそく経済的な難局に直面し、開業した動物病院の経営も打撃を受ける。一方で、ふたりの養子のジャックには輝かしい未来が開かれ、ドゥーリーの実の家族が抱えていた深刻な問題にも、解決の兆しが見えはじめる。
3. A COLUMN OF FIRE Down
Ken Follet ケン・フォレット -
『大聖堂』、『大聖堂‐果てしなき世界』に続く歴史大河シリーズ第3作。16世紀イギリス。故郷である大聖堂の町キングスブリッジに戻ったネッドは、国を引き裂く宗教の対立が、恋人マージェリーとの仲をも引き裂こうとしていることを知る。やがてエリザベス1世の治世となり、新設された情報組織のスパイたちとともに、ネッドとマージェリーらもまた激動の半世紀へと足を踏みいれていく。
4. HAUNTED New!
James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン -
ニューヨーク市警の刑事、マイケル・ベネットを主人公にしたシリーズの10作目。休暇でメイン州に出かけたベネット一家だったが、滞在先で凄惨な殺人事件が起こり、マイケルは地元の警察に協力を求められる。しかし彼が事情を訊こうとしても、大都会からやって来た刑事に地元の人々は口を開こうとせず、その後もつづいて死体が発見される。そんななかで出会ったホームレスの少女を相棒に、マイケルは事件の真相に迫ろうとする。
5. THE GIRL WHO TAKES AN EYE FOR AN EYE Down
David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ -
故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作の後を引き継ぐ、『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女』の作者によるシリーズ続編。手段を選ばず少年を助けたことで女子刑務所に収監されたリスベットは、ミカエルの手を借り、自らの幼少期の秘密を探っていく。
6.A LEGACY OF SPIES Down
John le Carré ジョン・ル・カレ -
“サーカス”ことイギリス諜報部を引退して農場で暮らしていたピーター・ギラムは、冷戦時代にジョージ・スマイリーらとともに携わった諜報活動に関する調査のため、ロンドンへ呼びもどされる。伝説のスパイ、スマイリーが26年ぶりに登場するという最新作。本年11月に早川書房より邦訳刊行予定。
7. ENEMY OF THE STATE Down
Kyle Mills カイル・ミルズ -
サウジアラビア王の甥がISISに資金援助しているとわかり、ミッチ・ラップはサウジとアメリカとの同盟関係を脅かさないよう、CIAを離れて任務に当たる。だが、アメリカ同時多発テロ後に結ばれた両国間の密約を知り、アメリカ政府からも追われる身となる。原作者ヴィンス・フリンの他界後、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいるミッチ・ラップ・シリーズの第16作。
8. LITTLE FIRES EVERYWHERE Down
Celeste Ng セレスト・イン -
90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。
9.THE ROMANOV RANSOM Down
Clive Cussler and Robin Burcell クライブ・カッスラー、ロビン・バーセルトレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第9作。南米でナチスの逃走ルートの調査にあたっていたドキュメンタリー映画の監督らが行方不明になった。資金面でかかわっていたファーゴ夫妻は捜索に協力するうち、失われたロマノフ王朝の財宝への手がかりと、暗躍する危険な組織の存在を知る。
- 10. Y IS FOR YESTERDAY Down
Sue Grafton スー・グラフトン
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私立探偵キンジー・ミルホーン・シリーズの第25作。1979年、エリート校にかよう4人の少年が14歳のクラスメートに性的暴行を加え、その様子を撮影するという事件が起こる。4人のうち3人は逮捕されたが、主犯格のひとりは行方をくらましていた。10年後、釈放された犯人のひとりのもとへ、何者かから脅迫状が届く。
【まとめ】
新作3作がランクインしました。初登場で1位になったのは、ネルソン・デミルが新たに生み出したキャラクターを主人公に据えた作品で、2014年の“キューバの雪解け”という画期的な出来事を絡めたストーリーのようです。2位にはいった “TO BE WHERE YOU ARE” は、1994年からつづく息の長いシリーズです。このシリーズの邦訳は出ていませんが、著者のカロンは児童書も書いていて、そのうちの1作が『ジェレミーのぼうけん』(三辺律子訳/岩崎書店)というタイトルで2001年に出版されています。4位の “HAUNTED” は、ジェイムズ・パタースンがジェイムズ・O ・ボーンを共著者に迎えた作品。ボーン自身もいくつか作品を発表していて、2009年には”THE DROUGHT” という短編でバリー賞を受賞しました。10位圏外ですが、”A GENTLEMAN IN MOSCOW” が15位につけています。昨年の9月25日付のランキングで初登場して以来、あいかわらず人気は衰えていません。
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吉野山早苗(よしのやま さなえ) 翻訳者。訳書は〈英国少女探偵の事件簿〉(コージーブックス)シリーズです。ケネス・ブラナー版の映画『オリエント急行殺人事件』の公開が、いまから愉しみです。