アメリカのベストセラー・ランキング

11月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. ORIGIN    Stay

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

 

  1. 2. DEEP FREEZE    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

ヴァージル・フラワーズ・シリーズ第10作。ミネソタ州の小さな町で氷漬けになった中年女性の遺体が見つかる。近々開かれる高校の同窓会の打ち合わせをするために元同級生と会ったあと、殺されて川に捨てられたらしい。以前にもヴァージルはこの町で殺人事件の捜査をおこない、高校の関係者を逮捕したことがあった。

 

  1. 3. UNCOMMON TYPE    New!

Tom Hanks トム・ハンクス

内戦で祖国を追われ、ニューヨーク市にやって来た移民の男。ボウリングでパーフェクトスコアを出しつづけ、セレブにまでのぼり詰めた男。変わり者の億万長者とその忠実な秘書。17の心あたたまる物語をまとめた短編集。

 

  1. 4. SLEEPING BEAUTIES    Down

Stephen King and Owen King スティーヴン・キング オーエン・キング

スティーヴン・キングと次男オーエン・フィリップ・キングによる、超常現象サスペンス小説。アパラチア地方の小さな田舎町にある女子刑務所で、眠りについた女たちが白い繭状の膜に包まれるという怪現象が発生した。しかも、膜を破って眠りを妨げると、凶暴化して襲いかかってくるという。だが、女性たちが次々と繭に覆われていく中で、イーヴィーという謎めいた女だけは、この奇病に冒されなかった。イーヴィーは、希少な例外として研究されるべき存在なのか、それとも葬りさるべき悪魔なのか。男たちは彼女を巡って激しく対立し、女性が姿を消した世界は、混乱に陥っていく。

 

  1. 5. FAIRYTALE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

大学を卒業したカミーユが、カリフォルニアでワイナリーを営む両親を手伝いはじめた矢先、母が乳がんで急死する。失意の父はほどなくフランス人女性と再婚。ところが、継母となったその女の目あては、父の財産とワイナリーだった。カミーユをつぎつぎと試練が襲う。

 

  1. 6.  A COLUMN OF FIRE    Down

Ken Follet ケン・フォレット

『大聖堂』、『大聖堂‐果てしなき世界』に続く歴史大河シリーズ第3作。16世紀イギリス。故郷である大聖堂の町キングスブリッジに戻ったネッドは、国を引き裂く宗教の対立が、恋人マージェリーとの仲をも引き裂こうとしていることを知る。やがてエリザベス1世の治世となり、新設された情報組織のスパイたちとともに、ネッドとマージェリーらもまた激動の半世紀へと足を踏みいれていく。

 

  1. 7. MANHATTAN BEACH    Stay

Jennifer Egan ジェニファー・イーガン

大恐慌のさなかのマンハッタン。11歳のアナの父親は、ナイトクラブを経営するギャングのデクスターの口利きで職を得るが、のちに行方知れずとなる。第二次大戦勃発後、ブルックリン海軍工廠で女性初の潜水士として働きだしたアナは、デクスターに再会し、父の失踪の理由を探る。『ならずものがやってくる』でピュリッツァー賞、全米批評家協会賞を受賞した著者の7年ぶりの新作長篇。

 

  1. 8. DON’T LET GO    Up

Harlan Coben ハーラン・コーベン

ニュージャージーの刑事ナポレオン・ドゥマス(通称ナップ)の双子の兄弟レオは、高校三年生のとき、ガールフレンドのダイアナとともに、線路上で遺体となって発見された。同じ頃、ナップの恋人マウラも、理由も告げず姿を消していた。

以来ナップは、マウラの行方を追い、レオの死の真相を探っていたが、ある日、高校時代のクラスメートでもある同僚を殺した容疑者の車から、マウラの指紋が発見される。ますます深まる謎を追求するうちに、レオとダイアナの死の真相が明らかになっていく。

 

  1. 9. THE GIRL WHO TAKES AN EYE FOR AN EYE    Down

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作の後を引き継ぐ、『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女』の作者によるシリーズ続編。手段を選ばず少年を助けたことで女子刑務所に収監されたリスベットは、ミカエルの手を借り、自らの幼少期の秘密を探っていく。

 

  1. 10. IT DEVOURS!    New!

Joseph Fink and Jeffrey Cranor ジョセフ・フィンク、ジェフリー・クレイナー

ナイトヴェールの町で科学者として働くニランジャナ。町はずれの砂漠から聞こえる謎の音の正体を調べるうちに、《微笑む神の喜ばしき教団》なる宗教団体に出会う。教団はどうやら町を壊滅させかねない儀式をおこなっているらしく……。人気ポッドキャスト番組《ウェルカム・トゥ・ナイトヴェール》の制作者による新作小説。

 

【まとめ】

2位、3位、10位に新作が登場しました。2位のシリーズはルーカス・ダベンポートを主人公とする「獲物」シリーズのスピンオフ作品で、ヴァージルはルーカスの部下にあたります。邦訳は「獲物」シリーズが第10作『餌食』まで刊行されています。3位は言わずと知れたオスカー俳優、トム・ハンクスがはじめて出した短編集。オーディオブック版のナレーションをハンクス自身が担当していることも話題になっています。10位のナイトヴェール・シリーズは第1作の“WELCOME TO NIGHT VALE”が2015年に出版され、本ランキングにも登場しました。トップテン外に目立った動きはありません。

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    神奈川県在住。翻訳者。11月に早川書房からエイミー・ジェントリー『消えたはずの、』が出版されます。誘拐された娘が8年ぶりに帰ってきたことからはじまる母の苦悩を描いたミステリです。また、J・ハーパー『渇きと偽り』が本年のCWAゴールド・ダガー賞を受賞しました。合わせてよろしくお願いいたします。