アメリカのベストセラー・ランキング

11月12日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE ROOSTER BAR    New!

John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

  1. 2. ORIGIN    Down

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

 

  1. 3. DEEP FREEZE    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ヴァージル・フラワーズ・シリーズ第10作。ミネソタ州の小さな町で氷漬けになった中年女性の遺体が見つかる。近々開かれる高校の同窓会の打ち合わせをするために元同級生と会ったあと、殺されて川に捨てられたらしい。以前にもヴァージルはこの町で殺人事件の捜査をおこない、高校の関係者を逮捕したことがあった。

 

  1. 4. SLEEPING BEAUTIES    Stay

Stephen King and Owen King スティーヴン・キング、オーエン・キング

スティーヴン・キングと次男オーエン・フィリップ・キングによる、超常現象サスペンス小説。アパラチア地方の小さな田舎町にある女子刑務所で、眠りについた女たちが白い繭状の膜に包まれるという怪現象が発生した。しかも、膜を破って眠りを妨げると、凶暴化して襲いかかってくるという。だが、女性たちが次々と繭に覆われていく中で、イーヴィーという謎めいた女だけは、この奇病に冒されなかった。イーヴィーは、希少な例外として研究されるべき存在なのか、それとも葬りさるべき悪魔なのか。男たちは彼女を巡って激しく対立し、女性が姿を消した世界は、混乱に陥っていく。

 

  1. 5. UNCOMMON TYPE    Down

Tom Hanks トム・ハンクス

内戦で祖国を追われ、ニューヨーク市にやって来た移民の男。ボウリングでパーフェクトスコアを出しつづけ、セレブにまでのぼり詰めた男。変わり者の億万長者とその忠実な秘書。17の心あたたまる物語をまとめた短編集。

 

  1. 6. A COLUMN OF FIRE    Stay

Ken Follet ケン・フォレット

『大聖堂』、『大聖堂‐果てしなき世界』に続く歴史大河シリーズ第3作。16世紀イギリス。故郷である大聖堂の町キングスブリッジに戻ったネッドは、国を引き裂く宗教の対立が、恋人マージェリーとの仲をも引き裂こうとしていることを知る。やがてエリザベス1世の治世となり、新設された情報組織のスパイたちとともに、ネッドとマージェリーらもまた激動の半世紀へと足を踏みいれていく。

 

  1. 7. QUICK & DIRTY    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第43作。美しき未亡人モーガンと知りあったバリントン。彼女の夫は自宅コンドミニアムのテラスから転落死し、部屋に飾られていたゴッホの絵画が消えていたという。はたして彼は誤って落ちたのか、誰かに突き落とされたのか、そして名画のゆくえは――

 

  1. 8. FAIRYTALE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

大学を卒業したカミーユが、カリフォルニアでワイナリーを営む両親を手伝いはじめた矢先、母が乳がんで急死する。失意の父はほどなくフランス人女性と再婚。ところが、継母となったその女の目あては、父の財産とワイナリーだった。カミーユをつぎつぎと試練が襲う。

 

  1. 9. STRANGE WEATHER    New!

Joe Hill ジョー・ヒル

『ホーンズ 角』、『NOS4A2―ノスフェラトゥ―』(ともに小学館文庫)などで知られるホラーの名手ジョー・ヒルが送る、中篇4つをおさめた作品集。

 

  1. 10. THE GIRL WHO TAKES AN EYE FOR AN EYE    Down

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンのミレニアム3部作の後を引き継ぐ、『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』の作者によるシリーズ続編。手段を選ばず少年を助けたことで女子刑務所に収監されたリスベットは、ミカエルの手を借り、自らの幼少期の秘密を探っていく。

 

【まとめ】

1位、7位、9位に初登場の新作がランクインしました。首位に輝いたのは、リーガル・サスペンスの大家ジョン・グリシャムの最新作。アトランティック誌に載った記事に着想を得て、営利目的のロースクール経営ビジネスの闇に切りこんだ作品とのことです。当ランキング常連のグリシャムですが、邦訳は今年1月に刊行された『汚染訴訟(上・下)』(新潮文庫)が最新となっています。9位に入ったジョー・ヒルの“STRANGE WEATHER”は、父スティーヴン・キングの『恐怖の四季』(春夏秋冬の各季節にちなんだ4つの中篇を収録した作品集。邦訳は新潮文庫より『ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編』『スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編』の2分冊で刊行されています)を思わせる1冊。4位の“SLEEPING BEAUTIES”とあわせ、今週はキング家の父子3人が登場するランキングとなりました。

 

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。