アメリカのベストセラー・ランキング

11月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. THE ROOSTER BAR    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

  1. 2. TWO KINDS OF TRUTH    New!

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロサンゼルス市警察を離れたハリー・ボッシュは、サンフェルナンド警察でボランティアとして未解決事件を担当していた。そこで、地元ドラッグストアの薬剤師親子が殺害された事件の捜査線上に、処方薬の転売に携わるギャングの影が浮かびあがる。一方、昔ロスで手がけたある殺人事件の犯人が、ハリーに証拠を捏造され、嵌められたと主張する。ハリー・ボッシュ・シリーズ第22作。

  1. 3. ORIGIN    Down

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

  1. 4. TWIN PEAKS: THE FINAL DOSSIER    New!

Mark Frost マーク・フロスト

昨秋ベストテン入りし、本年7月に邦訳が刊行された『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』の続編。『ツイン・ピークス』新旧シリーズを隔てる25年のあいだに登場人物らに起きたできごとや、新シリーズの謎にも切りこむ。本年12月22日、『ツイン・ピークス ファイナル・ドキュメント』としてKADOKAWAより刊行予定。

  1. 5. UNCOMMON TYPE    Stay

Tom Hanks トム・ハンクス

内戦で祖国を追われ、ニューヨーク市にやって来た移民の男。ボウリングでパーフェクトスコアを出しつづけ、セレブにまでのぼり詰めた男。変わり者の億万長者とその忠実な秘書。17の心あたたまる物語をまとめた短編集。

  1. 6. DEEP FREEZE    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ヴァージル・フラワーズ・シリーズ第10作。ミネソタ州の小さな町で氷漬けになった中年女性の遺体が見つかる。近々開かれる高校の同窓会の打ち合わせをするために元同級生と会ったあと、殺されて川に捨てられたらしい。以前にもヴァージルはこの町で殺人事件の捜査をおこない、高校の関係者を逮捕したことがあった。

  1. 7. SLEEPING BEAUTIES    Down

Stephen King and Owen King スティーヴン・キング、オーエン・キング

スティーヴン・キングと次男オーエン・フィリップ・キングによる、超常現象サスペンス小説。アパラチア地方の小さな田舎町にある女子刑務所で、眠りについた女たちが白い繭状の膜に包まれるという怪現象が発生した。しかも、膜を破って眠りを妨げると、凶暴化して襲いかかってくるという。だが、女性たちが次々と繭に覆われていく中で、イーヴィーという謎めいた女だけは、この奇病に冒されなかった。イーヴィーは、希少な例外として研究されるべき存在なのか、それとも葬りさるべき悪魔なのか。男たちは彼女を巡って激しく対立し、女性が姿を消した世界は、混乱に陥っていく。

  1. 8. A COLUMN OF FIRE    Down

Ken Follet ケン・フォレット

『大聖堂』、『大聖堂‐果てしなき世界』に続く歴史大河シリーズ第3作。16世紀イギリス。故郷である大聖堂の町キングスブリッジに戻ったネッドは、国を引き裂く宗教の対立が、恋人マージェリーとの仲をも引き裂こうとしていることを知る。やがてエリザベス1世の治世となり、新設された情報組織のスパイたちとともに、ネッドとマージェリーらもまた激動の半世紀へと足を踏みいれていく。

  1. 9. MANHATTAN BEACH    Up

Jennifer Egan ジェニファー・イーガン

大恐慌のさなかのマンハッタン。11歳のアナの父親は、ナイトクラブを経営するギャングのデクスターの口利きで職を得るが、のちに行方知れずとなる。第二次大戦勃発後、ブルックリン海軍工廠で女性初の潜水士として働きだしたアナは、デクスターに再会し、父の失踪の理由を探る。『ならずものがやってくる』でピュリッツァー賞、全米批評家協会賞を受賞した著者の7年ぶりの新作長篇。

  1. 10. IN THE MIDST OF WINTER    New!

Isabel Allende イサベル・アジェンデ

雪嵐のさなかにブルックリンで起きた小さな交通事故をきっかけに、人権問題の専門家であるリチャードのもとに、グァテマラ出身の若い不法就労者イヴリンが助けを求めて訪ねてきた。そしてリチャードは、部屋を貸しているチリ出身の非常勤講師ルシアの力を借りることに。世界的ベストセラー『精霊たちの家』などで知られるチリの女性作家の最新作。

【まとめ】

今週は2位、4位、10位に新作が登場しました。2位のハリー・ボッシュ・シリーズは、第18作『ブラックボックス』が講談社文庫より本年5月に刊行されています。また、ハリーの腹違いの兄弟という設定で本シリーズにも登場するミッキー・ハラーが主人公の『リンカーン弁護士』シリーズも、最新作『罪責の神々 リンカーン弁護士(上・下)』が10月に刊行されたところです。4位の著者は『ツイン・ピークス』の共同制作者であるマーク・フロスト。早くも来月邦訳が出版されますが、“ドラマ『ツイン・ピークス』の事件にまつわるドキュメントをすべて掲載した「完全版」”とのことで、ファンには嬉しい1冊になりそうです。

 

  1. 佐藤桂(さとう けい)

    神奈川県在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)など。