アメリカのベストセラー・ランキング

12月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1.OATHBRINGER    New!
Brandon Sanderson ブランドン・サンダースン

ヴォイドブリンガーと呼ばれるモンスターたちがもどってきた。復讐心に燃える彼らが現れたことで、人類はあらたな世界の荒廃に直面することになる。〈THE STORMLIGHT ARCHIVE〉シリーズの3作目。

 

2.HARDCORE TWENTY-FOUR    New!
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

〈ステファニー・プラム〉シリーズの24作目。トレントンの町のあちこちで、首なし死体が相次いで発見される。さいしょは、葬儀場や死体安置所の死体の首が切断されるというものだった。しかし殺害されたホームレスの死体が教会の敷地で見つかると、ステファニーは殺人犯を追いはじめる。そんななか、超能力者のディーゼルがトレントンにもどってきた。彼は一連の事件に関係あるのだろうか?

 

3. END GAME    New!   
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

〈ウィル・ロビー〉シリーズの5作目。アメリカ合衆国に対する破壊工作の計画が発覚し、政府はそれを事前に食い止めるべく、ウィル・ロビーとジェシカ・リールに極秘任務を課す。しかし、ふたりの後ろ盾になるはずだったコードネーム“ブルーマン”が、釣りに出かけたまま消息を絶つ。ロビーとリールは調査のためグランドという小さな町に出向くが、そこは犯罪とドラッグにあふれ、武装集団が横行していた。

 

4. THE MIDNIGHT LINE    Down
Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第22作。中西部の小さな町をあてもなく歩いていたリーチャー。質屋の店先で、名門ウエストポイント陸軍士官学校のクラスリングを目にして立ちどまる。ウエストポイント出身者のひとりとして、それが簡単に質入れなどできない卒業記念の大切な品だと知っていたからだ。指輪のサイズはおそらく女性用。何かがおかしいと直感したリーチャーは、持ち主の足跡をたどり、西へ向かう。

 

5 . THE ROOSTER BAR    Down
John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

6. ARTEMIS    New!
Andy Weir アンディ・ウィアー

月面に人類がはじめてつくった町、アルテミスに住むジャスミン・バシャラ(ジャズ)。裕福になりたいと願う彼女に大きなチャンスが訪れる。しかしその結果、ささやかな密輸をしていただけだったジャズは徹底的な悪事に手を染めることになり、やがてアルテミスそのものを支配しようとする陰謀に巻き込まれていく。邦訳は2018年1月に早川書房より刊行予定。

 

7. ORIGIN    Down
Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

 

8. TWO KINDS OF TRUTH    Down
Michael Connelly マイクル・コナリー

ロサンゼルス市警察を離れたハリー・ボッシュは、サンフェルナンド警察でボランティアとして未解決事件を担当していた。そこで、地元ドラッグストアの薬剤師親子が殺害された事件の捜査線上に、処方薬の転売に携わるギャングの影が浮かびあがる。一方、昔ロスで手がけたある殺人事件の犯人が、ハリーに証拠を捏造され、嵌められたと主張する。ハリー・ボッシュ・シリーズ第22作。

 

9. TYPHOON FURY    Down
Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

ハイテク装備の秘密工作船オレゴン号の冒険を描く、オレゴン・ファイル・シリーズ第12作。失われた絵画の捜索を依頼されたオレゴン号のファン・カブリーヨ船長と仲間たちだったが、その仕事の裏には、フィリピンの反乱勢力のリーダーによる恐ろしい計画が隠されていた。

 

10.EVERY BREATH YOU TAKE    Down
Mary Higgins Clark and Alafair Burke メアリ・ヒギンズ・クラーク、アラフェア・バーク

クラークとバークの共作によるシリーズ第4作。未解決事件を扱うテレビ番組“アンダー・サスピション”のプロデューサー、ローリーは、メトロポリタン美術館の屋根から突き落とされた、裕福な未亡人の死の謎を追う

 

【まとめ】

今週は新作が4作ランクインしました。初登場で1位になったのは、〈THE STORMLIGHT ARCHIVE〉シリーズの3作目です。1作目は〈王たちの道〉として、『白き暗殺者』、『死を呼ぶ嵐』、『自由への架け橋』の3分冊で早川書房より刊行されています。2位には、イヴァノヴィッチの〈ステファニー・プラム〉シリーズの24作目がはいりました。トレントンにもどってきた“超能力者のディーゼル”とは、番外編にあたる『お騒がせなクリスマス』で初お目見えしたキャラクターです。その後、彼を主人公にしたシリーズもはじまりました。3位のバルダッチはちょうど1年まえに、〈ウィル・ロビー〉シリーズの4作目を出版。そのときは初登場で2位、今回は3位と、安定した人気があります。6位に初登場した “ARTEMIS” は、前作『火星の人』(ハヤカワ文庫SF)を原作とした映画『オデッセイ』の大ヒットを受け、20世紀フォックス社が出版まえに映画化権を獲得したことでも話題の作品です。

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    翻訳者です。訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ。

    いまさらですが、BBC2のドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』にはまっています。イギリスでは先々週からシーズン4がはじまりました。1日でも早く、日本でも見られますように。