アメリカのベストセラー・ランキング

12月10日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE PEOPLE VS. ALEX CROSS    New!

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第25作。宿敵ゲイリー・ソーンジの信奉者を正当防衛で撃ち殺したクロスは、殺人警官の汚名を着せられ、裁判にかけられることに。停職処分を受け、裁判を待つ間に開いたカウンセリングオフィスに、昔の相棒サンプソンが訪ねてくる。サンプソンから、ブロンド女性の連続失踪事件の解決に手を貸してほしいと頼まれたクロスは、停職中にもかかわらず、キャリアを賭して捜査に乗りだす。

 

2 . THE ROOSTER BAR    Up
John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

3. ORIGIN    Up
Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

 

4.HARDCORE TWENTY-FOUR    Down
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

〈ステファニー・プラム〉シリーズの24作目。トレントンの町のあちこちで、首なし死体が相次いで発見される。さいしょは、葬儀場や死体安置所の死体の首が切断されるというものだった。しかし殺害されたホームレスの死体が教会の敷地で見つかると、ステファニーは殺人犯を追いはじめる。そんななか、超能力者のディーゼルがトレントンにもどってきた。彼は一連の事件に関係あるのだろうか?

 

5. THE MIDNIGHT LINE    Down
Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第22作。中西部の小さな町をあてもなく歩いていたリーチャー。質屋の店先で、名門ウエストポイント陸軍士官学校のクラスリングを目にして立ちどまる。ウエストポイント出身者のひとりとして、それが簡単に質入れなどできない卒業記念の大切な品だと知っていたからだ。指輪のサイズはおそらく女性用。何かがおかしいと直感したリーチャーは、持ち主の足跡をたどり、西へ向かう。

 

6. END GAME    Down    
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

〈ウィル・ロビー〉シリーズの5作目。アメリカ合衆国に対する破壊工作の計画が発覚し、政府はそれを事前に食い止めるべく、ウィル・ロビーとジェシカ・リールに極秘任務を課す。しかし、ふたりの後ろ盾になるはずだったコードネーム“ブルーマン”が、釣りに出かけたまま消息を絶つ。ロビーとリールは調査のためグランドという小さな町に出向くが、そこは犯罪とドラッグにあふれ、武装集団が横行していた。

 

7. ARTEMIS    Down
Andy Weir アンディ・ウィアー

月面に人類がはじめてつくった町、アルテミスに住むジャスミン・バシャラ(ジャズ)。裕福になりたいと願う彼女に大きなチャンスが訪れる。しかしその結果、ささやかな密輸をしていただけだったジャズは徹底的な悪事に手を染めることになり、やがてアルテミスそのものを支配しようとする陰謀に巻き込まれていく。邦訳は2018年1月に早川書房より刊行予定。

 

8.OATHBRINGER    Down
Brandon Sanderson ブランドン・サンダースン

ヴォイドブリンガーと呼ばれるモンスターたちがもどってきた。復讐心に燃える彼らが現れたことで、人類はあらたな世界の荒廃に直面することになる。〈THE STORMLIGHT ARCHIVE〉シリーズの3作目。

 

9. TWO KINDS OF TRUTH    Down
Michael Connelly マイクル・コナリー

ロサンゼルス市警察を離れたハリー・ボッシュは、サンフェルナンド警察でボランティアとして未解決事件を担当していた。そこで、地元ドラッグストアの薬剤師親子が殺害された事件の捜査線上に、処方薬の転売に携わるギャングの影が浮かびあがる。一方、昔ロスで手がけたある殺人事件の犯人が、ハリーに証拠を捏造され、嵌められたと主張する。ハリー・ボッシュ・シリーズ第22作。

 

10. UNCOMMON TYPE    Up
Tom Hanks トム・ハンクス

内戦で祖国を追われ、ニューヨーク市にやって来た移民の男。ボウリングでパーフェクトスコアを出しつづけ、セレブにまでのぼり詰めた男。変わり者の億万長者とその忠実な秘書。17の心あたたまる物語をまとめた短編集。

 

【まとめ】

新作が6作、4作と続々ランクインした先々週、先週から打って変わり、今週ベストテンに初登場した作品は、1位のジェイムズ・パタースンの最新作だけでした。昨年刊行された刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作“CROSS THE LINE”に引き続き、恒例通りこの時期の発表となりました。本国では人気の高い長寿シリーズですが、邦訳は、モーガン・フリーマン主演映画『スパイダー/コレクター2』や『コレクター』の原作で有名な『多重人格殺人者』『キス・ザ・ガールズ』等、計5作のみで、2013年にシリーズ第12作“CROSS”の映画化作品『バーニング・クロス』が本邦公開されたものの、小説の邦訳は2007年刊行のシリーズ第7作『血と薔薇』で途絶えています。またトップテン外の11位には、ディーン・クーンツの新シリーズFBI捜査官ジェイン・ホークシリーズの第2作“The Whispering Room”が入りました。第3作“The Crooked Staircase”も2018年5月に刊行予定です。

 

 

  1. 服部理佳(はっとり りか)

    翻訳者。訳書は『セレクションⅠ 片恋協奏曲』他セレクションシリーズ(ポプラ社)、『プリンセスブートキャンプ』(アルファポリス)など。