アメリカのベストセラー・ランキング

12月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE ROOSTER BAR    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

  1. 2. ORIGIN    Up

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が来春刊行予定。

 

  1. 3. THE PEOPLE VS. ALEX CROSS    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第25作。宿敵ゲイリー・ソーンジの信奉者を正当防衛で撃ち殺したクロスは、殺人警官の汚名を着せられ、裁判にかけられることに。停職処分を受け、裁判を待つ間に開いたカウンセリングオフィスに、昔の相棒サンプソンが訪ねてくる。サンプソンから、ブロンド女性の連続失踪事件の解決に手を貸してほしいと頼まれたクロスは、停職中にもかかわらず、キャリアを賭して捜査に乗りだす。

 

  1. 4. THE MIDNIGHT LINE    Up

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第22作。中西部の小さな町をあてもなく歩いていたリーチャー。質屋の店先で、名門ウエストポイント陸軍士官学校のクラスリングを目にして立ちどまる。ウエストポイント出身者のひとりとして、それが簡単に質入れなどできない卒業記念の大切な品だと知っていたからだ。指輪のサイズはおそらく女性用。何かがおかしいと直感したリーチャーは、持ち主の足跡をたどり、西へ向かう。

 

  1. 5. END GAME    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

ウィル・ロビー・シリーズの第5作。アメリカ合衆国に対する破壊工作の計画が発覚し、政府はそれを事前に食い止めるべく、ウィル・ロビーとジェシカ・リールに極秘任務を課す。しかし、ふたりの後ろ盾になるはずだったコードネーム“ブルーマン”が、釣りに出かけたまま消息を絶つ。ロビーとリールは調査のためグランドという小さな町に出向くが、そこは犯罪とドラッグにあふれ、武装集団が横行していた。

 

  1. 6. PAST PERFECT    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

仕事も子育ても順風満帆のグレゴリー夫妻。平穏そのものの生活は、夫の転職でマンハッタンからサンフランシスコに移り、由緒ある大きな屋敷に暮らしはじめたとたん、一変する。その屋敷には、1世紀前の住人だったバターフィールド一家の幽霊が棲みついていたのだ。やがてふたつの家族には、100年の隔たりを越えた友情が芽生える。

 

  1. 7. TOM CLANCY: POWER AND EMPIRE    New!

Marc Cameron マーク・キャメロン

G20サミットを控え、挑発を強める中国政府への対応に追われる合衆国大統領ライアン。一方、西海岸沖合で中国船籍の石油タンカーの爆発事件が発生する。対テロ民間極秘組織〈ザ・キャンパス〉は関与が疑われる中国人スパイの情報が記録されたUSBメモリを入手するが……。故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ第13作。今回はマーク・グリーニーに代わりマーク・キャメロンが執筆を担当している。

 

  1. 8. HARDCORE TWENTY-FOUR    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

ステファニー・プラム・シリーズの第24作。トレントンの町のあちこちで、首なし死体が相次いで発見される。さいしょは、葬儀場や死体安置所の死体の首が切断されるというものだった。しかし殺害されたホームレスの死体が教会の敷地で見つかると、ステファニーは殺人犯を追いはじめる。そんななか、超能力者のディーゼルがトレントンにもどってきた。彼は一連の事件に関係あるのだろうか?

 

9. ARTEMIS    Down

Andy Weir アンディ・ウィアー

月面に人類がはじめてつくった町、アルテミスに住むジャスミン・バシャラ(ジャズ)。裕福になりたいと願う彼女に大きなチャンスが訪れる。しかしその結果、ささやかな密輸をしていただけだったジャズは徹底的な悪事に手を染めることになり、やがてアルテミスそのものを支配しようとする陰謀に巻き込まれていく。邦訳は2018年1月に早川書房より刊行予定。

 

  1. 10. TWO KINDS OF TRUTH    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロサンゼルス市警察を離れたハリー・ボッシュは、サンフェルナンド警察でボランティアとして未解決事件を担当していた。そこで、地元ドラッグストアの薬剤師親子が殺害された事件の捜査線上に、処方薬の転売に携わるギャングの影が浮かびあがる。一方、昔ロスで手がけたある殺人事件の犯人が、ハリーに証拠を捏造され、嵌められたと主張する。ハリー・ボッシュ・シリーズ第22作。

 

【まとめ】

今週は新作2つが登場しました。6位に入ったランキング常連のダニエル・スティールは、今年も7作がベストテン入りしています。7位のジャック・ライアン・シリーズは、シリーズ外伝の邦訳『機密奪還』(新潮社)が今年3月に刊行。こちらはマーク・グリーニーの作品ですが、今回の“POWER AND EMPIRE”は新たに『殺戮者のウイルス』(オークラ出版)のマーク・キャメロンが執筆を担当しています。書評SNSのGoodreadsで読者が選ぶGoodreads Choice Awardsが今年も発表され、今週9位のアンディ・ウィアー“ARTEMIS”がSF 部門賞を受賞しました。邦訳『アルテミス』は来年1月24日、早川書房より刊行予定です。ミステリー&スリラー部門賞は今月3日に刊行されたポーラ・ホーキンズ『魔女の水浴』(アカデミー出版)、次点には今週2位のダン・ブラウン“ORIGIN”が選ばれています。ホラー部門賞はスティーヴン・キング&オーエン・キングの“SLEEPING BEAUTIES”でした。

 

 

  1. 中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

    訳書にミシェル・アダムズ『邪魔者』、サムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』、ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち Ⅳ 聖なるワニの棺』など。