アメリカのベストセラー・ランキング

2月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. DARK IN DEATH  New!

J.D. Robb J・D・ロブ

イヴ&ローク・シリーズ第45作。慎重に計画されたと思われる殺人事件で頭を悩ませるイヴに、警察小説を書く作家がヒントをもたらす。自分の書いた作品の殺害状況と似ているというのだ。その説が当てはまるなら、これは連続殺人の2件目ということになる。イヴは彼女の作品を読み、犯人のつぎの狙いを探ろうとする。

 

  1. 2. STILL ME  New!

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

介護ヘルパーのルーはニューヨークで、超お金持ちのレナードと彼の歳の離れた若い後妻、アグネスのもとで働くことになった。しかしまもなく、五番街で仕事をする自分と、古着の店に行って心から落ち着いている自分とのあいだで、引き裂かれるような思いを感じるようになる。ルー・クラークとはいったい何者か、そう自分に問いかける彼女の姿を描く。

 

3.THE WOMAN IN THE WINDOW    Down
A.J. Finn A・J・フィン

夫が娘を連れて出ていったあと、マンハッタンの家でひとり暮らす心理学者のアナ・フォックス。広場恐怖症の彼女は、こもりきりの部屋で酒を飲み、古いサスペンス映画を見ては、部屋の窓からカメラのレンズ越しに隣人たちの生活を覗き見していた。ある日、新しく人が越してきた向かいの窓を覗き見していた彼女は、ある犯罪の現場を目撃してしまうのだが……。20世紀フォックスで映画化が予定されている、新鋭による心理スリラー。

 

  1. 4. FALL FROM GRACE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

夫が突然の事故で死亡し、裕福な生活から一転、愛する人も家も財産も、すべてを失ったシドニー。かつて身を置いていたファッション業界へもどることを決めるが、転職先に問題が持ちあがる。49歳から新たな人生の冒険に踏み出そうとする女性の物語。

 

  1. 5. LITTLE FIRES EVERYWHERE   Down

Celeste Ng セレスト・イン

90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。

 

  1. 6. ORIGIN    Down

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳『オリジン』(上・下)が2月末刊行予定。

 

  1. 7. BEFORE WE WERE YOURS    Down

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。

 

  1. 8. THE WIFE BETWEEN US    Stay

Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリーア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン

ハンサムで裕福な夫リチャードと別れ、酒浸りの日々を送るヴァネッサは、リチャードの再婚を阻止しようと、婚約者のネリーの身辺をひそかに探りはじめる。一方、幸せの絶頂にいるはずのネリーも暗い秘密を抱えていた。やがてネリーの周囲で不審な出来事が相次ぐように……。ベストセラー作家と元担当編集者のコンビによる、衝撃の心理スリラー。

 

  1. 9. THE ROOSTER BAR    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

  1. 10. THE GRAVE’S A FINE AND PRIVATE PLACE  New!

Alan Bradley アラン・ブラッドリー

少女探偵フレーヴィア・シリーズの第8作。家族を襲った悲しみを紛らわすために旅に出るようすすめられたフレーヴィアは、ふたりの姉とともにパント船で川を下る。通りすぎた教会の牧師には、3人の女性教区民のワインに毒をこっそり入れて殺害したとの噂があった。フレーヴィアがわくわくしながら川に手を入れると、人間の死体を引き上げてしまう。

 

【まとめ】

 *今月から第1月曜日に新しいコラムの連載がはじまったため、NYTのベストセラー・ランキングは第2月曜日から掲載されます*

 先週の2月11日付のリストでは、新作が2作ランクインしていました。2位にはいったダニエル・スティールの “FALL FROM GRACE” は、49歳から新たな人生の冒険に踏み出そうとする女性の物語で、今週も4位に留まっています。10位にはこれがデビュー作となるカレン・クリーヴランドの “NEED TO KNOW” がランクイン。著者は元CIA調査官で、リー・チャイルドやジョン・グリシャムからも絶賛されているようです。また、シャーリーズ・セロンが映画化権を買ったことでも話題です。

 2月18日付のリストには、新作が3作ランクインしました。初登場で1位になったのは、イヴ&ローク・シリーズ第45作。息の長いシリーズで、44作目の『狩人の羅針盤』が2月28日に発売予定です。2位にはいったのは、映画化もされた『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』、”AFTER YOU” につづくシリーズの3作目です。10位には、少女探偵フレーヴィアの活躍を描いたシリーズの8作目がはいりました。主人公のフレーヴィアは12歳ですが、大人顔負けの化学の知識を駆使して事件を解決します。年代を問わず楽しめるシリーズで、6作目の『不思議なキジのサンドウィッチ』までが邦訳されています。

 

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ。来月、3作目が出ます。主人公のふたりがオリエント急行に乗っています。