アメリカのベストセラー・ランキング
3月4日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE GREAT ALONE Stay
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ベトナム戦争で捕虜となり、心に深い傷を負ったアーントは、帰国後に妻子を連れてアラスカに移住し、大自然に囲まれた新たな生活をはじめる。親切な住民たちの協力もあり、滑りだしは順調に思えたが、寒さが厳しさを増すとともにアーントの精神状態が悪化し、一家は試練の冬を迎える。ロングセラーとなった『ナイチンゲール』の作者による新作。
- 2. AN AMERICAN MARRIAGE Stay
Tayari Jones タヤリ・ジョーンズ
新婚夫婦のロイとセレスチャルは順風満帆の人生を送っていたが、ある日ロイが身に覚えのない罪で逮捕され、12年の禁固刑を科されてしまう。セレスチャルは孤独に耐えられず、別の男に惹かれていくが、5年後に突然ロイが釈放され、家に帰ってくることとなる。
- 3. THE WOMAN IN THE WINDOW Stay
A.J. Finn A・J・フィン
夫が娘を連れて出ていったあと、マンハッタンの家でひとり暮らす心理学者のアナ・フォックス。広場恐怖症の彼女は、こもりきりの部屋で酒を飲み、古いサスペンス映画を見ては、部屋の窓からカメラのレンズ越しに隣人たちの生活を覗き見していた。ある日、新しく人が越してきた向かいの窓を覗き見していた彼女は、ある犯罪の現場を目撃してしまうのだが……。20世紀フォックスで映画化が予定されている、新鋭による心理スリラー。
- 4. STILL ME Stay
Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ
介護ヘルパーのルーはニューヨークで、超お金持ちのレナードと彼の歳の離れた若い後妻、アグネスのもとで働くことになった。しかしまもなく、五番街で仕事をする自分と、古着の店に行って心から落ち着いている自分とのあいだで、引き裂かれるような思いを感じるようになる。ルー・クラークとはいったい何者か、そう自分に問いかける彼女の姿を描く。
- 5. LOOK FOR ME Stay
Lisa Gardner リサ・ガードナー
ボストン市警の刑事D・D・ウォレンを主人公とするシリーズの第9作。一家5人のうち4人が惨殺される事件が起こる。残りのひとり、里子だった16歳の少女の行方はわからない。少女は運よく殺人犯の手から逃れたのか、それとも犯行に関与しているのか。ウォレンが少女を捜すうちに、その悲惨な境遇が明らかになっていく。
- 6. NIGHT MOVES New!
Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン
ロサンゼルスの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズの第33作。裕福な一家の自宅地下室で惨殺死体が発見され、家族はみな身元不明の被害者に心あたりはないと口をそろえる一方、隣人の漫画家が怪しいと訴える。親友の刑事マイロの求めで捜査に加わったアレックスは、やがて高級住宅街の隠された闇に気づきはじめる。
- 7. LITTLE FIRES EVERYWHERE Stay
Celeste Ng セレスト・イン
90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。
- 8. ORIGIN Stay
Dan Brown ダン・ブラウン
元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳『オリジン』(上・下)が2月末刊行予定。
- 9. DARK IN DEATH Down
J.D. Robb J・D・ロブ
イヴ&ローク・シリーズ第45作。慎重に計画されたと思われる殺人事件で頭を悩ませるイヴに、警察小説を書く作家がヒントをもたらす。自分の書いた作品の殺害状況と似ているというのだ。その説が当てはまるなら、これは連続殺人の2件目ということになる。イヴは彼女の作品を読み、犯人のつぎの狙いを探ろうとする。
- 10. BEFORE WE WERE YOURS Down
Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト
1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。
【まとめ】
1位から5位までが先週と変わらず。6位に新作が登場しました。アレックス・デラウェア・シリーズは1980年代からほぼ毎年1作のペースで刊行されている長寿シリーズで、邦訳は14作目の『マーダー・プラン』(講談社文庫)まで出ています。またトップテン外の14位には、ジェイソン・マシューズの“THE KREMLIN’S CANDIDATE”が入りました。これは『レッド・スパロー』(上・下、ハヤカワ文庫)から始まるスパイ・スリラー三部作の最終巻とのこと。ちなみにジェニファー・ローレンス主演の『レッド・スパロー』の映画化は来月に日本公開を控えています。
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満園真木(みつぞの まき) 東京在住の翻訳者。先月刊行された『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル著/東京創元社)はミステリファンにおすすめの検死/解剖ノンフィクション。放映中のドラマ『アンナチュラル』を楽しんでいるかたもぜひお手にとってみてください。また今週5位にランクインしているリサ・ガードナー著“LOOK FOR ME”の前作にあたるD・D・ウォレン・シリーズ第8作『棺の女』(小学館文庫)もどうぞよろしくお願いします。