-
アメリカのベストセラー・ランキング
3月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE GREAT ALONE Stay
- Kristin Hannah クリスティン・ハナ
-
ベトナム戦争で捕虜となり、心に深い傷を負ったアーントは、帰国後に妻子を連れてアラスカに移住し、大自然に囲まれた新たな生活をはじめる。親切な住民たちの協力もあり、滑りだしは順調に思えたが、寒さが厳しさを増すとともにアーントの精神状態が悪化し、一家は試練の冬を迎える。ロングセラーとなった『ナイチンゲール』の作者による新作。
- 2. FIFTY FIFTY Stay
James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス
-
オーストラリアを舞台とした刑事ハリエット・ブルー・シリーズ第2作。ハリエットは連続殺人容疑で逮捕された兄の無実を証明しようとするも、トラブルを起こしてシドニーから人口わずか75人の田舎町へと飛ばされる。だが、その町を壊滅させかねない大量殺戮計画が明らかになり、まもなく最初の殺人事件が起きる。
- 3. THE WOMAN IN THE WINDOW Stay
A.J. Finn A・J・フィン
-
夫が娘を連れて出ていったあと、マンハッタンの家でひとり暮らす心理学者のアナ・フォックス。広場恐怖症の彼女は、こもりきりの部屋で酒を飲み、古いサスペンス映画を見ては、部屋の窓からカメラのレンズ越しに隣人たちの生活を覗き見していた。ある日、新しく人が越してきた向かいの窓を覗き見していた彼女は、ある犯罪の現場を目撃してしまうのだが……。20世紀フォックスで映画化が予定されている、新鋭による心理スリラー。
- 4. AN AMERICAN MARRIAGE Stay
Tayari Jones タヤリ・ジョーンズ
-
新婚夫婦のロイとセレスチャルは順風満帆の人生を送っていたが、ある日ロイが身に覚えのない罪で逮捕され、12年の禁固刑を科されてしまう。セレスチャルは孤独に耐えられず、別の男に惹かれていくが、5年後に突然ロイが釈放され、家に帰ってくることとなる。
- 5. LITTLE FIRES EVERYWHERE Up
Celeste Ng セレスト・イン
-
90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。
- 6. RASPBERRY DANISH MURDER New!
Joanne Fluke ジョアン・フルーク
-
夫のロス・バートンが失踪しても、なぜかそれほど心動かされないハンナだったが、あらたな殺人事件が起きたとあれば放っておけない。地元ラジオ局で、ロスのデスクに置かれた毒入りキャンディーを食べたアシスタントが死んだのだ。つまり、犯人はロスをねらっている? お菓子探偵ハンナ・スウェンセン・シリーズ第22作。
- 7. BEFORE WE WERE YOURS Up
Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト
-
1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。
- 8. STILL ME Down
Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ
-
介護ヘルパーのルーはニューヨークで、超お金持ちのレナードと彼の歳の離れた若い後妻、アグネスのもとで働くことになった。しかしまもなく、五番街で仕事をする自分と、古着の店に行って心から落ち着いている自分とのあいだで、引き裂かれるような思いを感じるようになる。ルー・クラークとはいったい何者か、そう自分に問いかける彼女の姿を描く。
- 9. THE HUSH New!
John Hart ジョン・ハート
-
ジョニーが5年前に相続した6000エーカーの土地の所有権を、そこに先祖が代々住んでいたとして主張する人物が現れた。その土地を守りたいが金のないジョニーは、法律事務所で働く旧友ジャックに相談するが……。『ラスト・チャイルド』で鮮烈な印象を残した少年ジョニーのその後の物語。
- 10. ORIGIN Down
Dan Brown ダン・ブラウン
-
教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳『オリジン』(上・下)が2月に刊行されました。
【まとめ】
今週は2作があらたにトップテン入りしました。3位にランクインしたジョアン・フルークの人気シリーズは、第18作『ダブルファッジ・ブラウニーが震えている』(ヴィレッジブックス)までが邦訳刊行されています。9位は、『川は静かに流れ』、『ラスト・チャイルド』(ともに早川書房)でエドガー賞長編賞を連続受賞のほか、数々の受賞歴をもつジョン・ハートの最新作。23歳になった『ラスト・チャイルド』の少年ジョニーが主人公です。
また、先週2位に初登場したジェイムズ・パタースン&キャンディス・フォックスが今週も2位をキープ。シリーズ前作“NEVER NEVER”は2017年2月5日付ランキングで1位を獲得しています。
吉井智津(よしい ちづ) 翻訳者。訳書にベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』(小学館文庫)、アラベラ・カーター・ジョンソン『小さなモネ―アイリス・グレース―自閉症の少女と子猫の奇跡』(辰巳出版)など。