アメリカのベストセラー・ランキング
4月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. I’VE GOT MY EYES ON YOU New!
Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク
18歳のケリーは親の留守中に友人たちを自宅に呼んでパーティーを開くが、翌日に死体となって庭のプールの底から発見される。警察はパーティー中にケリーと言い争っていた恋人に疑いをかけるが、本人はかたくなに関与を否定する。サスペンスの女王によるフーダニット。
- 2. THE FEMALE PERSUASION New!
Meg Wolitzer メグ・ウォリッツァー
大学に入学したころのグリーアは引っこみ思案の少女だったが、著名なフェミニストであるフェイスの講演を聞いて感動し、みずからの生き方を変えたいと望む。卒業後、憧れていたフェイスのもとで働きはじめたものの、恋人との不和や理想と現実のギャップに悩まされることになる。
- 3. THE DISAPPEARED Down
C.J. Box C・J・ボックス
ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットを主人公とするシリーズの第18作。観光でワイオミングを訪れたイギリス人女性が消息を絶ち、州知事からの指示を受けてジョーが捜索を開始する。
- 4. RED ALERT Down
James Patterson and Marshall Karp ジェイムズ・パタースン、マーシャル・カープ
ニューヨーク市警の特命捜査班“レッド”所属のザック・ジョーダンとカイリー・マクドナルドの男女コンビが活躍するシリーズの第5作。有名な映画プロデューサーが死体で発見される一方、爆弾騒ぎが起こり、ザックとカイリーは捜査に奔走する。
- 5. THE GREAT ALONE Down
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ベトナム戦争で捕虜となり、心に深い傷を負ったアーントは、帰国後に妻子を連れてアラスカに移住し、大自然に囲まれた新たな生活をはじめる。親切な住民たちの協力もあり、滑りだしは順調に思えたが、寒さが厳しさを増すとともにアーントの精神状態が悪化し、一家は試練の冬を迎える。ロングセラーとなった『ナイチンゲール』の作者による新作。
- 6. LITTLE FIRES EVERYWHERE Stay
Celeste Ng セレスト・イン
90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。
- 7. BEFORE WE WERE YOURS Up
Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト
1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。
- 8. ACCIDENTAL HEROES Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
ニューヨーク・JFK空港の保安検査場で不審なメッセージが記された絵葉書が発見される。サンフランシスコ行きの便に搭乗した何者かが残したものらしい。機内でテロが実行される怖れがある――大惨事を阻止すべく、乗務員や運輸保安局員、乗客らが力を合わせる。
- 9. THE WOMAN IN THE WINDOW Down
A.J. Finn A・J・フィン
夫が娘を連れて出ていったあと、マンハッタンの家でひとり暮らす心理学者のアナ・フォックス。広場恐怖症の彼女は、こもりきりの部屋で酒を飲み、古いサスペンス映画を見ては、部屋の窓からカメラのレンズ越しに隣人たちの生活を覗き見していた。ある日、新しく人が越してきた向かいの窓を覗き見していた彼女は、ある犯罪の現場を目撃してしまうのだが……。20世紀フォックスで映画化が予定されている、新鋭による心理スリラー。
- 10. VARINA New!
Charles Frazier チャールズ・フレイジャー
ジェファーソン・デイヴィスと結婚した結果、アメリカ連合国の最初にして最後のファーストレディとなったヴァリナ・ハウエルの生涯を描いたヒストリカル・フィクション。南北戦争の敗北によって連合国が崩壊すると、ヴァリナは追われる身となり、子供たちを連れて首都リッチモンドを脱出し、苦難の逃避行をつづける。
【まとめ】
新たに3作がトップテン入りを果たしました。1位のメアリ・H・クラークは御年90歳ですが、相変わらずの人気を誇っています。2位はウォリッツァーは4年ぶりの新作。邦訳は『ディス・イズ・マイライフ』と『フレンズ・フォー・ライフ』が刊行されています。また、2003年に刊行された“THE WIFE”は、最近になってグレン・クローズの主演で映画化されており、2018年夏に公開予定です。10位のフレイジャーはやはり南北戦争を舞台にした『コールドマウンテン』の作者で、同作はジュード・ロウ、ニコール・キッドマンの主演で映画化されました。トップテン外では、アン・ヒラーマンのリープホーン&チー・シリーズの最新作“CAVE OF BONES”が11位にはいっています。
-
青木創(あおき はじめ) 神奈川県在住。翻訳者。訳書にD・ワッツ『偶然の科学』、J・ハーパー『渇きと偽り』、E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』など。