アメリカのベストセラー・ランキング
5月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE FALLEN New!
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第4作。デッカーは友人の新聞記者アレックス・ジェイミソンと、彼女の親類を訪ねてペンシルバニア州西部のさびれた工業地帯にある小さな町へ来ていた。そこで裏手の家の不審な様子に気づき、死因不明の2遺体を発見するが、それは複雑な事件の氷山の一角にすぎなかった。
- 2. AFTER ANNA Stay
Lisa Scottoline リザ・スコットライン
シングルファザーのノアと再婚したばかりのマギーのもとに、前夫とのあいだの娘アナから、父親を事故で亡くしたと連絡が入る。マギーは生後まもなく手放してしまったアナとの17年ぶりの再会を喜び、呼び寄せて一緒に暮らしはじめるが、わずか数週間後にアナが殺害され、ノアが容疑者として逮捕されてしまう。スタンドアローンの心理サスペンス。
- 3. NOIR New!
Christopher Moore クリストファー・ムーア
1947年夏のサンフランシスコ。バーテンダーのサミーは、ブロンドの美女スティルトンにひと目惚れをする。一方で、裏社会にコネのあるサミーはボスの命令でとある空軍大将に力を貸すが、やがてスティルトンが行方知れずになり、謎の“メン・イン・ブラック”たちに追われる身となる。人気ユーモア作家の最新作。
- 4. I’VE GOT MY EYES ON YOU Down
Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク
18歳のケリーは親の留守中に友人たちを自宅に呼んでパーティーを開くが、翌日に死体となって庭のプールの底から発見される。警察はパーティー中にケリーと言い争っていた恋人に疑いをかけるが、本人はかたくなに関与を否定する。サスペンスの女王によるフーダニット。
- 5. THE FEMALE PERSUASION Up
Meg Wolitzer メグ・ウォリッツァー
大学に入学したころのグリーアは引っこみ思案の少女だったが、著名なフェミニストであるフェイスの講演を聞いて感動し、みずからの生き方を変えたいと望む。卒業後、憧れていたフェイスのもとで働きはじめたものの、恋人との不和や理想と現実のギャップに悩まされることになる。
- 6. LITTLE FIRES EVERYWHERE Up
Celeste Ng セレスト・イン
90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。
- 7. CIRCE Down
Madeline Miller マデリン・ミラー
ギリシャ神話に登場する太陽神ヘリオスの娘キルケー。恋人を奪った海のニンフ、スキュラを魔法で怪物に変えた彼女はゼウスの怒りを買い、アイアイエー島に追放されるが、そこでオデュッセウスと出会って恋に落ちる。デビュー作『アキレウスの歌』に続き、ギリシャ神話に題材をとった著者の長編第2作。
- 8. BEFORE WE WERE YOURS Up
Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト
1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。
- 9. THE WOMAN IN THE WINDOW Up
A.J. Finn A・J・フィン
夫が娘を連れて出ていったあと、マンハッタンの家でひとり暮らす心理学者のアナ・フォックス。広場恐怖症の彼女は、こもりきりの部屋で酒を飲み、古いサスペンス映画を見ては、部屋の窓からカメラのレンズ越しに隣人たちの生活を覗き見していた。ある日、新しく人が越してきた向かいの窓を覗き見していた彼女は、ある犯罪の現場を目撃してしまうのだが……。20世紀フォックスで映画化が予定されている、新鋭による心理スリラー。
- 10. THE GREAT ALONE Up
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ベトナム戦争で捕虜となり、心に深い傷を負ったアーントは、帰国後に妻子を連れてアラスカに移住し、大自然に囲まれた新たな生活をはじめる。親切な住民たちの協力もあり、滑りだしは順調に思えたが、寒さが厳しさを増すとともにアーントの精神状態が悪化し、一家は試練の冬を迎える。ロングセラーとなった『ナイチンゲール』の作者による新作。
【まとめ】
新作がふたつランクインしました。1位は「忘れることができない」完全記憶能力を持つ元刑事の私立探偵、デッカーを主人公としたシリーズの最新作。これまでの4作品すべてが初登場1位を獲得している人気作です。邦訳は第1作『完全記憶探偵』(上・下)につづいて、第2作“THE LAST MILE”が本年6月に竹書房より刊行予定。3位のクリストファー・ムーアは『悪魔を飼っていた男』、『アルアル島の大事件』(東京創元社)などで知られるアメリカを代表するユーモア作家です。ベストテン外では、『エコー・メイカー』で全米図書賞を受賞したリチャード・パワーズの“THE OVERSTORY”が12位に、スター・ウォーズ・シリーズの“カノン(正史)”最新作“STAR WARS: LAST SHOT”が15位に入っています。
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佐藤桂(さとう けい) 神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)、Amazon Kindle Single『地獄の沙汰もビットコイン次第: 仮想通貨の闇を追う』(ジェイク・エーデルスタイン、ナタリー・郷子・ストゥッキー著)など。