アメリカのベストセラー・ランキング

6月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. THE CAST    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

マンハッタンで雑誌のコラムニストとして活躍するケイト。子育ても終わり、公私ともに安定した日々を送っていたが、ハリウッドのテレビプロデューサーと知り合ったことがきっかけで、祖母の思い出をもとにしたドラマの脚本を手がけることになる。個性豊かなキャストやスタッフとの出会いがケイトに新しい世界をもたらす。

  1. 2. THE 17TH SUSPECT    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズの第17作。サンフランシスコで銃撃事件が連続して起こる。犯人につながる手がかりがないなか、ある女性から内密の情報を聞かされたリンジー・ボクサーは、サンフランシスコ市警内部でひじょうによからぬことが起こっていると思わざるを得なくなる。

  1. 3. THE FALLEN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第4作。デッカーは友人の新聞記者アレックス・ジェイミソンと、彼女の親類を訪ねてペンシルバニア州西部のさびれた工業地帯にある小さな町へ来ていた。そこで裏手の家の不審な様子に気づき、死因不明の2遺体を発見するが、それは複雑な事件の氷山の一角にすぎなかった。

  1. 4. BY INVITATION ONLY    New!

Dorothea Benton Frank ドロシア・ベントン・フランク

サウスカロライナで桃農家を営むスティフテル家のひとり息子と、シカゴの富豪カンブリア家のひとり娘が恋に落ちる。それぞれの実家で開かれた婚約披露パーティーは、片や気楽なバーベキュー、片やセレブの集う優雅な晩餐会。生活環境や価値観のちがいにとまどうふたつの家族の悲喜こもごもが描かれる。

  1. 5. THE HIGH TIDE CLUB    Down

Mary Kay Andrews メアリー・ケイ・アンドルーズ

弁護士のブルック・トラップネルは、余命わずかな高齢の億万長者ジョセフィーヌに呼びだされ、秘密めいた依頼を受ける。その内容は、彼女が所有する島と遺産を守り、遠い昔に亡くなった親友たち――「ザ・ハイ・タイド・クラブ」のメンバー3人の、子供たちを探しだして償いをすることだった。『愛さずにはいられない』の作者による新作ウィメンズ・フィクション。

6.TWISTED PREY    Down
John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第28作。米国連邦保安官となったルーカスが旧敵と対決。政敵による自身の暗殺計画を確信した上院議員からの依頼を受けて、ルーカスは、かつて対峙した、野心家でリッチなサイコパス、タリン・グラントの身辺調査を始めるが……。

  1. 7. BEFORE WE WERE YOURS    Stay

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカル・ノヴェル。

  1. 8. LITTLE FIRES EVERYWHERE    Stay

Celeste Ng セレスト・イン

90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。

  1. 9. WARLIGHT    Down

Michael Ondaatje マイケル・オンダーチェ

第二次世界大戦直後、14歳のナサニエルと姉レイチェルの両親は、ふたりをロンドンのモス(蛾)と呼ばれる怪しげな人物に預けて、シンガポールへ出奔してしまう。ふたりは、モスと、モスの謎めいた仲間たちの庇護のもと、成長していくが……。彼らはいったい何者なのか、出奔した母は、何故突然ひとりだけで戻ってきたのか。12年後、当時の謎が明らかになる。

  1. 10. THE CROOKED STAIRCASE    Down

Dean Koontz ディーン・クーンツ

FBI捜査官ジェイン・ホークは、夫の自死や、国中に蔓延する、理由のない自殺や殺人が、ある秘密結社の陰謀によるものであることを突きとめ、命を狙われていたが、人々の自由と自由意志を守るため、ただひとりその殺人集団と対決することを決意する。FBI捜査官ジェイン・ホーク・シリーズの第3作。

 

【まとめ】

今週のベストテンは初登場が2作。5作が入れ替わった過去2週に比べ、変動は少なめでした。1位はおなじみのダニエル・スティール。前々作“FALL FROM GRACE”と同様、人生の後半にさしかかった女性が新たな世界に飛びこむ物語です。4位のドロシア・ベントン・フランクも新作が毎回ベストテン入りする人気作家。100万部を超えるヒットとなったデビュー作『愛しき海辺の家』(集英社文庫)を含め、19の作品を発表しています。ベストテン外では、14位にキャサリン・センターの“HOW TO WALK AWAY”がランクイン。こちらも理想の生活を突然失った女性の再生の物語ということで、今週はウィメンズ・フィクション3作が新たに上位入りという結果となりました。

 

  1. 中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

    最新訳書のC・J・チューダー『白墨人形』(文藝春秋)が刊行されました。80年代テイスト満載の、光と影に満ちた切ない少年時代の物語。ラストにはぞわぞわする真相が待ち受けております。お読みいただけるとうれしいです。訳書はほかにミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち5 最後の戦い』、ミシェル・アダムズ『邪魔者』など。