アメリカのベストセラー・ランキング

6月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE OUTSIDER    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

  1. 2. SHELTER IN PLACE    New!

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

メーン州ポートランドのショッピングモールで銃乱射事件が起こる。わずか8分間の凶行だったが、生存者たちは心に深い傷を負い、その後の人生を大きく左右される。警察官を志す者、心を閉ざして記憶を消そうとする者……彼らが時間をかけて立ちなおりつつあっころ、新たな殺戮がおこなわれようとしていた。

 

  1. 3. THE GRAY GHOST    New!

Clive Cussler and Robin Burcell  クライブ・カッスラー、ロビン・バーセル

トレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第10作。1906年、グレイゴーストと呼ばれるロールスロイスの名車がイギリスのマンチェスターで盗まれ、アメリカ人の探偵が取りもどすという事件が起こる。100年あまりのち、犯人とされた男の孫が夫妻のもとを訪れ、祖父の無実を証明したいと頼む。

 

  1. 4. THE DEATH OF MRS. WESTAWAY    New!

Ruth Ware ルース・ウェア

タロットカードの占い師であるハルは、自分に大金を遺贈するという謎の手紙を受けとる。誤配だろうが、占いで鍛えたコールド・リーディングの手管を使えば、金をせしめられるかもしれない。そこで故人の葬式に参列するが、得体の知れない違和感を覚えることになる。

 

  1. 5. TO THE MOON AND BACK    New!

Karen Kingsbury カレン・キングズベリー

バクスター家の人々を主人公とする人気シリーズの第27作。オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件で母親を失ったブレイディは、慰霊のために毎年現地を訪れているうちに、ジェナというやはり事件で両親を失った女性と出会って強く惹かれる。だがその後、ジェナは二度と姿を現さなかった。事情を知ったアシュレイ・バクスターたちはジェナ捜しに協力する。

 

  1. 6. THE 17TH SUSPECT    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズの第17作。サンフランシスコで銃撃事件が連続して起こる。犯人につながる手がかりがないなか、ある女性から内密の情報を聞かされたリンジー・ボクサーは、サンフランシスコ市警内部でひじょうによからぬことが起こっていると思わざるを得なくなる。

 

  1. 7. THE FALLEN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第4作。デッカーは友人の新聞記者アレックス・ジェイミソンと、彼女の親類を訪ねてペンシルバニア州西部のさびれた工業地帯にある小さな町へ来ていた。そこで裏手の家の不審な様子に気づき、死因不明の2遺体を発見するが、それは複雑な事件の氷山の一角にすぎなかった。

 

  1. 8. BY INVITATION ONLY    Down

Dorothea Benton Frank ドロシア・ベントン・フランク

サウスカロライナで桃農家を営むスティフテル家のひとり息子と、シカゴの富豪カンブリア家のひとり娘が恋に落ちる。それぞれの実家で開かれた婚約披露パーティーは、片や気楽なバーベキュー、片やセレブの集う優雅な晩餐会。生活環境や価値観のちがいにとまどうふたつの家族の悲喜こもごもが描かれる。

 

  1. 9. THE CAST    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

マンハッタンで雑誌のコラムニストとして活躍するケイト。子育ても終わり、公私ともに安定した日々を送っていたが、ハリウッドのテレビプロデューサーと知り合ったことがきっかけで、祖母の思い出をもとにしたドラマの脚本を手がけることになる。個性豊かなキャストやスタッフとの出会いがケイトに新しい世界をもたらす。

 

  1. 10. BEFORE WE WERE YOURS    Down

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカル・ノヴェル。

 

【まとめ】

先週初登場で1位を奪取したキングが今週も首位を守りました。先週6位にランクインしたメアリー・アリス・モンローの“BEACH HOUSE REUNION”は惜しくも圏外となっています。代わって2位から5位までを新作が独占しました。2位のロバーツは相変わらずの人気で、昨年暮れに本ランキングに登場したバイオサスペンス“YEAR ONE”が、日本でも『世界の果てに生まれる光』の邦題で刊行されました。3位のカッスラーの冒険小説シリーズも安定した人気を誇っており、邦訳は第7作『ソロモン海底都市の呪いを解け!』まで刊行ずみ。4位は“THE WOMAN IN CABIN 10”で知られるウェアの新作で、邦訳はデビュー作『暗い暗い森の中で』が刊行されています。5位のキングズベリーのシリーズは残念ながら未訳です。トップテン外に目立った動きはありませんでした。

 

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    神奈川県在住。翻訳者。訳書にD・ワッツ『偶然の科学』、J・ハーパー『渇きと偽り』、E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』など。