アメリカのベストセラー・ランキング

8月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE OTHER WOMAN    New!

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第18作。ロシア人の情報提供者を亡命させようとしたものの作戦は失敗、アロンは情報を漏らしていた潜入スパイを探し出そうとする。そのころアンダルシアの山中で、重大な秘密を知るフランス人の女が“THE OTHER WOMAN”と題した回想録の執筆をはじめていた。

 

  1. 2. THE PRESIDENT IS MISSING    Down

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。早川書房から近日刊行予定。

 

3. COTTAGE BY THE SEA    New!
Debbie Macomber デビー・マッコーマー

不慮の事故で家族を一度に失い、悲しみに暮れていたアニーは、セラピストから助言を受け、子供のころ家族と過ごした海辺の町へ引っ越す。そこで仕事を得て、知り合いや友人ができたものの、やがてまたアニーは人生の転機となる決断を迫られる。

 

  1. 4. THE OUTSIDER    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

  1. 5. THE PERFECT COUPLE    Up

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

ウェディング・シーズンのナンタケット島。オーティス家とウィンベリー家の豪華な結婚式が予定されていたその日、港で死体が発見された。お祝いムードは一転、新郎新婦とその両親、そして参列者の全員が容疑者に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

 

  1. 6. ALL WE EVER WANTED    Down

Emily Giffin エミリー・ギフィン

エリートの夫と出来のいい息子とともに、しあわせな日々を過ごすニーナ。手を焼かされてきた娘のライラが名門校に入学して、ようやく肩の荷をおろしたシングル・ファーザーのトム。このふた組の家族が、あるパーティの場で撮られた1枚の写真をきっかけに出会い、ほんとうの人生を生きるための勇気を探しはじめる。

 

  1. 7. SPYMASTER    Up

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第17作。ヨーロッパでは、外交官が秘密組織に襲撃される事件が相次ぎ、きな臭い空気が漂っていた。アメリカを巻きこんだ世界大戦勃発の危機を回避するため、ハーヴァスは、チームを率いてヨーロッパに向かう。

 

  1. 8. CLOCK DANCE    Down

Anne Tyler アン・タイラー

二度の結婚を経験し、ふたりの息子を育てたものの、61歳のウィラの人生は消極的な選択の連続だった。だが、ある日かかってきた1本の電話がすべてを変える。息子の元恋人が怪我で入院し、9歳の娘シェリルの世話をする者がいないという。自分の孫ではないと知りながら、ウィラはシェリルの暮らすボルチモア行きの飛行機に飛び乗る。

 

  1. 9. THE GOOD FIGHT    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

1960年代のアメリカ。高名な法律家を祖父と父に持つメレディスは、保守的な両親の反対を押し切り、自らも弁護士を目指す。公民権運動やベトナム反戦運動に身を投じる一方、急速な価値観の変化のなかで揺らぐ家族の絆に苦悩する――激動の時代を背景に描かれる女性の自立の物語。

 

 

  1. 10. WHEN LIFE GIVES YOU LULULEMONS    Stay

Lauren Weisberger ローレン・ワイズバーガー

『プラダを着た悪魔』、『プラダを着た悪魔 リベンジ!』に続く働く女性のお仕事小説第3弾。ニューヨークのファッション誌編集者からハリウッドのスタイリスト兼イメージコンサルタントに転じたエミリー。ライバルにセレブの顧客を次々に奪われて落ち目の彼女は、起死回生を期して飲酒運転で逮捕された元スーパーモデル、カロリーナのイメージ回復作戦に奮闘する。

 

【まとめ】

今週は新作がふたつでした。ビル・クリントンとジェイムズ・パタースンの話題作が6週連続でトップを維持していましたが、今週はダニエル・シルヴァの新作が1位を奪取しました。ガブリエル・アロン・シリーズは毎年夏に刊行されており、本作は第18作。邦訳も毎年夏に出ていて、7月14日に第17作の『死線のサハラ』がハーパーコリンズ・ジャパンより発売されたばかりです。3位には、シーダー・コーヴ・シリーズで知られる人気作家マッコーマーのスタンドアローン作品がはいりました。なお、トップテン外に目立った動きはありませんでした。

 

 

  1. 国弘喜美代(くにひろ きみよ)

    東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。訳書にカレン・クリーヴランド『要秘匿』、ケン・ベンシンガー『レッドカード: 汚職のワールドカップ』(北田絵里子さん、手嶋由美子さんとの共訳)など。次の南東京読書会は10月14日(日)を予定しています。