アメリカのベストセラー・ランキング

8月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE PRESIDENT IS MISSING    Up

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。早川書房から近日刊行予定。

 

  1. 2. PARADOX    New!

Catherine Coulter キャサリン・コールター

ロマンチック・スリラー、FBIシリーズの第22作。メリーランド州の湖で、ボートの上の人物がオールで殴られて水中に投げ落とされるところを地元警察の署長が目撃する。捜索のすえ遺体で見つかった被害者が連邦検事だったことから、FBIのサビッチとシャーロックが捜査にあたることになるが、湖からは被害者のほかにも複数の人骨が発見されていた。

 

  1. 3. THE OUTSIDER    Up

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

  1. 4. THE OTHER WOMAN    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第18作。ロシア人の情報提供者を亡命させようとしたものの作戦は失敗、アロンは情報を漏らしていた潜入スパイを探し出そうとする。そのころアンダルシアの山中で、重大な秘密を知るフランス人の女が“THE OTHER WOMAN”と題した回想録の執筆をはじめていた。

 

  1. 5. COTTAGE BY THE SEA    Up

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

不慮の事故で家族を一度に失い、悲しみに暮れていたアニーは、セラピストから助言を受け、子供のころ家族と過ごした海辺の町へ引っ越す。そこで仕事を得て、知り合いや友人ができたものの、やがてまたアニーは人生の転機となる決断を迫られる。

 

  1. 6. THRAWN: ALLIANCES    Down

Timothy Zahn ティモシイ・ザーン

『スター・ウォーズ』のスピンオフ小説「スローン」3部作の作者による最新作。用兵の天才であり、銀河帝国の救国の英雄となるスローン大提督の活躍を描く。未知領域で帝国への脅威が生まれつつあるのを知ったパルパティーン帝は、最も有能な臣下であり政敵同士でもあるスローンとダース・ベイダーを調査に向かわせる。

 

  1. 7. CLOCK DANCE    Up

Anne Tyler アン・タイラー

二度の結婚を経験し、ふたりの息子を育てたものの、61歳のウィラの人生は消極的な選択の連続だった。だが、ある日かかってきた1本の電話がすべてを変える。息子の元恋人が怪我で入院し、9歳の娘シェリルの世話をする者がいないという。自分の孫ではないと知りながら、ウィラはシェリルの暮らすボルチモア行きの飛行機に飛び乗る。

 

  1. 8. THE PERFECT COUPLE    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

ウェディング・シーズンのナンタケット島。オーティス家とウィンベリー家の豪華な結婚式が予定されていたその日、港で死体が発見された。お祝いムードは一転、新郎新婦とその両親、そして参列者の全員が容疑者に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

 

  1. 9. ALL WE EVER WANTED    Up

Emily Giffin エミリー・ギフィン

エリートの夫と出来のいい息子とともに、しあわせな日々を過ごすニーナ。手を焼かされてきた娘のライラが名門校に入学して、ようやく肩の荷をおろしたシングル・ファーザーのトム。このふた組の家族が、あるパーティの場で撮られた1枚の写真をきっかけに出会い、ほんとうの人生を生きるための勇気を探しはじめる。

 

  1. 10. BEFORE WE WERE YOURS    Up

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。

 

【まとめ】

ビル・クリントン元大統領とジェイムズ・パタースンによる“THE PRESIDENT IS MISSING”が1位に返り咲き。2位にはキャサリン・コールターのFBIシリーズ最新作が初登場しました。FBIシリーズは邦訳も継続的に刊行されていて、直近では昨年10月に第18作(邦訳では第15作)の『謀略』(二見書房)が出ています。先週初登場1位だったティモシイ・ザーンの“THRAWN: ALLIANCES”は今週6位に入りました。ザーンによるスター・ウォーズのスピンオフ小説は「スローン」3部作、「ハンド・オブ・スローン」2部作のほか、『生存者の探索』『外宇宙航行計画』『忠誠』などが邦訳刊行されています。

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。訳書はヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。