アメリカのベストセラー・ランキング
10月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. A SPARK OF LIGHT New!
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ミシシッピの女性専門クリニックで、銃を持った男が中にいる全員を人質にとってたてこもった。警察の人質交渉人マッケルロイが解決を試みるが、最愛の娘である15歳のレンが人質に含まれていることを知る。クリニックの中で、さまざまな事情を抱えた患者や医師、活動家らの人生が交差する。
- 2. VINCE FLYNN: RED WAR Stay
Kyle Mills カイル・ミルズ
不治の病に侵されたロシア大統領クルーピンがバルト三国への侵略を計画。CIAの敏腕スパイ、ミッチ・ラップはそれを止めるべく、クルーピン暗殺の密命を帯びてモスクワに潜入する。原作者ヴィンス・フリンの他界後、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいるミッチ・ラップ・シリーズの第17作。
- 3. AN ABSOLUTELY REMARKABLE THING Down
Hank Green ハンク・グリーン
午前3時にマンハッタンの歩道で巨大なトランスフォーマー風の像を見つけたエイプリルは、その模様をインターネットで動画配信する。“カール”と名づけたその像が世界各地に出現していることがわかると、エイプリルはその第一発見者として一躍有名人に。それが彼女の生活も人間関係も大きく変えていくことになる。
- 4. ALASKAN HOLIDAY New!
Debbie Macomber デビー・マッコーマー
シアトルに新しくオープンする話題のレストランで副料理長をつとめると決まったジョシーは、夏のあいだだけアラスカの湖畔のロッジで働くことに。いなかの暮らしに魅了され、刀剣職人のパーマーと恋に落ちるが、夢見てきた仕事を諦められずにシアトルへもどる。やがて多忙な生活のなかで、自分がほんとうに望んでいることに気づきはじめる。
- 5. BLOOD COMMUNION New!
Anne Rice アン・ライス
『夜明けのヴァンパイア』からはじまるヴァンパイア・クロニクルズ・シリーズ第13作。ヴァンパイアの王子であり一族を率いるレスタトが、どのようにして権力の座についたのかを自ら明かす。
- 6. JUROR #3 Down
James Patterson and Nancy Allen ジェイムズ・パタースン、ナンシー・アレン
ミシシッピ州の新人弁護士ルビーは、殺人で訴えられた大学生の花形フットボール選手の事件を担当することになる。ところが、陪審員に選ばれた12人には何か隠していることがありそうだった。さらに、ルビーの元婚約者が法廷絡みの問題で助けを求めてやってくる。
- 7. LETHAL WHITE Down
Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス
J・K・ローリングが別名義で執筆している私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第4作。2012年、ビリーという情緒不安定の男がストライクを訪ね、子供のころにほかの子供が殺されるのを目撃したと語る。調査を進めていくと、ロンドン五輪の開催に反対する活動家とビリーにつながりのあることが明らかになる。
- 8. WHERE THE CRAWDADS SING Down
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
- 9. UNCOMPROMISING HONOR New!
David Weber デイヴィッド・ウェーバー
星間王国マンティコアの女性軍人を主人公としたミリタリーSF小説、オナー・ハリントン・シリーズの第14作。オナー・ハリントンが率いる軍は太陽系同盟に対し圧倒的な勝利を収めるが、太陽系同盟の腐敗したリーダーたちは配下の星系を恐怖で支配するための破壊工作をつづける。
- 10. WAR OF THE WOLF New!
- Bernard Cornwell バーナード・コーンウェル
炎の英雄シャープ・シリーズや小説アーサー王物語シリーズで知られる著者による、アングロサクソン七王国とヴァイキングとの戦いを描いたサクソン・ストーリーズ・シリーズの第11作。戦士ウートレッドは、狼の戦士と呼ばれる軍団を率いてノーサンバーランドを支配しようともくろむ新たな敵と戦う。
【まとめ】
ベストテンのうち5作が新たにランクインし、変動の大きな週となりました。1位は『わたしのなかのあなた』でなど知られるジョディ・ピコーの新作です。4位には早くもホリデーシーズンを意識した作品が登場。ロマンスの名手デビー・マッコーマーによる心温まる1冊は、書影もかわいらしいと評判です。5位のヴァンパイア・クロニクル・シリーズは、第6作『美青年アルマンの遍歴』までと、シリーズ外伝の『パンドラ、真紅の夢』、『呪われた天使、ヴィットーリオ』が邦訳刊行されています。9位のオナー・ハリントン・シリーズの邦訳は、「紅の勇者オナー・ハリントン」シリーズとして第8作『女提督の凱旋』まで早川書房より刊行されています。10位のサクソン・ストーリーズの邦訳は出ていませんが、同シリーズを原作とする歴史ドラマ『ラスト・キングダム』がNetflixで配信されています。
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佐藤桂(さとう けい) 神奈川在住の翻訳者です。『逆転交渉術:まずは「ノー」を引き出せ』(早川書房)、
『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)など。