アメリカのベストセラー・ランキング

11月25日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. PAST TENSE    New!

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第23作。メイン州からサンディエゴを目指す米大陸横断の旅に出たリーチャーは、出発後まもなく、父親が生まれた町の名前の標識を目にし、立ち寄っていくことにした。ところが、はじめて訪れる父親の生家を捜そうと役場に行ってみると、過去80年間にリーチャーという名の人物がその町に住んでいた記録がなかった。

 

  1. 2. NINE PERFECT STRANGERS    New!

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。

 

  1. 3. THE RECKONING    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。

 

  1. 4. DARK SACRED NIGHT    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、深夜の署内で過去の捜査資料をあさる退職刑事のハリー・ボッシュに遭遇する。ハリーは未解決に終わった15歳の家出少女の惨殺事件が忘れられずにいたのだ。ふたりは協力して事件の真相を探りはじめるが……ハリー・ボッシュ・シリーズとレネー・バラード・シリーズの主人公ふたりがタッグを組む。

 

  1. 5. EVERY BREATH    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。

 

  1. 6. ELEVATION    Down

Stephen King スティーヴン・キング

メイン州キャッスルロックに住むスコット・ケイリーは、身体の異変にとまどっていた。見た目は変わらないにもかかわらず、日に日に体重が減っていくのだ。一方、町ではレスビアンのカップルが開いたレストランが人々の偏見によって危機に瀕していた。体重がゼロになる日まで、どう生きるべきか――スコットのある決意が、町に変化をもたらしていく。

 

  1. 7. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN    Down

Mitch Albom ミッチ・アルボム

米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。

 

  1. 8. UNSHELTERED    Down

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

親としての務めもきちんと果たし、仕事にも熱心に打ちこんでいたが、けっきょく何もかもうまくいかなくなったウィラとその夫。発表されたばかりのダーウィンの説について、学校では教えてはいけないと言われても、妻とその家族の助けを得て信念を貫こうとする科学教師のサッチャー。べつの時代を、おなじニュージャージーの町で生きた2組の家族の物語。

 

  1. 9. THE NOEL STRANGER    New!

Richard Paul Evans リチャード・ポール・エヴァンズ

離婚したばかりのマギーは、クリスマスツリーを販売するアンドルーと知り合い、人を信頼する心を取り戻しはじめるが、ふたりの友情が深まってきたころ、アンドルーの過去の秘密が明らかになる。『クリスマス・ボックス』の作者による、あらたなクリスマス・ストーリー。

 

  1. 10. SEA OF GREED    New!

Clive Cussler and Graham Brown クライブ・カッスラー、グレアム・ブラウン

カート・オースチンが活躍する、NUMAファイル・シリーズの16作目。世界で深刻化する油田枯渇の原因調査に乗り出したカート・オースチン率いるNUMAのメンバーは、いまや多くの油田が原油を分解するバクテリアに汚染され、失われつつあることを知る。そこに現れた、代替エネルギーの分野で最先端の研究を推し進める資産家テッサ・フランコは、この時代の救世主なのか?

 

【まとめ】

今週は、4作があらたにトップテン入りしました。1位は映画化もされているリー・チャイルドの人気シリーズ。邦訳の最新刊は19作目の『パーソナル』が講談社文庫より2018年3月に刊行されています。2位は『ささやかで大きな嘘』(創元推理文庫)のリアーン・モリアーティの最新作。9位にはこの季節らしく、クリスマス・ストーリーを得意とするリチャード・ポール・エヴァンズがランクインしました。10位には、いくつもの人気冒険小説シリーズで知られるクライブ・カッスラーが登場。それぞれ別シリーズですが、『黒海に消えた金塊を奪取せよ』が扶桑社より今年10月に刊行され、同じく扶桑社より『英国王の暗号円盤を解読せよ』が12月刊行予定となっています。

 

  1. (吉井智津 よしいちづ)

    翻訳者。訳書にベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』(小学館文庫)、アラベラ・カーター・ジョンソン『小さなモネ―アイリス・グレース―自閉症の少女と子猫の奇跡』(辰巳出版)など。今年度ノーベル平和賞受賞者のひとり、ナディア・ムラドさんの体験記『THE LAST GIRL―イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―』が東洋館出版社より今月刊行。一部書店で先行発売中です。