アメリカのベストセラー・ランキング

12月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. LOOK ALIVE TWENTY-FIVE    New!

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第25作。トレントンの人気デリカテッセンで、ひと月のあいだに店主が3人失踪するという事件が起こる。手がかりは3度とも靴の片方が残されていたことだけ。エイリアンに拉致されたのだとルーラは言い張るが、とにかく真相を突き止めなければならない――新しく店主となったステファニーが失踪する前に。

 

  1. 2. LONG ROAD TO MERCY    New!

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

スタンドアローンの新作。FBI捜査官のアトリー・パインは、刺し殺されたラバがグランドキャニオンの谷底で見つかった事件を調べる。行方不明になった観光客のしわざに思えたが、真相に近づいていくうちに捜査の中止を命じられ、キャリアを賭けた決断を迫られることになる。

 

  1. 3. THE RECKONING    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。

 

  1. 4. PAST TENSE    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第23作。メイン州からサンディエゴを目指す米大陸横断の旅に出たリーチャーは、出発後まもなく、父親が生まれた町の名前の標識を目にし、立ち寄っていくことにした。ところが、はじめて訪れる父親の生家を捜そうと役場に行ってみると、過去80年間にリーチャーという名の人物がその町に住んでいた記録がなかった。

 

  1. 5. NINE PERFECT STRANGERS    Down

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。

 

  1. 6. EVERY BREATH    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。

 

  1. 7. DARK SACRED NIGHT    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、深夜の署内で過去の捜査資料をあさる退職刑事のハリー・ボッシュに遭遇する。ハリーは未解決に終わった15歳の家出少女の惨殺事件が忘れられずにいたのだ。ふたりは協力して事件の真相を探りはじめるが……ハリー・ボッシュ・シリーズとレネー・バラード・シリーズの主人公ふたりがタッグを組む。

 

  1. 8. ELEVATION    Down

Stephen King スティーヴン・キング

メイン州キャッスルロックに住むスコット・ケイリーは、身体の異変にとまどっていた。見た目は変わらないにもかかわらず、日に日に体重が減っていくのだ。一方、町ではレスビアンのカップルが開いたレストランが人々の偏見によって危機に瀕していた。体重がゼロになる日まで、どう生きるべきか――スコットのある決意が、町に変化をもたらしていく。

 

  1. 9. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN    Down

Mitch Albom ミッチ・アルボム

米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。

 

  1. 10. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

【まとめ】

1位と2位にベテラン作家の新作がランクインしました。1位のイヴァノビッチはほぼ1年ぶりの登場ですが、安定した人気を誇っています。シリーズ本編の邦訳は12作目の『あたしの手元は10000ボルト』まで刊行済み。2位のバルダッチは完全記憶探偵エイモス・デッカー・シリーズがヒットしており、邦訳は2作目の『ラストマイル』が今年刊行されています。トップテン外に目立った動きはありませんでした。

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    神奈川県在住。翻訳者。ゴールド・ダガー賞を受賞したJ・ハーパー『渇きと偽り』が文庫化されました。来年には続編をお届けできる見こみです。