アメリカのベストセラー・ランキング
12月16日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. KINGDOM OF THE BLIND New!
Louise Penny ルイーズ・ペニー
ケベック州殺人課のガマシュ警部シリーズ第14作。前の事件の結果を受けて職を離れているガマシュは、スリー・パインズ村の荒れ果てたファームハウスに招かれ、まったく面識のない老女の遺言執行者のひとりとして指名されたことを知る。
- 2. FIRE AND BLOOD Down
George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン
〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。
- 3. THE RECKONING Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 4. TARGET: ALEX CROSS Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
刑事アレックス・クロス・シリーズ第26作。急死した大統領の葬儀に参列していた大物上院議員が狙撃され死亡。クロスは新大統領じきじきの命を受け、FBIとシークレット・サービス合同の捜査チームを指揮して犯人を追うことになるが、まもなく第二の暗殺事件が発生する。
- 5. EVERY BREATH Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。
- 6. PAST TENSE Stay
Lee Child リー・チャイルド
ジャック・リーチャー・シリーズ第23作。メイン州からサンディエゴを目指す米大陸横断の旅に出たリーチャーは、出発後まもなく、父親が生まれた町の名前の標識を目にし、立ち寄っていくことにした。ところが、はじめて訪れる父親の生家を捜そうと役場に行ってみると、過去80年間にリーチャーという名の人物がその町に住んでいた記録がなかった。
- 7. LONG ROAD TO MERCY Stay
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
スタンドアローンの新作。FBI捜査官のアトリー・パインは、刺し殺されたラバがグランドキャニオンの谷底で見つかった事件を調べる。行方不明になった観光客のしわざに思えたが、真相に近づいていくうちに捜査の中止を命じられ、キャリアを賭けた決断を迫られることになる。
- 8. LOOK ALIVE TWENTY-FIVE Down
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ
ステファニー・プラム・シリーズ第25作。トレントンの人気デリカテッセンで、ひと月のあいだに店主が3人失踪するという事件が起こる。手がかりは3度とも靴の片方が残されていたことだけ。エイリアンに拉致されたのだとルーラは言い張るが、とにかく真相を突き止めなければならない――新しく店主となったステファニーが失踪する前に。
- 9. NINE PERFECT STRANGERS Stay
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ
都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。
- 10. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN Down
Mitch Albom ミッチ・アルボム
米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。
【まとめ】
変動の少ない週でした。初登場1位は、カナダのクリスティーと称され数々の賞を獲得している人気ミステリー作家、ルイーズ・ペニーによるガマシュ警部シリーズの最新作。邦訳は第4作『スリー・パインズ村と警部の苦い夏』まで出ています。2位は、先週初登場1位を獲得した“FIRE AND BLOOD”。〈氷と炎の歌〉シリーズ(人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作)の邦訳は、本編第5部『竜との舞踏』が2013年に、2016年に外伝『七王国の騎士』が出ています。本編は全7部完結の予定ですが、第6部『冬の狂風』も来年(2019年)には発表されるのではないかと目されているようです。4位の“TARGET: ALEX CROSS”は先週2位にランクインしてきた作品。アレックス・クロス・シリーズは第1~3作(『多重人格殺人者』、『キス・ザ・ガールズ』、『殺人カップル』)と第6・7作(『闇に薔薇』、『血と薔薇』)の計5作が邦訳刊行されています。ベストテン外では、12位にはマーク・キャメロンの“TOM CLANCY: OATH OF OFFICE”(ジャック・ライアン・シリーズ)がはいりました。
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佐藤桂(さとう けい) 神奈川在住の翻訳者です。「RE:THINK――答えは過去にある」(早川書房)、『逆転交渉術:まずは「ノー」を引き出せ』(早川書房)、『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳、角川文庫)など。