アメリカのベストセラー・ランキング

1月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE RECKONING    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。

 

  1. 2. FIRE AND BLOOD    Stay

George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。

 

  1. 3. EVERY BREATH    Stay

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。

 

  1. 4. TARGET: ALEX CROSS    Up

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第26作。急死した大統領の葬儀に参列していた大物上院議員が狙撃され死亡。クロスは新大統領じきじきの命を受け、FBIとシークレット・サービス合同の捜査チームを指揮して犯人を追うことになるが、まもなく第二の暗殺事件が発生する。

 

  1. 5. WHERE THE CRAWDADS SING    Down

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 6. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN    Stay

Mitch Albom ミッチ・アルボム

米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。

 

  1. 7. ELEVATION    Up

Stephen King スティーヴン・キング

メイン州キャッスルロックに住むスコット・ケイリーは、身体の異変にとまどっていた。見た目は変わらないにもかかわらず、日に日に体重が減っていくのだ。一方、町ではレスビアンのカップルが開いたレストランが人々の偏見によって危機に瀕していた。体重がゼロになる日まで、どう生きるべきか――スコットのある決意が、町に変化をもたらしていく。

 

  1. 8. PAST TENSE    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第23作。メイン州からサンディエゴを目指す米大陸横断の旅に出たリーチャーは、出発後まもなく、父親が生まれた町の名前の標識を目にし、立ち寄っていくことにした。ところが、はじめて訪れる父親の生家を捜そうと役場に行ってみると、過去80年間にリーチャーという名の人物がその町に住んでいた記録がなかった。

 

  1. 9. LONG ROAD TO MERCY    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

スタンドアローンの新作。FBI捜査官のアトリー・パインは、刺し殺されたラバがグランドキャニオンの谷底で見つかった事件を調べる。行方不明になった観光客のしわざに思えたが、真相に近づいていくうちに捜査の中止を命じられ、キャリアを賭けた決断を迫られることになる。

 

  1. 10. NINE PERFECT STRANGERS    Down

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。

 

【まとめ】

先週に引き続き、あらたにトップテン入りした新作はありませんでした。多少の上下はありましたが、1位から3位までは全く不動で、この時期らしく、動きの少ない週でした。目立つ動きとしては、先々週はトップテンリストから外れ、先週は10位だったスティーヴン・キングの“ELEVATION”が7位へ再浮上、徐々に順位を上げています。トップテン外にも新作はありませんでした。

 

  1. 服部理佳(はっとり りか)

    翻訳者。訳書に『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ(あなたがくれた憎しみ)』(岩崎書店)など。今月はじめに翻訳を担当した絵本『にじいろのしあわせ ~マーロン・ブンドのあるいちにち~』(岩崎書店)が刊行されました。ペンス副大統領の妻と娘による絵本のパロディとして出版され、発売後わずか2日で18万部、累計約80万部を売り上げ、読者書評サイトgoodreadsで2018年ベスト作品絵本部門の次点を獲得した、大人気絵本の邦訳です。帯文は、杉田水脈議員が「生産性」発言で炎上した際に、同性婚をカミングアウトしたロバート・キャンベル氏。売上の一部は、セクシャル・マイノリティを支援する団体へ寄付されます。