アメリカのベストセラー・ランキング

6月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. THE 18TH ABDUCTION    Stay

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第18作。3人の女性教師が失踪し、ひとりが遺体となって発見されるという事件が起こり、サンフランシスコ市警のリンジー・ボクサーは捜査に乗り出す。一方でリンジーの夫のジョーは、死んだはずの戦争犯罪人をこの街で目撃したと語る東欧出身の女と知り合うが、その女も失踪してしまう。

 

  1. 3. THE NIGHT WINDOW    New!

Dean Koontz ディーン・クーンツ

FBI捜査官ジェーン・ホーク・シリーズの第5作。秘密組織に追われ、全米のお尋ね者となったジェーンだが、元FBIの同僚の凄腕ハッカー、ヴィクラムの協力を得て組織の黒幕に迫ろうとする。しかし、知人に匿われていたジェーンの幼い息子トラヴィスがさらわれてしまう。

 

  1. 4. REDEMPTION    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第5作。妻子の墓参りのためオハイオ州バーリントンを訪れたデッカーは、新人刑事時代に殺人犯として逮捕したホーキンズに声をかけられる。膵臓がんで余命わずかのホーキンズは無実を訴えるが、やがて射殺体で発見される。過去の過ちを償うべく、真相解明に乗りだすデッカーだが……。

 

  1. 5. BLESSING IN DISGUISE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

思いがけない運命のめぐり合わせから父親のちがう3人の娘を苦労しながら育てあげ、アートコンサルタントとしてキャリアを築いたイザベル。娘たちは個性豊かに成長してそれぞれの人生を歩み、60代になったイザベルはみずからの人生を振り返る。

 

  1. 6. THE GUEST BOOK    Up

Sarah Blake サラ・ブレイク

アメリカの名家三世代の物語。1930年代、オグデンとキティのミルトン夫妻はある悲劇から立ち直るためにメイン州の島を買い、一家は代々そこで夏の休暇を過ごしてきた。時代が変わって経済的にも厳しくなり、孫のイーヴィーは家族の歴史の詰まった島を手放すまいと奮闘するが、特権階級だった一家には黙して語られなかった暗い過去があった。

 

  1. 7. SUNSET BEACH    Down

Mary Kay Andrews メアリー・ケイ・アンドルーズ

職を失い運に見放されていた36歳のドルーは、母の葬儀で20年ぶりに会った父親の弁護士事務所で働くことに。一方で、祖父母が所有していたぼろぼろのビーチバンガローを相続し、その屋根裏でとある行方不明者について書かれた古い新聞の切り抜きを発見する。

 

  1. 8. NEON PREY    Up

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第29作。恐喝罪で逮捕された男が保釈中に逃亡した。連邦保安官のルーカスがその男のルイジアナの自宅を調べたところ、裏の木立に複数の死体が埋められているのが見つかる。死体の損壊具合から食人がおこなわれたものと推察された。

 

  1. 9. FIRE AND BLOOD    Up

George R.R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。

 

  1. 10. NORMAL PEOPLE    Up

Sally Rooney サリー・ルーニー

裕福な家庭育ちの孤独なマリアンと、家は貧しいがスポーツマンで人気者のコネル。アイルランドの田舎の高校に通うふたりは、恋とも友情ともつかない複雑な感情でひそかに結ばれていた。ともに名門トリニティ・カレッジへ進むと、コネルのほうがエリート揃いの周囲になじめず、ふたりの関係にも変化が――2018年コスタ賞受賞の青春小説。

 

【まとめ】

1位と2位は今週も変わらず。3位にクーンツの人気シリーズ最新作が入りました。2017年6月以降、およそ5カ月に1冊のハイペースで刊行されてきたジェーン・ホーク・シリーズは、この第5作で区切りとなるようです。シリーズ第1作“THE SILENT CORNER”が『これほど昏い場所に』として昨年10月にハーパーBOOKSより刊行され(当サイトでの紹介はこちら)、2011年以来ひさびさのクーンツ作品の邦訳として話題を集めました。またトップテン外の11位には、ジェフリー・ディーヴァーの“THE NEVER GAME”がランクインしています。失踪人捜しの名人コルター・ショーが活躍する新シリーズ第1作とのことです。

 

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。訳書はリサ・ガードナー『無痛の子』、『棺の女』(ともに小学館文庫)、ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)など。