アメリカのベストセラー・ランキング

8月25日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. THE INN    New!

James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス

元ボストン市警刑事ビル・ロビンソンは、マサチューセッツの港町で妻の遺した海辺の宿を営んでいた。それぞれに過去を抱えた長期滞在者たちとの交流が心の支えだが、町に現われた麻薬組織の一員によってその平穏は乱される。宿を守るため、ビルと仲間たちは危険な闘いに挑む。

 

  1. 3. THE TURN OF THE KEY    New!

Ruth Ware ルース・ウェア

ローワン・ケインは、スコットランドの田舎町の屋敷に住み込みの家庭教師として赴任する。多額の報酬、スマートホーム化された豪邸、感じのいい夫妻と娘たち――理想的に思えた仕事は、じきに悪夢へ変わる。娘のひとりを殺害した容疑で逮捕されたのだ。獄中から無実を訴えるローワンの手紙によって、屋敷での真相が明かされていく。

 

  1. 4. ONE GOOD DEED    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

1949年、退役軍人のアロイシャス・アーチャーはカルデロック刑務所から仮釈放され、ポカ・シティに向かう。すぐに地元の有力なビジネスマン、ハンク・ピットルマンのところで借金回収の仕事をすることになるが、殺人事件が起こり、アーチャーは警察から疑いの目を向けられる。バルダッチが生み出した、新たなアンチ・ヒーローの活躍。

 

  1. 5. OUTFOX    New!

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

FBI捜査官ドレックス・イーストンは30年にわたりウェストン・グレアムを追っていた。8名の女性資産家が財産を騙し取られたのち失踪し、おそらくはそのすべてにグレアムが関わっているのだ。実業家のタリア・シェイファーと結婚したジャスパー・フォードと名乗る男がグレアムだと睨んだドレックスは夫妻に近づくが、しだいにタリアに惹かれていく。

 

  1. 6. THE NICKEL BOYS    Down

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

1960年代のフロリダ。感化院ニッケル・アカデミーでは、矯正の名のもとに少年たちへの身体的、精神的、性的虐待が日々繰り返されていた。そして少年が黒人である場合にはその程度はさらにひどく……。『地下鉄道』の著者が、黒人少年ふたりの友情と成長を通して描く、不平等が遍在するジム・クロウ法時代のアメリカ。

 

  1. 7. A DANGEROUS MAN    New!

Robert Crais ロバート・クレイス

私立探偵コールの相棒パイクは、銀行の外で窓口係のイザベル・ローランドが2人組の男に拉致されようとする場面に遭遇、それを阻止する。ところが逮捕された2人が保釈直後に殺害され、イザベルは行方不明になる。誰がなんの目的でイザベルを……コールとパイクは調査に乗りだす。エルヴィス・コール&ジョー・パイク・シリーズ第18作。

 

  1. 8. THE NEW GIRL    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズ第19作。スイスのプライベートスクールに留学していたサウジアラビアの皇太子の娘が誘拐された。娘の命を救うため、皇太子は王室とイスラム過激派とのつながりを断ち切ると約束し、ガブリエルに協力を求める。

 

  1. 9. SUMMER OF ’69                      Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

夏の休暇をナンタケット島で過ごすのがレヴィン家の恒例行事だが、1969年の夏はそうもいかないようだった。19歳の長男がベトナムに送られ、母はアルコールに逃げるようになっていた。また、双子を妊娠中の24歳の長女、21歳のヒッピーの次女、13歳の思春期の三女もそれぞれ問題を抱えていた。

 

  1. 10. CHANCES ARE …    Down

Richard Russo リチャード・ルッソ

大学で同窓だった3人の男がそれぞれちがう人生を歩み、60代になって旧交をあたためあう。しかし、当時3人が恋心をいだいていたジェイシーの失踪が、それぞれの脳裏から消えたことはなかった。ジェイシーに何があったのか。一同が記憶をたどるうちに、遠い過去が現在の友情と人生を脅かしはじめる。

 

【まとめ】

4作が新たにランクインしました。2位のパタースン&フォックスは、オーストラリアを舞台にした刑事ハリエット・ブルー・シリーズでも人気を博しているコンビです。フォックスの単著によるシドニー州都警察殺人捜査課シリーズは『邂逅』、『楽園』と邦訳が刊行されています。3位のルース・ウェア(『暗い暗い森の中で』)の新作はタイトルから想像できるように『ねじの回転』へのオマージュに満ちた内容で、ワシントン・ポスト紙も「ヘンリー・ジェイムズをもうならせるはず」と高評価。5位のサンドラ・ブラウンは最新邦訳『赤い衝動』が昨年出ているほか、初期作『27通のラブレター』が今月復刊されています。7位のロバート・クレイスもシリーズ第17作の邦訳『指名手配』が5月に刊行。当サイトでの♪akiraさんの紹介記事はこちらからどうぞ。

 

  1. 中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

    翻訳者。訳書にジェニファー・イーガン『マンハッタン・ビーチ』、サムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 フクロウの囁き』、C・J・チューダー『白墨人形』など。