アメリカのベストセラー・ランキング

4月26日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

3. THE STRANGER    Stay

Harlan Coben ハーラン・コーベン

幸せな家庭と仕事にめぐまれ、完璧な人生を歩んでいた主人公。謎の男と出会ったことをきっかけに妻の秘密を知り、そこから何もかもが夢幻だったかのように崩れ去っていく。マイロン・ボライター・シリーズの著者による、スタンドアローンの新作スリラー。

4. HOT PURSUIT    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第33作。バリントンは美貌の女性パイロットと知り合って欧州へ旅に出るが、女の元恋人が旅先に現れ、怪しい動きを見せる。そのころ中東のテロリスト組織がバリントンの友人である政府高官を狙っていた。

5. FALLING IN LOVE    New!

Donna Leon ダナ・レオン

ヴェネツィア警察の中年警視ブルネッティのシリーズ第24作。第1作『死のフェニーチェ劇場』の歌姫が再登場。歌姫は偏執的なファンに困り果て、昔世話になったブルネッティにふたたび助けを求めた。やがて別の若い歌手が何者かに襲われる。

6. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

7. AT THE WATER’S EDGE    Down

Sara Gruen サラ・グルーエン

『サーカス象に水を』の著者による新作長編。父の不興を買った名家の娘マデリンと夫エリスは、ネス湖の怪獣発見を目指す友人ハンクとともにスコットランド高地へ赴く。戦時の困窮下を美しい小村で暮らすうち、やがてマデリンは外の世界の広さに気づきはじめる。

8. THE PATRIOT THREAT    Down

Steve Berry スティーブ・ベリー

米司法省の元工作員コットン・マローン・シリーズ第10作。財務省から盗まれたファイルには、合衆国憲法修正第16条に絡むトップシークレットが隠されていた。元上司の命を受け、ヴェネツィアから遠くクロアチアへと犯人を追うコットンに24時間のリミットが迫る。

9. BLOOD ON SNOW    New!

Jo Nesbo ジョー・ネスボ

1970年代、オスロの殺し屋を主人公とするスタンドアローンのスリラー。出会った運命の女には、問題がふたつあった。ひとつはその女がボスの妻だったこと。もうひとつは、殺しのターゲットだったことだ。

10. MIRACLE AT AUGUSTA    New!

James Patterson and Peter de Jonge ジェイムズ・パタースン&ピーター・ドゥ・ヤング

1996年に上梓されてアメリカでベストセラーとなった“Miracle on the 17th Green”(『17番ホールの奇跡』)の続編。前作では、平凡な中年男トラビスが突然ゴルフの才に目覚めたが、本作はその1年後、すっかり有名になったトラビスを描く。

【まとめ】

4作が新たにランクインしました。トップテン外では、12位にリサ・ジェノヴァの“INSIDE THE O’BRIENS”が登場。リサの処女小説『アリスのままで』(『静かなアリス』から改題され、この5月に新たに刊行)は映画化され、6月に日本でも公開の予定です。14位にカレン・キングズベリーのAngels Walkingシリーズ第2作“Chasing Sunsets”、15位にフィリップ・カーの私立探偵グンター・シリーズ第10作“The Lady from Zagreb”がはいっています。 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書はエラリー・クイーン『アメリカ銃の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、マイケル・ハーグ『インフェルノ・デコーデッド』など。南東京読書会を5月30日(土)に開催します。場所は表参道と渋谷のあいだ、課題書はシーラッハの『禁忌』です。爽やかな季節に本の話で盛りあがりましょう。