アメリカのベストセラー・ランキング
10月16日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. WOMAN OF GOD New!
James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ
初の女性教皇の誕生か。コンクラーベの行方を世界が固唾をのんで見守っていた——度重なる苦難や危険に信仰を試されながらも、医師から聖職者へと転身し、宗教改革運動に身を投じる女性の数奇な運命が描かれる。女性殺人捜査クラブ・シリーズで知られるコンビによる、スタンドアローンの異色スリラー。
2. HOME Down
Harlan Coben ハーラン・コーベン
マイロン・ボライター・シリーズの第11作。2軒の裕福な家庭から、子供がひとりずつ誘拐される。身代金の要求はあったものの、その後犯人からの連絡は途絶える。10年の月日が流れたのち、マイロンと友人のウィンは子供のひとりを見つける。10年のあいだ、その子供はどこで何をしていたのか。もうひとりの子供はどうなったのか。
3. COMMONWEALTH Down
Ann Patchett アン・パチェット
1960年代のロサンゼルスにはじまる、半世紀にわたる物語。バートは幼い子供3人と身重の妻がいる家に帰る気になれず、ほとんど見も知らぬ他人の娘の洗礼を祝うパーティに紛れこむ。そこでバートは娘の母親のベヴァリーにひと目で心を奪われてしまう。突然の出会いはふたつの家族を壊し、徐々に変形させてゆく。
4. THE UNDERGROUND RAILROAD Down
Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド
19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。
5. THE WOMAN IN CABIN 10 Down
Ruth Ware ルース・ウェア
小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。
6. RAZOR GIRL Down
Carl Hiaasen カール・ハイアセン
詐欺師のメリーはフロリダキーズへと向かう路上で悪徳開発業者の車にわざと追突し事故を起こす……はずが、相手を間違えて芸能エージェントのクールマンのレンタカーにぶつけてしまってさあ大変。クールマンがマネジメントするリアリティテレビの人気者バック・ナンスもからんで、事態は思わぬ方向へ転がってゆくことに。
7. CHRISTMAS CARAMEL MURDER New!
Joanne Fluke ジョアン・フルーク
お菓子探偵ハンナ・スウェンセン・シリーズ第20作。ハンナはクリスマス劇の上演会用のお菓子作りを一手に引き受けることに。一方、相棒のリサは夫と元カノが劇中で夫婦役を演じることを知ってやきもき。ところがその元カノが死体で発見されて……。作中に登場するクリスマス向けレシピの紹介もあり。
8. A GENTLEMAN IN MOSCOW Up
Amor Towles エイモア・タウルズ
1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。
9. PIRATE Down
Clive Cussler and Robin Burcell クライブ・カッスラー、ロビン・バーセル
トレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第8作。夫妻はサンフランシスコでふらりと書店に立ち寄って古書を買うが、ほどなく書店主が殺される。その本には歴史的価値のある宝の地図が隠されていた。夫妻はカリフォルニアからアリゾナ、ジャマイカ、イギリスへ飛ぶ。
10. THE KEPT WOMAN Down
Karin Slaughter カリン・スローター
ジョージア州捜査局の特別捜査官ウィル・トレントが活躍するシリーズの第8作。建設工事の跡地で元警官の死体が発見される。現場に残された足跡と血痕から、被害者はもうひとりいて、重傷を負った女性だと考えられたが、行方がわからなかった。その土地の所有者は、かつてレイプの疑いをかけられながらも罪を免れた男だった。
【まとめ】
1位と7位の2作品が新たにランクインしました。1位のパタースン&ペトロによる新作スリラーは、これまでのシリーズ作品とは趣を異にする、信仰をテーマとしたシリアスな内容となっているようです。ちなみに超人気作家パタースンは、フォーブス誌による今年の作家長者番付でダントツの1位(9500万ドル)を獲得。セレブ長者番付でも、テイラー・スウィフトとワン・ダイレクションにつづいて第3位にランクインしています。7位のお菓子探偵ハンナ・シリーズは、邦訳のほうも今月31日に第17作の『ブラックベリー・パイは潜んでいる』(ヴィレッジブックス)が刊行予定。こちらに訳者の上條ひろみさんのコメントが掲載されています。
中谷友紀子(なかたに ゆきこ) |
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訳書にフリン『カーターフック屋敷へようこそ』、パーマー『スキャンダラス 女たちの編集部』など。ミシェル・ペイヴァー「神々と戦士たち」シリーズの第3巻『ケフティウの呪文』が来月刊行予定です。 |