約2年半ぶりの対面開催。はるばる東京から1名のご参加以外は、県内メンバーで世話人を含め総勢7名。初参加(なんと読書会も初体験!)のかたにもおいでいただきました(ようこそ~)。

課題書はエドガー・アラン・ポー傑作選2編。河合祥一郎訳(角川文庫)
『ポー傑作選1ゴシックホラー編 黒猫』

『ポー傑作選2怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』

原点回帰と銘打った今回の読書会にふさわしく、ミステリーの父とされるエドガー・アラン・ポーの新訳を選びました(ときどきふと古典に戻る福井読書会)。2冊読了は意外と大変だったという人がほとんど。読んだことがあるからサクサク読めるかと思いきや、短編でも侮れないところがポーのすごさ!? 詩は、とばしがちだったという告白もちらほら。翻訳された詩の楽しみかたがいまひとつわからないというのが正直なところで、もっぱら話題の中心は短編小説でした。

【ざっくり感想】
バラエティに富みすぎた作品集2編。何から語ればよいのか途方に暮れつつ、印象に残った作品などをお聞きしました(ほんの一部のみご紹介)。「やたら埋められたり、塗り込められたり、死んだと思ったら生きていたり……何なのこれ?」「妄想や強迫観念の嵐」などなど。さらに「莫大な知識に圧倒される」一方で、ここは子ども向けでは削除必須! には、みな激しく同意。「告げ口心臓」で語り手が女性であることに驚いた。語り手がいったい何者なのか気になった(「お前が犯人だ」)など、独特な語りについても注目が集まりました。

【すごい恐怖】
尋常でない恐怖についての感想。小学生のときに読んで夜眠れないほどの恐怖を感じたが、大人になって読み直すと印象が変わった。細部を具体的に描くことで生まれる恐怖を感じた(「落とし穴と振り子」)。何がどうなったかよくわからない物語でも、ぞっとするような恐怖、いや~な気持ちだけが残った、というコメントには、思わず納得。ポーはあまり頭で考えすぎてはいけないのかもしれませんね。

【ポーの影響】
さすがミステリーの創始者。影響がここかしこに。この既視感はなに? となった参加者さんは、まさにホームズを想起されたそう。第8回課題書の『シャーロック・ホームズの冒険』の原点がここに! 当時の読書会レポートはこちら

ポーへのオマージュ、黒猫シリーズ(森晶麿)の愛読者さんからは、本家ははるかに難解だったとのこと。

江戸川乱歩を神とあがめる初参加者さん。常連さんとマニアックな話で盛り上がり、みんな置いてきぼり……な場面も。乱歩では、美人がひどいめにあわせられるとのこと(これも気になります~)。

ポーについては語り尽くせずの(そもそも無理!)読書会でしたが、やはり対面はいいなとしみじみ。気軽にお隣さんと雑談もできるし、オンラインより盛り上がる気がします。これもひとえに参加者のみなさんのおかげ。どうもありがとうございました! 次回第12回福井読書会は、ふたたび対面で8月27日(土)開催予定です。ひきつづきよろしくお願いします!