第17回福井読書会は、9月2日(土)、コリーン・フーヴァーの『イット・スターツ・ウィズ・アス ふたりから始まる』を課題書に開催いたしました。

課題書となる本書は『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』(※福井読書会では前作もオンラインにて開催しております。その時の様子はこちら)の続編という事で、参加者の皆さんからは、それを踏まえた感想や意見を沢山いただきました。

まずは、どうなるんだろうと不安や怖さを抱えながら読んだ前作に比べて本作は安心感があったという方、前作の方が好きという方、続編の本作の方が読みやすかったという方など様々でしたが、訳が良くて読みやすかったのでどちらも楽しめたとの声には一同頷いていました。

また、今回はキュンキュンくるような甘い描写が多いのも特徴ですが、男性参加者の中にはそこが苦手だったという方もいらっしゃいました(笑)。

一方で、再読した前作でもまた泣けたし、続編の本作では、特に終盤のアトラスの手紙や最後の一文には思わず涙したという方も。

また、キャラが立っていてドラマや映画化向きといった声や、日本ではコミカライズしたら受けそうという意見も(ちなみに前作の『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』は映画化され来年公開されます!)。

その他には、前作でちょっと肩入れしたキャラが、本作ではひどい扱いになったのがちょっと残念だという声も。

ついでに、お気に入りのキャラクターについて皆さんに訊いてみたところ、前作でもそうでしたが、なにかと気が利くマーシャルが断然人気でした。

ちなみに本作のヒーローたるアトラスは「いい人すぎる」との声が多数。
その一方で、ライルとアトラスのどちらがイケメンなのか問題や、アリッサから「神のよう」と形容されるその美しさは、どれほどのものなのか気になるといった声も(笑)。
また、アトラスが12歳の少年セオをセラピストにして、自身の恋愛事情も赤裸々に話すのってどうなのよといった意見も(笑)。

その他、サイドストーリー的な要素となるものも多く散りばめられていて、アトラスとジョシュの関係性が深まっていく様子などをもっと深く見てみたかった、セオの物語も知りたいなどといった声も。
うん、同じ世界の中で主人公を変えてシリーズ化されたりしたら面白そうですね。

ところで肉体的精神的問わず、虐待の経験があるか無いかで読み手の受け取り方も変わってくるんじゃないか。また、本書は虐待を受けた側のためのチュートリアルがしっかりと調べて書かれており、それでいて説教臭くならないように大人向けのロマンスとして描かれていて読みやすいといったご意見も。

確かにロマンチックな描写の多い恋愛小説ではありますが、その中で絶妙なバランスでもって読み手に訴えかけるものがあるからこそ、多くの読者を惹きつけているのではないでしょうか。
ぜひ、多くの方に手に取ってもらいたい作品だと改めて感じました。

また、アトラスが作った「ボクヲサケテル?」パスタなど、度々ある料理に関する描写がどれも美味しそうで、どんな料理なのか思わずみんなで調べてみたりも。

そうそう、調べるといえば前作でも「ピンタレスト」「ワンジー」などといった単語を調べたりしましたが、翻訳小説には普段あまり聞き慣れない言葉が出てくる事もしばしば。
特に現代を舞台にしたロマンス小説には、「いま」流行しているものや、変わりゆく世界を映し出しているものも多く、そういった言葉を通じて世界を知る事ができるのも海外ロマンス小説を読む楽しみの一つかも知れませんね。

ところで、今回、訳者の相山夏奏様よりコメントを頂戴いたしました。
また、参加者の皆様から事前に募った質問に対しても一つ一つ丁寧にお答え下さったので、読書会で皆さんに紹介させてもらいました。
お陰様で、より楽しく盛り上がった会となった事、あらためて御礼申し上げます。
機会があれば是非福井にも遊びに来て下さいませ!

 

さて、次回の福井読書会は11/25(土)に開催する予定です。
詳細は近日中にお知らせできると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

福井読書会世話人
藤沢一弘(X(旧ツイッター)アカウント @shaolon_wang

福井翻訳ミステリー読書会
https://fukui-honyaku-bookclub.hatenablog.com/