アメリカのベストセラー・ランキング

8月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. ANY DREAM WILL DO    New!

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

借金まみれの弟を救うために横領の罪を犯し、すべてを失った姉のシェイ。妻を亡くし、子供たちの世話に追われる牧師のドリュー。偶然出会ったふたりは心を通わせ、互いに支えあうが、その友情が恋に変わりかけた矢先、シェイの弟が町に舞い戻ってきて……シーダー・コーヴ・シリーズで知られる人気作家による単発長篇。

 

  1. 2. CAMINO ISLAND    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

 

  1. 3. THE LATE SHOW    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。

 

  1. 4. THE LYING GAME    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

〈嘘つきゲーム〉が行きすぎて二流の寄宿学校を放校処分になったイサベル、ファティマ、テア、ケイトの元仲良し4人組は、ある秘密を抱えたまま離れ離れになっていた。15年が過ぎたある朝、ケイトからロンドン周辺に住むほかの3人に突然メールが届き、寄宿学校のあるイギリス南部の海沿いの町ソルトンに呼び戻される。

 

  1. 5. BARELY LEGAL    New!

Stuart Woods and Parnell Hall スチュアート・ウッズ、パーネル・ホール

ストーン・バリントン・シリーズの脇役、ハービー・フィッシャーを主人公とした新シリーズの第1弾。バリントンが所属する法律事務所の若き弁護士ハービーは、身に覚えのない麻薬取引の罪に問われた大学生、デヴィッドの弁護を担当する。事件の背景には、ニューヨーク市議を務めるデヴィッドの父と、不動産開発業者との対立があるらしい。

 

  1. 6. THE LAST TUDOR    New!

Philippa Gregory フィリッパ・グレゴリー

『ブーリン家の姉妹』を皮切りとするテューダー朝シリーズの第9作。在位わずか9日間でメアリー1世によって廃位され、斬首されたグレイ家の長女ジェーン。エリザベス1世の許しを得ずに子をもうけ、投獄された次女のキャサリン。姉ふたりの悲劇を目のあたりにした三女メアリーの選択は……王家の血を引く三姉妹の数奇な運命を描く。

 

  1. 7. THE GOOD DAUGHTER    New!

Karin Slaughter カリン・スローター

1989年、ジョージア州の田舎町に暮らす一家の自宅に暴漢が押し入り、母親が殺害され、10代の娘ふたりが拉致される。姉妹は生還するが、姉は心と身体に傷を負い、やがて町を飛びだす。28年後、それぞれ弁護士となり、町で発生した発砲事件に関わることになったふたりは、封印してきた忌まわしい記憶とも向き合わざるを得なくなる。

 

  1. 8. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Down

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

 

  1. 9. HOUSE OF SPIES    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第17作。テロ首謀者であるISISの黒幕サラディンを追うアロンは、ISISの資金源となっている麻薬密売への関与が疑われる南仏サントロペ在住の富豪夫妻への接近をはかる。

 

  1. 10. INTO THE WATER    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。

 

 

【まとめ】

今週は4作が新たにベストテン入りしました。1位は、トップテン常連の人気ロマンス&ウィメンズ・フィクション作家、マッコーマーの新作。5位のウッズとホールの共作は、前作“SMOOTH OPERATOR”の続編ではなく、ストーン・バリントン・シリーズのスピンオフ作品となっています。6位のグレゴリーのブーリン家の姉妹シリーズは、第4作の『悪しき遺産』(集英社文庫)まで邦訳で読むことができます。7位のスローターは、今年だけで『ハンティング』『サイレント』(ハーパーBOOKS)、『砕かれた少女』(マグノリアブックス)と3作が邦訳済み。こちらに訳者の田辺千幸さんによる『サイレント』の紹介記事が掲載されています。ベストテン外では、スーザン・イーリア・マクニールのマギー・ホープ・シリーズの第7作“THE PARIS SPY”が14位にランクイン。こちらも第5作『ファーストレディの秘密のゲスト』(創元推理文庫)まで邦訳が出ています。

 

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

訳書にサムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』、ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち Ⅳ 聖なるワニの棺』など。