第25回 せんだい探偵小説お茶会主催
(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)
カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』(創元推理文庫 訳 厚木 淳)読書会
この度4月の読書会にて、カーター・ディクスン著『白い僧院の殺人』を課題図書に選ばせていただきました。
昨年暮れの『ユダの窓』から間をおかずの、海外パート2連続・2度目のカー(ディクスン)作品となります。おお、なんだかカー陣営が巻き返しているっぽい!
図らずも2作続けてディクスン名義のH・M卿シリーズとなりまして些かバランスに難がある気もしますが(バンコランやフェル博士ファンの人すみません…)、そこはホストの偏愛故ということでご容赦頂きたく。
以下あらすじ。
ロンドン近郊の<白い僧院>と呼ばれる邸の別館で、ハリウッド女優の死体が発見された。他殺なのは明らかだったが、死体発見時別館の周囲は雪に覆われていたにも関わらず第一発見者以外の足跡はなく、その第一発見者にもアリバイが確認される。犯人は如何にして現場を立ち去ったのか? 不可解な謎に、陸軍省情報部部長ヘンリ・メリヴェール(H・M)卿が挑む。
“足跡のない殺人”! “雪の密室”! 密室ファンなら誰もが聞いただけで心躍るこれらのテーマを見事にものにした、古典的傑作です。後世に与えた影響は多大で、現代の日本に於いても法月綸太郎『雪密室』など、本歌取りに挑んだ作品が数多く散見されるほど。江戸川乱歩が「カーが発明した不可能トリックのなかでも、最も優れたもの」と激賞した“密室の帝王”の妙技を、是非ご堪能ください。
またカーと言えば密室トリックの分類を行った『密室講義』(『三つの棺』収録)が有名ですが、本書にはそれと対を為すと言っても過言ではない、「犯人が密室を生成する理由」を(おそらく)初めて分類した『密室動機講義』(私が勝手に命名)の一節が存在します。こちらもやはり必見です。
作中とは違って陽射しも和らぎすっかり雪溶けの季節を迎えた今日この頃ではありますが、それによって本作の魅力が些かなりとも溶解することはありません。人の世に文字が存在する限り、ヒマラヤ万年雪の如き気高く美しいその真価は、いつまでも硬質の輝きを湛え続けることでしょう。
皆様の奮ってのご参加、お待ちしております。
開催日 :2016年4月16日(土)
場 所 :戦災復興記念館 4階第5会議室
(仙台市青葉区大町2丁目12-1)
時 間 :16時30分〜18時30分
定 員 :15名
課題図書:カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』(創元推理文庫 訳・厚木 淳)
参加費 :一般 500円 学生 無料
参加方法:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
読書会終了後に懇親会を予定しておりますので、お時間に余裕のある方は是非ご参加を検討ください。(別会費、自由参加です)