最近、朝から蝉の声が喧しく「梅雨も明けてないのに早すぎ!」とつっこんでしまうこともしばしば。

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

 さて、梅雨入り前の5/27(土)ヨハン・テオリン『冬の灯台が語るとき』(早川書房)を課題書に浜松読書会が行われました。

 もとはと言えば、真冬に真冬のミステリーを熱く語ろう! しかもウナギ岬とか出てきて浜松のご当地名物とつながるし、ちょうどいいじゃん的な考えで課題書に決まったんですが、真冬開催がお流れになり、ほぼ真夏じゃね? な気温の中で真冬の話で盛り上がることに相成りました。

 折しも、浜松はNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』を一大プッシュの真っ只中。読書会前にドラマ館やゆかりの地巡りもいかが? と朝も早よから快晴の浜名湖ドライブをキメてからの会場入り。実際の気賀関所近辺を目の当たりにして「あの頃(ドラマ)のほうが栄えてるね」とぽろっと言われたのはいい思い出です。

 そんなこんなで、読書会スタート。

 まず、自然描写の巧みさにポイントをおいた感想が参加者の大半から上がりました。

「渦雪の場面が最高潮に盛り上がった」「物語の進行と天候の悪化がリンクしてる」「渦雪? え? ブリザードじゃなくて??」とここでポケミスしか読んでなかった世話人がちょっと混乱。ポケミスでは【ブリザード】、文庫では【渦雪】に変わっていることが判明。

 後日、翻訳者の三角さんに確認したところ、文庫化にあたりポケミスでは英米語からの【ブリザード】と表記していたのを、本来のスウェーデン語の意味合いを重視して改訳されたとのことです。実際【渦雪】の方がどんな風に吹雪くのか想像しやすい気がしますね。

(文庫と言えば、約一名レイアウトに惑わされてラストを読みそこなっていたことが、読書会中に発覚したことをここでご報告しておきます)

 ホラー、オカルト的な要素がかなり含まれている作品だったのでその辺りについても意見が多く出ました。まとめると『冬の灯台が語るとき』はクリスマス&ジェントルゴーストストーリーであってホラーではない、怖さよりも優しさを感じる作品という結果になりました。幽霊出てくるの? 怖そう…と敬遠していた皆さん、怖くないですよ~! 黒魔術師にやたらと傾倒する厨二な若者とかも出てきたし、どちらかと言えばスピリチュアルとか幻想文学とかに分類できそうな感じです。

 登場人物ではやはりイェルロフがダントツ人気。かっこいいのは当然wとして「老人らしいところがいい」「若いモンには負けん! とかの気負いがない所がいいよね」とのこと。四部作の中でこの【冬】は出番が少ないのが残念ポイント。その一番の理由は、夏は一人暮らしをしていても、厳しい冬は施設に入居するので自由に動き回れないからですかね(このスウェーデンの老人ホームの自由度の高さについても感心しきり)。

 意見が分かれたのは今作の主人公ヨアキムについて。妻を亡くして二人の幼い子どもと残された後の行動について肯定的に見る人と否定的に見る人で真っ二つ。スウェーデン人の気質なのか、ヨアキムの個性なのかはわかりませんが、英米の作品において大事な人を亡くした男性は酒浸りになるパターンが多いと感じていたので、今作における彼の言動は今まであまり見られない型だというところに落ち着きました。

 肝心のミステリー部分について。「前半は仕込みなので情報が入り乱れて惑わされた」「本筋がわかり難くて、中盤までなかなか読めなかった」「なんだかんだ言って一番のミステリーは過去パートだったよね」「謎って意味では××よりも○○の方がより謎めいてる」「○○はポケミスの登場人物紹介には書かれてないのに文庫は入ってるんだもん、やっぱり重要なんだよ!」○○が誰なのか、未読の方はぜひ読んでご確認ください。

 番外としてイェルロフの大姪ティルダの不倫相手に対して「(悪人じゃないのはわかるけど)死ねばいいのに…! って思った」という意見に皆が賛同していたのは印象的でした。

 さて読書会の最後は恒例の【次に読むならコレ!】を挙げてもらいました。

 北方の島が舞台のミステリーとしてアン・クリーブス『大鴉の啼く冬』他(シェトランド島シリーズ)、ヴィヴェカ・ステン『静かな水のなかで』、ハンナ・ケント『凍える墓』

 ゴースト関連でキャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』、アリス・キンバリー『幽霊探偵からのメッセージ』(ミステリ書店シリーズ)、キャロライン・ヘインズ『ダリアハウスの陽気な幽霊』

 灯台で北欧と言えばコレ! トーベ・ヤンソン『ムーミンパパ 海へ行く』(ムーミンパパが灯台守になるお話)。

 前回の課題書も北欧ミステリーだったので、被らないように皆さんかなり悩まれてあげてくださいました。ありがとうございました。

 次回の浜松読書会は秋頃開催予定、課題書はM・J・カーター:著 高山真由美:訳『紳士と猟犬』(早川書房)です。

 告知の際には、よろしくお願いいたします。

浜松読書会世話人 山本三津代(@nirokuya

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