
田口俊樹
(たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬と麻雀)


白石朗
(しらいしろう:老眼翻訳者。最近の訳書はスティーヴン・キング&オーウェン・キング『眠れる美女たち』。〈ホッジズ三部作〉最終巻『任務の終わり』の文春文庫版につづいて不可能犯罪ものの長篇『アウトサイダー』も刊行。ツイッターアカウントは @R_SRIS)

東野さやか
最初のうちは、海外の作家の並びがファーストネームの五十音順になっていたり(CDはラストネームのアルファベット順に並べているのになぜ?)、アンソロジーを編者名で並べてしまったり(CDのオムニバス盤は別枠にしているのになぜ?)と、ダメ出しもしましたが、とりあえず五分の一まで終わりました。
自分で整理したら、どの本にも思い入れがあるぶん、時間がかかったと思うので、まかせてよかったのかもしれません。岸本佐知子さんのエッセイ集『気になる部分』(白水社)とスティーヴン・キングの『任務の終わり』(白石朗訳/文藝春秋)を同じ“か”の棚に入れられてしまったけど。自分だったら日本人作家と海外作家は分けるけど。ま、いいですよね。
(ひがしのさやか:最新訳書はジョン・ハート『帰らざる故郷』(ハヤカワ・ミステリ)。その他、チャイルズ『ラベンダー・ティーには不利な証拠』、クレイヴン『ストーンサークルの殺人』、アダムス『パーキングエリア』、フェスパーマン『隠れ家の女』など。ツイッターアカウント@andrea2121)

加賀山卓朗
(かがやまたくろう:ジョン・ル・カレ、デニス・ルヘイン、ロバート・B・パーカー、ディケンズなどを翻訳。最近の訳書はスウェーデン発の異色作で意欲作、ピエテル・モリーン&ピエテル・ニィストレーム『死ぬまでにしたい3つのこと』)

上條ひろみ
プチ読書日記、たまには国内編。 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』につづく、青柳碧人の本格推理おとぎ話シリーズ第二弾『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(双葉社)は、前作よりさらにおもしろかった。今回は洋モノで、おとぎ話でおなじみの赤ずきんちゃんが、シンデレラやヘンゼルとグレーテル、眠れる森の美女をめぐる謎を解く。最終決戦の相手は、野望に魂を売りわたしたマッチ売りの少女で、幻想を見せるマッチが麻薬さながらに人を廃人にするなど、ブラックな設定とファンタジーなおとぎ話のミスマッチ感がクセになる。
『死ぬまでに行きたい海』(スイッチ・パブリッシング)は、いつも読むのが楽しみで仕方がない岸本佐知子さんのエッセイ集。エッセイというより芥川賞作家の作品のようなプチ前衛感がある。そこはかとなく変、でも、ああこういうのを読みたかったんだよなあ、と震えるほどの感動。かつて住んでいた街やなじみのある街。そこをあらためて訪れることでよみがえる思い出や、逆に増す空虚感。岸本さんが描写するととたんに街が異世界感を増す。「行ったことがないのに◯◯みたいだと思った」という感覚、すごくよくわかる。
海外編では、スコーンと抜けた感じが一周まわってヤバいオインカン・ブレイスウェイトの『マイ・シスター、シリアルキラー』粟飯原文子訳/ハヤカワ・ミステリ)にやられた(うっ、バタン)。軽妙さとシリアスさのバランスが絶妙なアリスン・モントクレアの『ロンドン謎解き結婚相談所』(山田久美子訳/創元推理文庫)も謎あり恋あり友情ありでよかったなあ。
(かみじょうひろみ:英米文学翻訳者。おもな訳書はジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズ、ジュリア・バックレイ『そのお鍋、押収します』、カレン・マキナニー『ママ、探偵はじめます』など。最新訳書はハンナシリーズ第21巻『ラズベリー・デニッシュはざわめく』)

高山真由美
そこからの流れで手に取ったのが『ロンドン謎解き結婚相談所』(アリスン・モントクレア/山田久美子、東京創元社)。え、結婚相談? 世話焼きおばさん的な話ならノットフォーミーかな……と思ったならそれはちがいます。これもまた、不自由な時代を生きる女性たちが、それでもなんとか自分らしく、納得のいくように生きようとする姿を描いた一作なのです。会話中心にテンポよく小気味よく進む小説で、個人的にはグウェンとサリーのやりとりが好き。オンライン開催の浜松読書会で課題書として取りあげる予定だとか。読書会参加に興味のあるかたは、折々こちらもチェックしてみてください。
(たかやままゆみ:最近の訳書はサマーズ『ローンガール・ハードボイルド』、ブラウン『シカゴ・ブルース(新訳版)』、ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』など。おうち筋トレはじめました。ツイッターアカウントは@mayu_tak)

武藤陽生
今年のゴールデンウィークは地獄でした。コロナの変異株が怖くてほとんど外出できず、かといって小さい子供を1週間も家に閉じ込めておくこともできず……ポケモンスナップを買って一緒にやったり、たこ焼き器を買ってたこ焼きを量産したり、カーシェアで借りた車でドライブしたり、花火をするなどしました。まあ、これを書いている時点ではまだゴールデンウィーク中なので、がんばって乗り切ります……
(むとうようせい:エイドリアン・マッキンティの刑事ショーン・ダフィ・シリーズを手がける。出版、ゲーム翻訳者。最近また格闘ゲームを遊んでいます。ストリートファイター5のランクは上位2%(まあ、大したことないんですが…)で、最も格ゲーがうまい翻訳者を自負しております。

鈴木 恵
それにしても陸さん、大学では古典文学を専攻していたのに、劉慈欣『三体 Ⅱ』のすばらしい解説を書いたかと思えば、高度な数学の教養に裏うちされたこんな作品集まで書いちゃうんだから(しかも百合オタ)、脱帽です。
(すずきめぐみ:働きものの翻訳者・馬券散財家。映画好き。最近のおもな訳書は『第八の探偵』『拳銃使いの娘』『その雪と血を』など。ツイッターアカウントは @FukigenM)