田口俊樹
これはまえからずっと思ってることなんだけれど、世界じゅうの外務省が女性しか採用しないって決めたら、国際紛争がうんと減るんじゃないでしょうか。だって外交力って結局のところ社交力じゃない? ウクライナとロシアの停戦交渉なんかも、テレビやネットなんかで見るかぎり、男しかテーブルについてないけれど、女性がひとりでもいればもっとすんなり進むのではないでしょうか。知りもしないことに口を出すのはよくないけど、そもそもこんなふうに女性を持ち上げるのもジェンダー的には不適切! なんて言われちゃうのかもしれないけれど、それでも、です。だって、外交って自国の利益を最優先に考えることでしょう? だったら、自分に利するための駆け引きは絶対女性のほうが長じてます。自分の利益のためなら大嘘だって平気でつくのも男より絶対女性のほうが……あれ、好感度、一気にダウンしちゃったかな?
〔たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬と麻雀〕
白石朗
〔しらいしろう:老眼翻訳者。最近の訳書はスティーヴン・キング&オーウェン・キング『眠れる美女たち』。〈ホッジズ三部作〉最終巻『任務の終わり』の文春文庫版につづいて不可能犯罪ものの長篇『アウトサイダー』も刊行。ツイッターアカウントは @R_SRIS〕
東野さやか
作家さんの読書日記というと、桜庭一樹さんの『少年になり、本を買うのだ』(東京創元社)に始まる読書日記も好きで、五冊全部読みましたし、いまも大切に持っています。そのなかで、自分の好みだけで選んでいると幅が狭くなるというようなことをおっしゃっていて、当時、うんうんと大きくうなずいたものですが、あいかわらず読書の幅がひろがりません。修行が足りないようです。
〔ひがしのさやか:最新訳書はM・W・クレイヴン『ブラックサマーの殺人』(ハヤカワ文庫)。ハート『帰らざる故郷』、チャイルズ『スパイシーな夜食には早すぎる』、クレイヴン『ストーンサークルの殺人』、アダムス『パーキングエリア』など。ツイッターアカウント@andrea2121〕
加賀山卓朗
ご承知のとおり、コード進行やリズムで、おっ?と思わせる曲が多い。今回は演奏しなかったパラボラとかも名曲。バンドは島根大学で結成されたのだとか。洗練されたものは都会から出てくるけれど、イノバティブなものは田舎から出てくるという思いを強くしました。はい、自分が田舎出身なので身贔屓です。
〔かがやまたくろう:ジョン・ル・カレ、デニス・ルヘイン、ロバート・B・パーカー、ディケンズなどを翻訳。最近の訳書はスウェーデン発の異色作で意欲作、ピエテル・モリーン&ピエテル・ニィストレーム『死ぬまでにしたい3つのこと』〕
上條ひろみ
二十年ほどまえに出た初邦訳の『パストラリア』(法村里絵訳/角川書店)も読んでみたところ、『十二月の十日』よりもっとパワフルな感じ。苦しい試練をものともしない「図太さ」のパワーが笑いを召喚する。つらい話なのに謎の力をくれるソーンダーズの魅力にはまってしまった。次は『短くて恐ろしいフィルの時代』を読もうかな。
〔かみじょうひろみ:英米文学翻訳者。おもな訳書はジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズ、ジュリア・バックレイ『そのお鍋、押収します』、カレン・マキナニー『ママ、探偵はじめます』、エリー・グリフィス『見知らぬ人』など。最新訳書はフルーク『チョコレートクリーム・パイが知っている』〕
武藤陽生
〔むとうようせい:エイドリアン・マッキンティの刑事ショーン・ダフィ・シリーズを手がける。出版、ゲーム翻訳者。最近また格闘ゲームを遊んでいます。ストリートファイター5のランクは上位1%(2%からさらに上達しました。まあ、大したことないんですが…)で、最も格ゲーがうまい翻訳者を自負しております〕
鈴木 恵
そんな侯孝賢、じつはたいへんな読書家でもあって、昨秋に出た『侯孝賢の映画講義』(秋山珠子訳/みすず書房)という本を読んでいたら、子供のころに好きだった翻訳書として、『類猿人ターザン』『ロビンソン・クルーソー』『スイスのロビンソン』『宝島』『モンテ・クリスト伯』の名をあげていました。わたしも子供のころ同じ本が好きで(ま『ターザン』は読んでなかったけど)、それが昂じてついに『宝島』と『ロビンソン・クルーソー』を自分で訳しちゃったくらいなので、これを読んだときは、ちょっとにんまりしました。
でも、ひとつ疑問を言わせてもらえば、このラインナップになぜ『十五少年漂流記(二年間の休暇)』がはいっていないのか、ちょっぴり不思議。監督に訊いてみたい。