田口俊樹
〔たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬と麻雀〕
白石朗
〔しらいしろう:老眼翻訳者。最近の訳書はスティーヴン・キング&オーウェン・キング『眠れる美女たち』。〈ホッジズ三部作〉最終巻『任務の終わり』の文春文庫版につづいて不可能犯罪ものの長篇『アウトサイダー』も刊行。ツイッターアカウントは @R_SRIS〕
東野さやか
ところで、今年の秋にライブ参戦を再開することにしました。これを見逃したら一生後悔すると思うバンドが来日するので仕方ありません。ええ、仕方ないんです。さすがに最前列に突っこんでいくような無謀なまねはしませんよ。いや、最前列に突っこみたいのはやまやまですが、ぐっとがまんして後方でまったり見るつもり。もちろんマスクをきちんと装着して。その前にスタンディングに耐えられるよう足腰をきたえねば……。
〔ひがしのさやか:最新訳書はM・W・クレイヴン『キュレーターの殺人』(ハヤカワ文庫)。ハート『帰らざる故郷』、チャイルズ『ハイビスカス・ティーと幽霊屋敷』、クレイヴン『ブラックサマーの殺人』など。ツイッターアカウント@andrea2121〕
加賀山卓朗
こないだも大学時代の友だちふたりと旧交を温めたのですが、ちょっと驚いたのは、いま法学部より経済学部のほうが人気があるし、就職にも有利だし、優秀な人が集まるんですってね。考えてみれば当然かもしれません。せっかく官僚になったのに政治家の答弁のために徹夜で待機なんて、才能の無駄遣いにもほどがある。もはや経済学部のほうが「つぶしがきく」学部になったということですか。個人的には、男子校だった中高の母校が男女共学になったときと同じくらい、時代の流れというものを感じました。
〔かがやまたくろう:ジョン・ル・カレ、デニス・ルヘイン、ロバート・B・パーカー、ディケンズなどを翻訳〕
上條ひろみ
〔かみじょうひろみ:英米文学翻訳者。おもな訳書はジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズ、ジュリア・バックレイ『そのお鍋、押収します』、カレン・マキナニー『ママ、探偵はじめます』、エリー・グリフィス『見知らぬ人』など。最新訳書はフルーク『ココナッツ・レイヤーケーキはまどろむ』〕
武藤陽生
今年のゴールデンウィークは天気に恵まれそうですね。僕はマリオの映画を子供と観に行くつもりです。昔は毎週早稲田松竹にかよっていた僕ですが、子供が生まれてから映画館で観た映画は『おしり探偵』『パウパトロール』『のび太の新恐竜』……小さい子供がいるとそんなもんですよね??? ね???
〔むとうようせい:エイドリアン・マッキンティの刑事ショーン・ダフィ・シリーズを手がける。出版、ゲーム翻訳者。最近また格闘ゲームを遊んでいます。ストリートファイター5のランクは上位1%(2%からさらに上達しました。まあ、大したことないんですが…)で、最も格ゲーがうまい翻訳者を自負しております〕
鈴木 恵
そこで今村夏子の原作も読んでみたら、これまたたいへん面白かった。こちらは言葉の存在感というか、言葉の力がすごい。
で、今村夏子をもっと読んでみようと、こんどは『むらさきのスカートの女』を読んでみたら、やっぱり面白かったし、やっぱり言葉の力がすごかった。さすがは芥川賞受賞作。わたしが日頃書いているような言葉とはまるでちがう。インカの石積みみたいに1ミリも揺るがない感じ。まいりました、と飲み屋のカウンターで溜息をつきました。
もうひとつすごいなと思ったのは、この物語、主人公の「むらさきのスカートの女」にただの一度も「彼女」なんて代名詞を使っていないこと。すべて「むらさきのスカートの女」で押しとおしているのです。翻訳小説ばかり読んでいると、これだけでも心地よくなってくるから不思議。
さらにすごいのは、物語世界がもうほんとに、いい意味で平凡だということ。夢だの感動だのといった、いまのニッポンやらジャパンやらが官民あげて押しつけてくる空疎なものとはおよそ無縁。併載されているエッセイも、どうでもいいようなことばかり書かれているようでいて、みな面白い。もうわたし、ほかの今村作品もすべて読む気になっております。